地域生活を考えよーかい

尼かん・いたみんネット

尼崎の生活支援を考えるネットワーク(仮称)勉強会

掲載日:2002年5月7日
文責:尼崎の生活支援を考えるネットワーク事務局
李 国本 修慈


『支援費制度を考える』
〜支援費制度について、今解っている事の確認とこれからの課題を模索する〜

2002年1月19日 武庫公民館

 前略です。皆様ご苦労様です。前回のネットには思いもよらない程、多くの方々がお集まりになられ感激したのですが、今、尼崎でも、これから変わって行く福祉制度にみなさんも多くの関心を持っておられると痛感しました。そこで、今回は「支援費制度」について、とりあえず今、解っている事を「支援費制度の事務大要」と「支援費制度の事務大要Q&A」を読み合わせながらの確認と今後の課題なんかをお話し合いしましょう。そんなんで、疑問に質問、ぶっちゃけたお話し、なんでもござれで、たくさんの課題を見つけてみんなで考えていきましょう。

 そんなんで、はじまりです。

 まんずは「支援費制度」とはなんぞや…ということですが、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部から平成13年3月6日発表の支援費制度Q&Aの中の主旨として、『支援費制度は、ノーマライゼーションの理念を実現するため、これまで、行政が「行政処分」として障害者サービスを決定してきた「措置制度」を改め、障害者がサービスを選択し、サービスの利用者とサービスを提供する施設・事業者とが対等の関係に立って、契約に基づきサービスを利用するという新たな制度(「支援費制度」)とするものである。

 支援費制度の下では、障害者がサービスを選択することができ、障害者の自己決定が尊重されるとともに、利用者と施設・事業者が直接かつ対等の関係に立つことにより、利用者本位のサービスが提供されるようになることが期待される。』と、述べています。よーするに、自らがサービスを「選び」「決める(決められる)」制度となる(ならない?、できるようになりそう?)訳です。しかし、課題に難題はけっこうあり…で、既に決定している事柄などから我々が暮らす地域にそれらのサービスは不足していないかを検証(大袈裟だけどしっかりやらんといかん)し、サービスがしっかりと満ちている状態にしていくことが必要であると思います。画期的な変化には時間がかかると思いますが、「今、できること」、「しなければならないこと」などを考えていきたいと思います。

 では、「支援費制度の事務大要」と「支援費制度の事務大要Q&A」をかじりながら、お話しを始めます。

  1.  まず、総括部分での確認箇所として、支援費支給の対象となるもの、ならないもの、が、確認されていますが、まず、押さえておくべき点は「支援費制度事務大要」のP10にある@.支給の対象となるサービス一覧を確認しましょう。大事な点は支援費には「居宅支援費」と「施設支援費」のふたつにわかれると。わかれたからどーやねん、ということは後に出てくるのでここではおいといて、もひとつ大事なことは、支援費対象のサービスとなるのは一覧に記載されたもののみということです。よーするに知的障害者及び障害児(成人以降の重複障害者といわれる方々も含まれる)といわれる方々が利用するサービスで、対象となるものは、居宅支援では「居宅介護=ホームヘルプということ」、「デイサービス」、「ショートステイ」、と、あと、「地域生活援助=グループホームを指します」の四つです。で、施設支援では一覧にあるように「更正・授産施設」などです。して、対象にならないのが、例えば「重症心身障害児(者)通園事業」、「ガイドヘルパー制度」などです。この勉強会では主に「居宅支援費」に重点を置いて考えていきたいと思います。
  2.  支援費支給の申請から決定までの流れは「支援費制度の事務大要・P11の(4)」のとおりです。
  3.  サービスの申請の方法なんですが(市町村事務に関すること・問7)、例えば居宅支援費の支給を申請する際、複数の(例えばショートステイとホームヘルプ)サービスをまとめて申請することができます。「ショートステイ月に何日間、ホームヘルプ月に何時間」といった具合です。あと、支援費の算定単位はホームヘルプが30分単位、デイサービスが半日又は1日単位、ショートステイが原則1日単位で設定する方向のようです(支援費基準に関すること・問15)。
  4.  けっこう(いやいやかなり)私も含め多くの方々が気にしている『市町村事務に関すること・問8』の支援費決定の効力は申請時に遡るか?という問いに対し回答は「遡れない」としている点。ということは、例えば緊急を要した「ヘルパー派遣」や、そのまんまの「緊急一時保護」などの利用を想定した場合、その当該期間(居宅では1ヶ月)の支給量以上の支給は認められないとされています。とすると、緊急(介護者の病気など)の「ショート」はどうするのか?。予め、毎月数日間の予備的支給量を申請しておく?、もしくは他サービス(ショート以外の…デイ・サービスかホームヘルプ)の支援費をショートに回す…これはできない(支給決定に関すること・問21)。となるとどーする?。考えられる点としては、支援費外のサービスの充実(こいつが重要…市の単独事業として、もちろん県からの応援がありきで)が大切。例えば尼崎市における「在宅重度心身障害児及び重度知的障害者介護人助成制度」などが重要な意味を持ってくると考えられます。その他、「全身性介護人派遣制度」や「ガイドヘルパー制度」等も…。しかし、やっぱり「緊急時」の支援費利用は一考されるのでは(べきでは)と考えますが、これは宝くじのようなもんであてにはならん?かな…。
  5.  支給決定者は同種のサービスについて複数の事業所と契約を結ぶことができます(市町村事務に関すること・問15)。ようするに日代わりでの事業者選択もできる…ということですが、現状ではそれだけの供給量はない!!(ヴィ・リールとぷりぱのショートステイの利用量を見ると明確)と考えて差し支えないと思います。ということは、ここの解釈としては、「できるだけ多く(複数)の事業所と契約できる(しておく)体制を創っておく」ということが大切ではないかと考えます。勘ぐり半分で述べさせてもらうとサービス供給量が少ないままであれば需要量(支援費量)を減らさざるを得ない…なんて考えなんかも出てくる(こないとは限らない?)かも知れません。となると、今のうちに支援費に移行するもの、しないものを含め、制度をしっかり利用しておくということが重要だと思います。勘案事項整理票参照(支援費制度の事務大要P47・48)。
  6.  もうひとつ、気になる点として「基準該当居宅支援事業者」というのがあるのですが、これもサービスが少ない(もしくは足らない)自治体では重要…、しかし誰が足らんと判断するのかも問題ですが、ここいらの基準の参考例も出てくる(市町村事務に関すること・問28)ようで、一応注目で、個人的には必要だと考えます。
  7.  で、指定事業者の件ですが、これもけっこう混乱があったようですが、事業者ごとで、居宅支援の種類により指定となっています。たとえばヴィ・リールは「短期入所」と「ホームヘルプ」の指定事業所で、ぷりぱは「デイサービス」(なんてことにはならんでしょーが)の指定事業者である、といった具合に。で、指定は「県」(指定都市・中核市以外)で(都道府県事務に関すること・問1・2)、指定事務手続きの日程表(案)(支援費制度の事務大要P36)は要チェックです。夏には指定事業所が明らか(その時点での)になっており、秋には支援費支給申請が開始となっていく段取りです。
  8.  で、余談のようなうちわのお話しで申し訳ないのですが、既に事業(短期入所)を行っている事業者である「ヴィ・リール」に「ぷりぱ」ですが、指定事業所の審査なんかが省略できるもんだと思いあがっていると、そーでもないようで、あくまで「保護家庭」の身である両者はきわどいセンにいるとも考えられます(都道府県事務に関すること・問4)(涙)。
  9.  支給決定に関することとして、「支援費制度の事務大要P41の1.支給決定の基本的考え方について」と「P42〜46の2.支給決定の際の勘案事項についての(2)厚生労働省の規定について(3)当該事項を勘案すべき事項として定める趣旨」を押さえておきたいところです。
  10.  とりあえずは「身障手帳」と「療育手帳」は所持しておかなければいけません(支給決定に関すること・問2)。稀に重複障害といわれる方で、「身障手帳」のみの所持という方もいらっしゃいますが、ここらは注意かも知れません。
  11.  短期入所についての利用理由は現行どおり(支給決定に関すること・問3)であたりまえ。なんで、今のうちにどんどん使いましょう!!。
  12.  さて、支援費内外のサービスを共に利用しよう!!と言ってきたのですが、どーも、支援費支給対象サービス供給量が少ないと、支援費量が押さえられることも充分に考えられます。もちろん支援費内外のサービス利用と自治体独自のサービスも必要です。そこいらを考えて現行の制度・サービスを利用していくことが重要かと思います(支給決定に関すること・問5・6)。
  13.  支給決定に関しては審査・判定がけっこう重要・大切で大変な作業となると考えられますが、専門部所がほしいところです(支給決定に関すること・問15)。
  14.  春には「市町村事務処理要綱」の提示があるようです。また、「都道府県支援費担当職員等説明会」もあり(支援費制度の事務大要P6)、担当職員(県の)にお話しを伺う機会を作るのもいいかと思います。
  15.  支給期間に関しては、勘案事項の変化(介護者や障害の状況などにより)を持って市が決定とあります(支援費制度の事務大要P53・54)。と、状況に変化がない場合は概ね1年から1年半で更新(再申請して決定を受ける)することとなりそうです。
  16.  支給量は「1ヶ月につきOO時間」といった決め方となるようです(支給決定に関すること・問20)。
  17.  で、またしても出てくるのですが(支給決定に関すること・問21)、それぞれのサービス量の振り替えはできないということ。これはやっぱり重要(問題として)であると考えます。
  18.  もひとつ、居宅生活支援費についても(ホームヘルプは除く)障害の程度により支援費の額に差を設ける必要性は検討されていくようです(支援費制度の事務大要P56)。
  19.  とても大事なところであると考えます「6.相談支援体制の充実及びサービス利用に係るあっせん・調整、要請について(支援費制度の事務大要P58)」です。ここでも、やっぱり、大小いろんなネットワークの重層的な連携が必要不可欠となると考えられます。「療育等支援事業」者さんらを中心に地域生活を考えていく必要は間違いなくある現状だと思います。
  20.  これも混乱のあるようなところですが、「ケアマネジメント」が支給決定の必要条件ではありません(支給決定に関すること・問35)が、その手法により必要支援量を勘案していくということは必要かつ重要であると思います(支給決定に関すること問・34)。
  21.  支援費基準に関することとして、支援費の算定単位は「ホームヘルプ(居宅介護)」が「30分単位」、「デイサービス」が「半日もしくは1日単位」、「短期入所」が「1日単位」となっています(支援費基準に関すること・問15)。
  22.  利用者負担については扶養義務者にも負担を求めることとなっています(利用者負担に関すること・問4)。23. やはり、現状でのサービス量不足は間違いないと思うのですが、個人的な見解を繰り返すのですが「基準該当居宅支援サービス事業所」が増えて欲しいと願うところです。もし、今後生活支援といわれるサービスの提供者になろうと思われる方がいらっしゃるなら、もしくは「選べるサービス」が創られて行くとしたらやっぱりここいらが必要だと常々思います。そんなんで「支援費制度の事務大要P64〜65の(4)基準該当居宅支援に係る人員・設備等」に期待です。

 やっぱりどーみても、「今、大事なこと」は、今〜今後の家族を含めた本人が、「どんな暮らし(生活)を求めるのか?」ということと、「それを実現できる社会資源(提供サービス量)は、自らの地域にあるのか?」ということだと思います。理想論ではあかんのですが、それらを創っていくのも、本人・家族にサービス提供者、そして周囲の住民(地域民=市民)に行政を含めた協働作業であると思います。そんな作業の一端をこのネットワークで担えれば(少しでも)と思います。

 以上、、誤認にわかりにくい文章などなどご容赦くらはい、ね。文責・国本

あと、何点か確認事項です。

  1. どなたか「尼カンネット(仮称)」準備委員(というのは大袈裟だ、…なんで、「準備係」)となっていただける方、いらっしゃいませんでしょーか?。
  2. 次回テーマのご希望があれば、どーぞ。
  3. その他、アナウンスなどあれば、どーぞ。

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