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尼崎市における支援費制度に関する確認と質問書

22日に行われます支援費勉強会に向けての尼崎市支援費担当者宛の確認及び質問書【案】です。

掲載日:2002年10月19日
文責:尼崎の生活支援を考えるネットワーク事務局
李 国本 修慈


 前略。10月21日における「出前講座」に関する支援費制度についての確認事項と、あらかじめご質問内容をお知らせさせていただきますので、ご対処の程よろしくお願いいたします。

はじめに

 支援費制度の理念等については共通理解ということ(なかなか理念等が市町村行政窓口まで充分に届いていないといった懸念もありますので)でOKということで省略しますが、連動して現在内閣府において策定検討されています「新障害者計画」、来年度からの「地域福祉計画」策定なども考慮の上、トータルな視野の上でのご質問もさせていただくということで、以下の資料を熟知の上、ご回答の程よろしくお願いいたします。

  1. 平成14年9月12日 支援費制度担当課長会議資料
  2. 平成14年9月6日付事務連絡
  3. 平成14年8月支援費制度関係Q&A
  4. 平成15年度障害保健福祉関係 概算要求の概要
  5. 平成14年4月1日通知「市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画の策定について」
  6. 社会福祉法(抄)(平成15年4月施行)第107条(市町村地域福祉計画)
  7. 平成14年3月5日厚労省障害保健福祉主管課長会議資料・指示書
  8. 平成14年7月16日事務連絡 厚生労働大臣が定める居宅介護従業者の資格要件の取扱いについて
  9. 9月30日社会保障審議会資料

確認及び質問

1.市町村事務に関すること

  1. 指定事業者情報提供システムについて、尼崎市はどのようなシステムを導入予定か?。WAMNETか独自システムか。 
  2. 居宅支援費の支給申請時には18才未満ということで保護者が申請者となるが、18才の誕生日には改めて支給申請をしなければならないこととなり(平成14年8月支援費制度関係Q&A、(以下8月Q&Aと表記)問16による)、極端な例で4月2日に18才の誕生日を迎える利用者の場合、どのような対策を講じますか?(15年3月までに二通の申請書を受理しますか?)。平成15年度内に18才の誕生日を迎える方には、8月Q&A問21にあるように、支給期間の空白とともに2度手間にならぬような配慮をお願いいたしたいところです。 
  3. また自己負担額についても20才を境に負担額が変わるが、この際は事務方手続きのみで、再度申請は必要ないか?。 
  4. 現行では成年後見制度が充分普及されていないということから、本人が契約できない場合、本人が信頼するものが変わりに行うのもやむを得ないということになっています(8月Q&A問19)が、尼崎市の場合、どなたがしますか?。入所・通所職員ということでは問題があろうかと考えますが如何でしょうか?。福祉事務所員?、社協・利用援助事業?、事業団・支援事業?、障害福祉課?。大きな課題であると思います。後に質問のケアマネジメントと合わせて今後の方向性を含めご回答願います。 
  5. 緊急時などの支給量超えのサービスが必要時の職権による支給量の変更も適切なカタチ(簡素・敏速)で行っていただけるよう期待したいのですが、その際の窓口(コーディネイト含む)は誰が担うのか?。 
  6. 支援費制度と類似するサービスと市単事業(例えば尼崎市では他人介護料助成事業)の受給者証への同一管理は考えているか?。ここらあたりは利用者にとって、支援費のみで生活を成り立たせていくわけでなく、簡素化も含めて考慮する余地があるのではないかと考えますが如何か?。 
  7. それ以前に「他人介護料助成事業」は、存続されるのか?。また、後でも取り上げる「緊急一時保護家庭制度」の位置付けも明確でないことには、申請しようがないのですが、如何お考えでしょうか?。【利用者にとっての支援費は生活を送る上で重要なものではありますが、それで全てがまかなえるものでもありません。もちろん、支援費で補えない部分を市(行政)や市民(ボランティア等)がフォーマル・インフォーマルなサービスをどう揃えるかが大切な訳ですが、その前に、本人の余暇であるとか、生活習慣などを熟知しておかなければ、それぞれの支援費支給決定なんてできないはずなんですが、同様にフォーマルなサービスもこの時期において明確にておかなければ大いなる問題であり、混乱を招くものであると考えるのですが、如何でしょうか?。】 
  8. 尼崎市の支給申請書の記入例を見ると、居宅介護の欄に「身体介護〇回/週」「家事援助〇/回」といった記載がありましたが、申請者はかなり混乱があると考えるのですが、如何ですか?、「移動介護」「日常生活支援(仮称)」の区分けもなかったようですが、どのような理由からかお知らせ下さい。受理後、処理する方も大変だと思うのですが・・・。

2.支給決定に関すること

 【平成14年9月6付事務連絡において、居宅支援の内、身体・知的障害者デイ・サービス、身体・知的障害者・児童短期入所、知的障害者地域生活援助では障害の状況におき単価の区分が示されたのですが、その判断解釈に利用者と行政間での相違がみられそうな点もありますので確認して行きたいと考えています。また支給決定に関しては、おそらく多くの自治体で混乱が起こることが予想されます。豊中市では「支援費認定調査委員会」を設置していますし、西宮市では「障害者ケアマネジメント」を公的機関で実施するなど、事後(不服申立)でなく、申請前の対処として行われようとしていますが、尼崎では、今後、そこらあたりをどのように考えているか(不服申立から訴訟になると市としても大変だと思うのですが)も明確に示していただきたいです。】

  1. 9.6通知によると「新設される児童の移動介護については、屋外の移動に著しい制限のある視覚障害児若しくは脳性まひ等の全身性障害児又は知的障害児であって、保護者が付き添うことができない場合を対象とする」とありますが、このあたりの解釈及び「児童居宅介護」での「移動介護」の要綱にも、明確な支援費制度の理念であるところの「本人主体」といったことを反映させていただきたいところです。また、9.12資料内での指定居宅支援費単価表(案)1児童居宅介護支援費ハの(イ)には「身体介護を伴わない場合」という単価設定があるのですが、このへんも合わせて、「保護者が付き添うことができない場合」も充分考慮いただきたいと思います。 
  2. 知的障害者の居宅介護支援費の移動介護が中心である場合においても「身体介護を伴う場合」と「伴わない場合」との単価差別があるのですが、その際の明確な区分理由などは示されていないのですが、知的障害者で自閉症といわれる方々の移動介護においてはいわゆる「見守り」、時としてのパニックや、同一性保持にみられる行動をヘルパーが抑止しなければならない場合もあり、「身体介護を伴う場合」という解釈はそういった方達も含まれるということでしっかり確認願います。 
  3. また尼かんネット参加者では、支給申請の際に「障害者ケアマネジメント」の手法を用いて「ケアプラン」を持って、各人が申請していく予定ですが、上記でも記したとおり、支給決定を行うには、本人の生活全般を知り得ていないと決定しようがありません。その点の確認を勘案事項整理票記入者及び勘案者の方にはしっかりと認識していただくようお願いいたします。 
  4. 調査にあたっては、その場所、調査員の性別などの選択は利用者(申請者)からできるかどうか?。 
  5. 新障害者計画や地域福祉計画の中でも「ケアマネジメント実施体制の整備」は第一に挙げられているが、現状で間違いなく必要であるマネジメントの位置付けを今後を含め、どのように考えているか?。制度化されるまでは支援しないのか?、出きる限りの支援をしようとしていくのか?。 

3.事業者・指定基準、基盤整備に関すること

  1. 前述しました「短期入所」について、その位置付けが明確でないとプランも立てられないのですが、障害福祉施策が市町村主体(地方分権は避けられませんね)となり、地域福祉計画も市町村の義務となり、市としての明確な位置付けが必要であるかと考えます。もちろん、その市に対しての県の「支援計画」に、市単事業を組み入れていくという働きかけは必要であると思いますが、これだけの需要量、しかも右肩上りの事業、その受け皿を明確にしておくことは急務どころか、申請時期に入っていながら示されていないということは大きな問題ですが、いかがでしょうか? 
  2. また、「短期入所」については、その基準を満たせば通所施設やNPO法人でも指定事業者となれると確認しています。利用サービス量の減少はおこらないでしょうか?。 
  3. デイサービスにおきましても、例えば重複障害者といわれる方々は週に2〜3回の通園しかできていないといった状況があるのですが、その方々が支給申請した際に、そのフォローはできますか?。 
  4. 同じく知的障害者といわれる方々に対してのデイサービスについて、作業所などとの併用は可能な訳でして、多くの方が支給申請した際には対処できるのでしょうか?。仮に「保留」「不支給決定」とした際についても今後の見通しを明確にお答え願います。 
  5. ホームヘルパーの絶対量が不足していると考えるのですが、7月16日事務連絡に記載に基づいた県の意向(特に現状で居宅介護に従事している者の認定について)をお知らせください。
  6. また、上記事務連絡にある「ホームヘルパー(及び)ガイドヘルパー養成研修」を市として実施推進(委託)する意向はないのか?
  7. サービス基盤整備において、現状で存在しない、もしくは不足しているサービス(デイ・サービス及びショートステイ)を早急に補う(一時的である)には「ホームヘルプ」であると考えますが、今一度3月5日指示書の読み合わせをぜひともお願いいたします。

4.今年度で国の障害者計画も終了ということで、

既に新障害者基本計画骨子(素案)も出ていますが、尼崎では「障害者計画を策定する予定はない」と市議会等で発言されているようですが、平成15年度からの支援費制度移行、新障害者計画の開始、地域福祉計画策定への規定など、まさしく共働のまちづくりへの流れとなる中、市の主体性は大いに問われるところです。地域福祉の障害福祉を担う担当課の姿勢を新障害者基本計画骨子(素案)に基づき、以下の件について確認しておきたいと思います。

  1. 啓発・広報(U施策の基本的方向3.)に関して、支援費制度においても重大な課題であったかと思うのですが、今後も窓口におけるサービス従事者等の障害児・者への理解の徹底は如何に図られるか?。 
  2. 生活支援に関しては、上記にも記したとおり、「身近な相談体制の構築」が重要な課題であると言えますが、@.「ケアマネジメント実施体制の整備」、A.「サービス内容の情報提供の促進」、B.専門機関や事業のネットワーク化」などは、それぞれどのように構築していく意向かを明確にお答え願います。 
  3. また「権利擁護の推進」ということも重要課題であるのは言うまでもないのですが、「地域福祉権利擁護事業」や「成年後見制度の利用援助の促進」などはどのように図られますか?。 
  4. そして、地域福祉の核である「在宅サービス等の充実」として、上記に記したとおりの「ホームヘルプサービス」や「グループホーム」を障害児・者のニードに応じて利用できるよう、その量・質ともの充足を如何に図っていくのでしょうか?。 
  5. また、支給申請時の不服申立に、サービス利用の苦情解決、第三者評価機関の普及などをどのようなカタチで円滑に実施していくのかもお聞かせください。 

 上記の事項は障害者計画の策定有無を問わず間違いなく市行政及び市民に課せられた問題であると考えます。地域福祉計画策定指針にもみられる市民参画の強い意識を障害福祉課職員みなさんにもお持ちいただきたいと痛切に望むところです。

 22日の出前講座では明確なご回答と、市民(当事者及び関係者)との共働意識が双方に作用するような場でありますように願っています。尼崎の障害福祉のみならず地域福祉への共働・協力は惜しむべきところではありません。ぜひ今後ともよろしくお願いいたします。


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