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尼かん・いたみんネット

支援費制度学習会の報告

なにぶん、記憶に留めている範囲での羅列なんで誤認による誤記に不適切な表現について、全ての文責は国本にあります。

作成日:2003年1月16日
掲載日:2003年1月20日
文責:李 国本 修慈


ということで、16日午後6時過ぎから開始となり、大賀さん(被災地障害者センター事務局長)から、「そろそろ各地でガイドライン(支援費支給に関する)が出る頃ですが、尼崎では?」ということで始まりました。

続いて福永さん(同センター代表)から挨拶があり、自治労県本部副執行委員長岩間さんから今回の問題(ホームヘルプに上限をつけるという)に関し、中央(国の)社保審(社会保障審議会、ここでは身体障害知的障害分会を指します)でも、そのような情報はいっさい流れてこなかったということで、あちこちで言われているような局長以上、もしくは財務省との折衝から突如明るみに出てきたのではといったことが話されました。

つづいてシンポジウムに移りパネラー順に、まずはえんぴつの家理事長松村さんから、昨年度喜んだこととして「宮城県の施設解体宣言」に、「埼玉県のインクルージョン政策(二重学籍容認)」についてがあげられ、その一報で、今回このような事態となったことに対して、国への怒りを強くお話しされました。また、当事者の家族として、よくわからない新制度について、「まず、聞く人がいないじゃないか」ということを指摘した上で、自ら学習され、周囲との勉強会等を重ね「暮らし(生活)のイメージを創る」必要性を強く語られました。

また法人理事長(経営者)としては、昨年末(12月27日富田省吾さんのページから)の支援費基準(案)による単価設定では運営ができなくなるという指摘がなされました。

ちなみにえんぴつの家さんは古くからデイサービスにグループホームなどの運営展開を図られてきています。デイサービスでは支援費後の比較では1/3の運営収入となるようです。グループホームでも人数が増えると単価が下がるといった9.12からの後退が見て取れます。

そのなかでただ1点のみ、利用者負担が20才以上では本人の収入となることが今回の新制度の改正点ではないかという指摘がありました。また行政の無知なども嘆いて(たように聞こえたので)おられました。

つづいて尼崎市の障害福祉課参事で支援費担当の橋本さんから、現在4人体制で支援費準備にあたっていること、国からはレシピは届くが、それをどのように料理していき、上手く料理するのが難しい・・・といったことが言われました。

また、「事業者にとってはあまりよくない制度かも知れないが、利用者にとっては悪い制度ではないと思っている」との発言がありました。

ホームヘルプの予算については平成15年度は1.5〜2.5倍の要求をしていること、また新規事業となる「児童ガイドヘルプ」について予算どり(予算要求)は困難であるが懸命に取り組みたいという趣旨の発言がありました。「決して(今回の新制度が利用者にとって)不利に働くことはない」と発言されました。

また1月末で調査は終了し、2月末までに支給決定を済ませ、新制度開始までの1ヶ月にて事業者との契約を行えるような予定としているということでした。

また供給量の問題として、昨年11月に行った事業者参入調査アンケートによると新規参入を含め30者以上の居宅介護事業者の存在(注1・・・あえて存在という言い方で記しておきますが)が見込まれるということです。

需要の方では、居宅3サービス(ホームヘルプ、デイ、ショート)で1500件を見込んでいるということで、これは今年度比1.5倍ということだそうです。

ただ、この数値自身も未だ年度途中で13年度の比較ということであれば大きな問題でしょうし、先の予算要求も1.5倍と2.5倍ではえらい違いで、しかも予算と需要の整合性はみられるのか?という点についても不明瞭で曖昧であるように思えます。ここらの数的計算はしっかりせねばならないのですが、どうも不安です。

ちなみに尼崎市の事務事業評価システムは→http://www.city.amagasaki.hyogo.jp/web/contents/info/city/
city03/gyokaku/hyoka_system/PDF/423044.pdf

http://www.city.amagasaki.hyogo.jp/web/contents/info/city/
city03/gyokaku/hyoka_system/PDF/423061.pdf

などでみれますが、まだ平成13年度の決算はアップされていません。ここ、だいじなところですが、どなたか細かな集計できませんでしょうか??。ってな気になります。

続いて立花福祉事務所のケースワーカー堀さんから、実際の調査に関しての感想(のようなお話しでした)として、謝罪の意もこめて(のようでした)、さかんに「大変」ということが言われました。

内容として、尼崎には6ヶ所の福祉事務所があるのですが、ケースワーカーは「生保(生活保護)で手がいっぱい」であるということ、事務量の多大さなどなどから、現在の実態ではとても本来あるべき調査は困難であるということを繰り返し語られてました。また、来年度から平成16年度にかけて福祉事務所の統合が行われるということで、重要である「相談的」な役割は福祉事務所の実態としてより困難になっていくのではないか?という指摘がなされました。

また調査を通じての感想として「つつましやかな要求だなぁ・・・」であるとか、「調査の項目としての自閉傾向等々などの言葉の定義や状況などがわからない、かえって利用者への不安を増強させたんではないか」といったことが事務所内でも議論になったということでした。
このあたりはごもっとも・・・で、いわゆる調査員の質という点もこれまでに問題としてあがっていました。またこの機会を通じ行政と市民が向き合うチャンスでもあるということも言えるとも思うのですが、やはり今後事務所統合に伴う初期相談から情報提供、ましてやマネジメントを誰がどう担うのかといった問題は更に重要であることが認識できたのではないでしょうか?(できてるかしら?)。

続いて松村さんからは神戸の調査状況の報告があり、神戸では調査を事業者職員が代行で行っているということで、なかなか行政の苦労もないようだということが言われました。また疑問点として「供給量が大丈夫(前述の橋本さんの供給量説明時の言葉に対して・・・であると思います)と言うのは無理がある」と指摘されました。自らが利用者(正確には代行人・・・ということでしょう)であり、事業者であることから、事業者が参入できない理由=事業費単価が低い、と、選び方が充分に周知されているか?などといった点を具体例として、「実際には(現状では)選べない」と断言されてました。

ここの部分が最もわかりやすい部分だったなぁと感じました、振り返ると・・・。

これに対して橋本参事さんは「(制度が)かわる時は混乱が起こる」、「・・・(そこらということか)割り引いて・・・」といった発言がありました。また、「ショートとデイに関しては受給バランスが取れない」ということで、いわゆる緊急時の際の「万が一(不明な部分という意味かな?)のわからない部分については『カラ打ち』を行う(やむを得ないということのようでした)」ということで、「けっして支給決定量が保障される訳ではない」ということを強調していました。

で、うーん、となるのですが、今回ひとつ問題が明らか(と言っても以前から同様なんですが)になっているようです。

まずは支給決定した分が保障されなかったらこれは大きな問題であり行政としても大変なこと・・・です。まずこの認識がないみたいで・・・。

で、あれば、『カラ打ち』と表現する部分をどう補うのか?といった点を大賀さんも質問していたと思うのですが、「てだてがないです」とおっしゃっていました・・・橋本参事さん・・・でした。

ここが政策としての大事な点で、どうも支援費サービスのみで居宅生活を整えなければ・・・と言うか、それ以上、もしくはそれ以外=市独自のオプション・サービスの発想はないかのごとくでした。

ここにもカネ、予算の問題が大きく関与してくると思うのですが、やはり数値の明確な提示がいるようです。

次に大賀さんから掘さんに対して「調査に携って、多かったサービス・ニーズは?」との問いに掘りさんは「ホームヘルプ」ということで、「緊急保護だとか・・・、その制度についても知らない方が多いようで・・・」といった発言があり、堀さん自身も不明確な認識(緊急一時保護家庭制度について)のようでした。

また松村さんからは「事業者はようけなかったらあかん!」という言葉と共に「行政としての役割は?」という問があり、これに対して橋本参事さんは「事業者が参入するように誘導していかなければならない」ということでした。ただ、基盤整備には単価がポイントになるので「(供給量は・・・という意味だと思います)・・・つかめない」といったトーンダウンの言葉となってました。

ちなみに「サービス基盤の整備」義務も市町村にあります。

また大賀さんからは見えにくいグループホームの事業申請に利用申請という指摘がありました。これも的確な指摘かと思うのですが、先に記した事業者参入調査でも「グループホーム」のチェック項目すらなかったように記憶してます(たぶんなかったです、間違いでしたらスイマセン)。

ということで松村さんは繰り返し「選択なんかはありえない」と語ってました。それが可能となるには「単価を上げる」しかないということも強調されていました。

続いて質問者から、@.現在自薦介護人として介護に入っている者には市からの連絡が未だにないという指摘がありました。またA.予算のアップに関しても市負担の1/4が倍増したところで単価増とあわせた需要量の増加(これについては1.5倍見込みとの発言あり)に追いつかないのではないかとの指摘がありました。

@.については、未だ参入事業者が明確でないので事業者への登録を勧められない(というようなニュアンスでした)という返答で、A.については、やっぱりあんまり明確な試算ができていない様子でなんとも解りにくい曖昧な返答でした(はっきりした言葉を覚えてません、すいません)。

ということで、時間は過ぎて、最終、尼崎市に関する事としては、「みのり園」「まつば園」が平成16年から民営化することに対して堀さんから「全て民間委託する」ことへの疑問があげられ、公的機関(施設という意味)の役割(こういう言い方ではなかったですが)、民間と公共機関との競合もあるべきでは?という提議がなされてました。

橋本参事さんからは「量(サービス提供)は今までより、多いですよ」「みんなのニードを活かしたい」ということが語られました。

最後に松村さんから「それを掘り起こしてきたのが我々である・・・」というようなニュアンスの発言があり、ここらあたりに行政の役割があるのではないか?といった問題提議があったように思います。

そのまた最終に、大賀さんから「上限問題」について、尼崎市のスタンスに対しての質問があったのですが、橋本参事曰く「その人が必要とする量が上限である」というようにおっしゃってました。この後、この言葉を記憶に留めておくようにと大賀さんからの発言がありました。

その他の質問として自薦介護者の賃金問題などもあげられましたが、どうも橋本参事さん、数値の把握もなかなか的確にできていないところがあるようでした。

ということで、以上です。

かんなり長くなりましたが、省略に適正でない表現に的確でない記述もあるかと思いますが、ご容赦ください。

最後に感想として、やはり、実際に調査に入った堀さんの言葉などからも、相談、情報提供、マネジメントといった機関、これの重要性、ここを手厚くする(ようするに量質ともの充実=予算付け)ことへの認識は持てたのだろうか?。

穏便なやり取りの中にも再三の「ニーズの掘り起こし」、又は、「制度施行以前の、人(当事者)の暮らしに対する視点」の重要性が、大賀さんや松村さんからなされていたように思います。

大事な事は、いかに行政と当事者(でない市民も含みます)が向き合えるかということ。
それと、やはり、新たな制度転換期に明確なプラン、具体的な手法に数値が間違いなくいるということ。これがないことには実現できないのでは・・・ということを今回(上限問題などで)改めて実感しています。

障害者計画のみならず地域福祉計画としてのトータルな福祉プラン、まちづくりプランの具体化(これにつきます、カネを含めた)が急務です。

支援費制度のみに翻弄されている場合でもなく、それぞれの人の暮らしに直面して考えることの必要性を痛感しました。そんなところでオチマイ。最後まで読んだ方はスゴイ・・・です。


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