地域生活を考えよーかい

尼かん・いたみんネット

パブリックコメント

掲載日:2003年2月3日
文責:特定非営利活動法人アップストリーム障がい者支援センター
副理事長・松岡 孝司


(コメント1)
U「市行政の現状と今後の収支見通し」についての意見を述べます。

5ページの「収支の実態」において、本市財政の慢性的な収支不足の原因として「バブル経済崩壊、市税収入や収益事業の収入の慢性的な収支不足」そのための基金の取り崩し、さらに「平成14年度においては、深刻なデフレ経済の進行による市税収入の大幅な落ち込などにより150億円の収支不足が見込まれた。」とあります。

ここは本市の現状への分析ですが、失礼ながらいまや小学生でも言うようなバブル崩壊・デフレ経済の進行などに尼崎市の財政破綻の原因を求めておらえるようですが、正直に書いてもらわねば困ります。

正しくは、前々市長・六島市長(4年)と前市長・宮田氏(8年)の市政運営の失敗であったと。
この経営再建プログラムの中で、約1000億円投入予定だった阪神尼崎駅前の再開発(俗にいう空中庭園)は、工事開始いらい、庄下川の護岸美装工事も含めると10年以上に及ぶ工事ですが、いまだに空中回廊は予定の半分も出来ておらず、使ったお金は600億円と聞いています。どうやら当初の構想の半分も出来ないままに昨年秋に完成したアルカイックホールと尼崎駅との連結で、おしまいになりそうです。
大阪ガスタンクの広大な跡地も市の中心に位置しながら、野ざらし状態です。

大体において、いくら関空開港に備えてとはいえ46万人の都市の中途半端なターミナル駅の前に1000億円の工事をする都市計画が、基金取り崩し(277億円→33億円)の真の原因であると多くの市民は考えております。

そのことについての一言の言及もなしに、つまり市民の考えている真の財政破綻の原因追求と反省を無くして、なにが「経営再建プログラム」なのか? と思います。
少なくとも、阪神尼崎駅前の再開発の事業が、この10数年の尼崎市の財政にどんな影響を及ぼしたのかという、市当局の分析と反省を聞かせて頂かなければ、この「経営再建プログラム」の実際上の効果は別にして、評価は保留せざるを得ません。
なぜなら、財政破綻の真の原因と責任を突き止めず曖昧なままに「経営再建プログラム」をいきなりのように突きつけられても「また、同じ失敗をするに違いない。」と私を含め多くの市民は考えているからです。
それほどに、この12年間の市政は「市民の不信」を買っているのです。

考えてみれば、このような「市民の不信」を買ってしまったことこそ、今後の尼崎市の再建に取って最大の損失であったという、深い深い反省と真の徹底した財政破綻の原因追求と、市当局の市民への謝罪がなければ、市当局と市民との真の和解と再生への道はないと思います。

そういった意味で、この「経営再建プログラム」は小手先だけの、あまりに軽薄な再建案であるという印象を免れえません。

このような「市民の不信」を買った原因として、「市尼高への玉木君、入学拒否事件」「不正出張」「震災後の被災市民に対する市当局の冷たさ」(被害の大きかった、西宮・芦屋・神戸・伊丹・宝塚などが震災直後に、市民にブルーシートを無料配布したのに対して、尼崎市は有料でした。)
市当局にとっても、全国ニュースで取り上げられることは「市民社会の物笑いの種」になるような事ばかりであった事は、思い当たること数々でしょう。
真の市民サービスとは何かという事を真剣に考えずに「尼崎市」の評判を落としてきたのは、市当局です。
私は、生まれてから48年間殆ど、この尼崎に住んでいます。しかし、私がもし関西に転勤してくる人間ならば、失礼ながら「尼崎」に住みたいとは思いません。勤める場所にも寄るでしょうが、少々家賃が高くても同じ兵庫県内なら、西宮・芦屋・神戸・伊丹・宝塚などに住みたいと思うでしょう。
現に隣の西宮が、震災以降に一旦落ち込んだ市人口はすでに回復し、尼崎市は30数年前は西宮市の2倍の人口があったのに、今年の春には追い抜かれるでしょう。

市税収入の慢性的な収支不足をバブルやデフレのみに押し付けないで貰いたいと思います。先ほどから挙げた尼崎市特有の市政運営の失敗・市当局の姿勢にこそ、真の原因と反省を求めるべきです。

以上、まずは「経営再建プログラム」策定の基本姿勢に関する意見を(コメント1)といたします。

(コメント2)
次に10ページの「行政サービスの水準」についての意見を述べます。

計画の中で「公共施設の設置状況については、人口などによる市域面積など地理的条件等も考慮する必要があるが、こうした諸条件が類似した市川市・松戸市・川口市の3市と、主な施設について比較してみると・・・本市の配置状況は充実したものとなっている。」と結論され、これが原因で財政状況悪化。後に続く「経営再建プログラム」の推進という根拠になっています。

結論から先に言います。地理的条件や産業構造のみを特化して、類似比較しても何の意味もありません。
都市は歴史的・文化的・地理的なその他もろもろの文脈の流れの中で発生したものであり、そのような総合的なコンテキストを無視しての比較というものは、例えていうなら「自分に都合の良い事実のみを提出し、都合の悪いものは隠して判断させる一種の詐欺行為です。これはカルト教団のマインドコントロールの常套手段です。」

はっきり言いますが、何故これほどまでに私たち尼崎市民は、市当局に愚民扱いされなければならないのでしょうか?激しい怒りを覚えます。

市川市・松戸市・川口市の3市はいずれも、ここ数十年に人口が急増した都市であり公共施設の設置状況が50年を越える市政の歴史を持つ尼崎市と比較する対象の都市では、当然ありません。この3都市はこれから、公共施設の設置状況が良くなっていく都市ではないですか?
この3市の選択に、意図的なマインドコントロールがあるのは、市当局自身分かってやっていることだと推測できます。違うのならば、その選択の根拠を示して頂きたい。

同じ比較するのならば、歴史的・文化的なコンテキストの類似した、西宮・芦屋・伊丹・宝塚の阪神間の近隣都市や豊中・吹田・茨木・高槻などと地理的条件を均等に均して、例えば伊丹が人口46万人ならば、今の人口の何倍で、公共施設はその倍数になるという。もっと肌理細かい比較をして頂きたい。

いったい、自分が行った事もないような市川市・松戸市・川口市の3市を、ここで急に地理・産業が似てるからといって、他の条件を全て無視して急に何ゆえに「右にならえ。」をせねばならないのか、さっぱり分かりません。

この文章を書いた人間の総合的な知性や理性に対して疑いを持たざるを得ません。

はっきりと、怒りを込めて書きましょう。「市民を馬鹿にするな!」と。

以下、17ページにも「財政再建団体になれば・・・云々」とありますが、こんなズサンな「経営再建改革プログラム」を作っておいて拙速に計画を「財政再建団体」という脅し文句を使って強要しようとする手法も、カルトの常套手段だと指摘しておきます。そして、もう一言加えるならば私は「このコケオドシに満ちた文章を書いた人間の品性も疑っている。」と付け加えておきます。

(コメント3)
(コメント1)において計画の基本姿勢の間違いを指摘し、(コメント2)において計画の基礎データの作為性を指摘しましたが、この(コメント3)においては30ページの「事務事業ゼロベースで再構築をする」の「取り組みの視点・アウトソーシングの推進」についてNPO法人の人間として意見を述べます。

尼崎市では、現在もコミュニティ推進課がNPO法人に関しての担当部署ですが、既存団体(特に社協)への遠慮から、今までNPO法人に対しては一顧だにしてこなかった現実があります。昨年末に、初めてコミュニティ推進課から郵便物が届きましたが、それは県のボランタリからの郵送物の単なる転送であり、わざわざ尼崎市が郵便料金を使って送ってもらわなくても、それはすでに毎月県から送られてくる資料です。

そのような実態を踏まえてのアウトソーシングというお言葉でしょうか?市役所の中に、何人の人がNPO法についてご存知なのでしょうか?
単なる時代の趨勢に乗った耳障りの良い言葉としての、民間(特にNPO法人)への業務委託を、今までその社会基盤整備に何の努力もしなかった市当局が、まるで救済符のように、気安くお金の掛からない委託先としてNPO法人の名前を使って欲しくないというのが、NPOの人間の偽らざる思いです。
先日の白井市長の議会答弁においても、尼崎市内のNPOのおおよその数さえ掴めていない答弁でした。
数も分からずに、その実態も知らずに、どうしてNPO法人などへのアウトソ-シングなどと、ふざけた事がいえるのか?不思議でなりません。

尼崎市のNPO育成への怠慢が阪神間の、近隣都市とのNPOの数と比較して少ない実情(西宮の半分以下・人口10万強の芦屋や、人口20万人台の宝塚よりも少ない)が分かっていて書いているのなら、厚顔無恥というべきです。

ここでも大書致しましょう。

「NPO法人はそれぞれにミッション(使命)を持って、真の市民社会の形成のために働いています。市民のためになら働きますが、市当局の失政の尻拭いの為にあるのではないのです。NPO法人を知らずに知った風な事を書かずにいて貰いたい!」

以上。


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