地域生活を考えよーかい

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第2次伊丹市障害者計画(素案)に関しての意見

伊丹市のパブリックコメント募集への意見書です。

掲載日:2005年9月29日(木)
文責:NPO法人地域生活を考えよーかい
有限会社しぇあーど
代表李 国本 修慈


 前略

 先に作成されました第2次伊丹市障害者計画(素案)に関して、障害児・者居宅介護及び看護事業、地域生活支援活動を行っている視点から、以下の点について意見いたします。

 はじめに、基本方針(理念)など丁寧な文言を使った内容で、ぜひその理念に沿った計画推進をお願いしたいと思います。
 その上で、20ページBに見られる権利擁護の考え方について、「しょうがいのある人の自己決定や権利擁護を支援する施策を構築する」とあり、大いに期待するのですが、現状の地域福祉サービス利用援助事業などのみでは、到底それを構築できるとは考えられず、もう少し具体的な記述をお願いしたいです。
 続いて、20ページに記載のある重点課題における記述としてAにある「生きる力」の支援の項目ですが、「しょうがいのある人が持てる能力を最大限に生かしながら」という文言は、国の障害者基本法改訂の際にも議論となった「自助への努力」のイメージであり、計画が目指す「自分らしく生きることのできる共生社会の実現」と照らしあわしても、その文言は不要ではないかと思います。
 更に、同じくBにある安定した制度の運営の項目にある「利用するサービスの量に応じた公平な費用負担」についても、後(27ページ)にも記載のある「応益負担」と同様、文言の削除、又は変更が必要ではないでしょうか?(現時点でも定率=応益負担の在り方が問われている中、市としては、まずは、財源の確保の努力が先の記述であるべきではないでしょうか?)。
 続いて、総合的な施策体系においては重要な記述が多々あるのですが、特に、23ページにある、(2)地域生活を基本とした施策に書かれている「必要なサービス量を確保するためにサービスの種類ごとにそれぞれのサービス水準や目標量を設定し、一定期間を定めながら計画的に整備します」とあり、大いに評価できる点で、是非この文言どおり(数値目標の明確化)に計画を推進していだきたいと思います。
 24〜27ページでは、自立支援法等に合わせた計画となっていますが、示された尺度から外れる方々等への市独自の支援方針なども記載していただければと思います。
 4章施策の基本的方向性では、相談支援体制において、地域生活支援センター(仮称)など、システム的には素晴らしいモノであると感じるのですが、それが実現するとはなかなか思えず、前回の中間答申にもあった相談員の研修システム等も、相談・情報提供ネットワーク(図)内に明記するなどし、実行性のあるものとしていただきたいと思います。
 以下の方向性についても、素晴らしい文言が並んでおり、期待したいと思いますが、より具体的な方策が、今後提示されることを望みます。
 39ページからの、U.地域で共に生活するためにという項目で、その1.保健・医療サービスにある、気になる文言ですが、「障害を軽減させる」「障害の軽減をはかるため」等の言葉も、前述の「自助努力」等と同様の医療モデル的(方針にある3つの理念やICFの考えにも反するイメージを持たらす)な発想に感じるのですが、如何なものでしょうか?。
 更に、私どもの活動との関係の深い医療的ケアを要する方々や、重度重複障害児・者に対する生活支援についての記載においても、「デイサービス等の通所施設への看護師派遣を検討する」、「重症心身障害児(者)通園事業」の整備も「広域で研究」する、「支援費事業者等による短期入所事業所の設置促進」、「重症心身障害者短期入所の確保」、養護学校卒業生の受け入れ先の確保として「小規模作業所に協力依頼するなど受け入れ支援の強化を図ります」、「多様なデイサービス事業を提供していくため、多様な支援事業者によるデイサービスの実施を促進します」など、かなり厳しい実態の中での計画であると感じますが、前述の「必要なサービス量を確保するためにサービスの種類ごとにそれぞれのサービス水準や目標量を設定し、一定期間を定めながら計画的に整備します」の文言どおりの実施をお願いしたいところです。
 また、特に入所施設に関しては、「地域移行型」や「地域支援のバックアップ機能」としているのですが、その過程から行方まで、これまでの全国各地での結果や、新たな取り組み等から、きっちりとした議論と検証を行っていくことも計画内に記載すべきではないかと思います。
 最後に、計画としての理念や内容は素晴らしいものとなっていると実感できるのですが、当市において地域生活支援活動を行っている体験から、計画そのものが実態と乖離しているように感じ得ずにはいられません。
 当事者並びに関係者、更には市民が目指すべき方向性ということで、我々もしっかりと意識して取り組んでいきたい計画及び推進であってほしいと思います。
 少数派といわれるしょうがい児・者、更には基準等では振り分けられない支援度の高い方々、異ニーズをお持ちの方々等の存在を充分に共通理解としていただきたいと思います。
 また、精神障害といわれる方々や発達障害(高機能広汎性発達障害)等といわれる方々への支援策も充実したものとなるように期待いたします。

草々


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