地域生活を考えよーかい

地域生活を考えよーかい

7月24日(水) 大阪発達総合療育センターさんでのお話し内容

7月24日(水) 大阪発達総合療育センターさんでのお話し内容です。

掲載日:2013年7月16日(火)

mailto:kunimoto@kangae-yo.com

大阪発達総合療育センターのみなさま、お集まりになられたみなさまへ
「重症児者の在宅生活を支える多機能支援拠点しぇあーどの働き」

2013年7月24日(水)
NPO法人地域生活を考えよーかい有限会社しぇあーど李国本修慈

 本日は私なんぞの話を聞きにいただきましてありがとうございます^-^;。私は兵庫県伊丹市で、上記の2つの法人に属しながら「地域生活支援」のような活動と事業をさせていただいています。今日はいただいたテーマに沿って(沿えないかも?ですが^-^;)、「事業(あるいは活動)」のことや「暮らし」(地域生活)のこと、「多機能」・「拠点」・「働き(役割)」なんて言葉をキーワードに、みなさんと一緒に考えていければと思っています。

 とりあえず(どうでもいいことなんですが)私のことについてですが、やいこしいと思われちゃいそうな表記の名前(が3つあって)で申し訳ないのですが、本名が「李(り、あるいは、い)修慈(しゅうじ)」と申しまして、通名が「国本(くにもと)修慈」と申します。在日朝鮮人(韓国籍)ということですが、在日関西人、あるいは在日ラー星人等と言っています。「ラーの意味」については、末尾に記させていただいている1)通りです。

 活動の源は、やはり、どなたも(誰もが)が、ご機嫌に暮らせれば!という思いから、2つの法人で、できる限り(可能な限りではありません^-^:)というスタンスで行っています。

 私が今のような活動(及び事業)を行うに至った原点(というよりも、きっかけ、あるいは、とっかかりですね^-^;)は、ある日突然、私の母親が「白い蛇がおる」だとか「そこに(誰か)おる」などという言葉を発したこと(ところ)に辿り着きます。私はそれら(当時は全く意味不明でしたが、いわゆる幻覚ですね^-^)が何故(自分には)見えないんだろう?というか、なんとか見てみたいなどと思いつつ、図書館で調べたり(当時は今のようなインターネットは有りませんでしたから^-^:)すると、どうもそれは「脳」によるもののようだということが解りまして、「よしっ!医者になれば解明じゃ!」と一瞬(だけ)思ったのですが、すぐさま「無理っ!」と方向転換(?)いたしまして、「看護婦(当時は「婦」でした^-^;)ならなれるかも?(看護師さんに失礼ですね、すいません…)」ということで看護学校を受験することとなり、ものの見事(?)に西宮市医師会さんの看護専門学校の男性一期生(なんとなく自慢げ^-^;;)として入学させていただきました。

 その際(学校には午後から通い、午前あるいは夜間は西宮市医師会に所属する医療機関で働くと就学料が免除されるということでして)に働かせていただいた場所が「重症心身障害児(者)施設」でして、そこで初めて「重症心身障害」といわれる方々とお会いした訳です(もう20数年前、24歳の頃だったかと思います)。その際に感じた様々なことは、今もけっこう鮮明に記憶しているのですが(ここでは触れませんね^-^;)、その施設に3年程、その後も精神科病院や別の重症心身障害児(者)施設で働きながら思ったことは、それぞれのことを「入所生活」だとか「入院生活」といわれることに対し、もし私がそこで恒久的に暮らすことを強いられるとすると「やっぱり嫌だ」ということでした。

 その後、自らそういった「場」から出て地域で暮らす「自立障害者」といわれる方々に出会う機会を得たりする中で、私が関わらせていただいた「コミュニケーションが取り難い」とされる方々が「どう思っているのか」ということが気になり、当時の社会福祉基礎構造改革という流れの中、全国各地で行われ始めていた「地域生活支援」というようなことに興味を持ち始めたということが現在に続いているといった感じです。

 1990年代後半のそういった流れの中、私にも何かできることはないものか?と思いつつ、同様な考えを持つ者とともに2000年に「地域共生スペースぷりぱ」2)を共同で立ち上げました。当時は介護保険制度が開始となった年で、障害福祉にも、ようやく3年後に「利用契約制度」を導入するということが決定した頃で、活動の中心は「1時間1,000円でなんでもやります」ということで、障害の種別や程度、あるいは有無も関係なく、店舗付き住宅を拠点に多くのみなさんと過ごしていたことを思い出します。当時を振り返るまでも無いのですが、その後の10数年を経過して思うのは、やはり整えられてきた制度によって組み立てられる「生活(暮らし)」よりも、足らずながらも、なんとかしようと試行錯誤しながら共に居続ける「暮らし(生活)」の方が、とても温か味があったなぁということで、決して制度が不要だとかという意味ではなく、今こそ、当時に在ったと思われる大切なモノ=おそらく「あなたと私」というような(濃密な?)関係性を取り戻すことが必要なのではないかということを(も)みなさんと考えたいものです。

 その後、私たちは2003年に、新たな拠点として伊丹市に「有限会社しぇあーど」を立ち上げる訳ですが、それから10年間、まさに制度(支援費制度から始まり現在の障害者総合支援法)と併走し(あるいは翻弄され)ながら経過してきたのですが、如何に制度に嵌り込んでしまっているのかということを意識したいものです(繰り返しですが、制度を否定しているということではなくて、です)。

 さて、私たちは「有限会社しぇあーど」という営利法人と「地域生活を考えよーかい」という非営利法人とで活動・事業を行っているのですが、私自身、社会福祉基礎構造改革で掲げられた「規制緩和」という文言の中、それまでの任意団体みなさんが、こぞって(多くのという意味)「特定非営利活動法人」設立に向かうところに違和感を感じてまして(単にみんな同じということに対して??ということだけだったりですが^-^;;)、それまでに「1,000円/時間」でやってきたことが4倍(支援費制度開始当時、真面目に「お金持ちになる!」と思ったものです^-^;)になる中、間違いなく収益を上げられる「事業」に成ると思ったものですから(注…NPO法人が収益を上げてはいけない等ということではないです^-^;;し、もちろん、そんな決まりもありません)、当時は絵空事のような感じでしたが、地域での「雇用創出」と法人としての「納税」も含めた地域経済の活性化のようなことも考えていました。

 そして、伊丹市に拠点をおいた際(2003年4月)は、ほんとにちっちゃな事務所(パソコンと手洗い場のみの居宅介護&訪問看護ステーション)からのスタートでしたが、普通に(これまでどおりに)活動(が事業となっちゃいましたから^-^;)を行っていくと、その年には拠点を現在の鴻池地区のマンションの一室に移し、宿泊(短期入所事業として)と入浴(マンションの部屋の浴場を使用して)のサービスを強化(^-^:、そんなに力を入れた訳ではありませんが^-^;)すると、翌年には兵庫県の震災復興事業による助成金も受けながら店舗(改装してオープンスペースとして利用)とマンションをもう一室借り上げ、7年後の2010年9月には現在の「こうのいけスペース」(敷地面積374u:約113坪=20万円/月の30年定期借地契約、鉄骨二階建ての少し大きなお家のような建物)に新築移転することとなります。その費用が自己資金1,500万円、融資額が6,500万円(地元の信用金庫さんから、10年での返済契約)で、当時、少なくないご家族(主にお母さん方)から偉く感謝された(中には涙ながらに…のような方々も少なくなく)のですが、ここでも次のようなことをみなさんと意識したいと思っています。

 「こうのいけスペース」という建物に係る費用、特に私たちの活動(事業)からすると解り易いと思うのですが、ひとつは、このスペースに対して一切の補助金や助成金、あるいは寄付金も頂いていないということ(私たちは、このスペースによる法定事業は短期入所事業のみですので^-^;;=生活介護等の日中活動事業は行っていません)、即ち、私たちの活動(事業)による収入のほぼ全てが、利用いただく方々の個別給付費(身体介護だとか移動支援、重度訪問介護等)によるものです。そして、その介護給付費、なんだか「頂いている」(間違いではない表現なんでしょうが)、あるいは「与えられている」(与えている?)といったニュアンスが含まれるような気がする(私の主観です、すいません)のですが、やはり(^-^;;語気を強める!)ご本人さんにとっては、「動く(移動する)」「食べる」、更には「息する」ということの為=「あたり前に保障されるべきこと」の為の「費用(給付費)」である訳ですから、何を言わんかや!ですね^-^;。要するに、ご本人みなさんに保障されるべき「費用」(できれば所得保障費と呼びたいものです^-^;)により、こんな建物ができ、更に雇用の創出が在り(しぇあーどでは現在20名の常勤及び30名程度の非常勤スタッフを雇用しています)、常にご本人さんに一人以上の支援者が共に居るということで拠点から地域へ出て行く機会が圧倒的に増えるということにより、明らかに地域での消費が向上していくということもいえるのかと思っています。昨年度(2012年度)のしぇあーどの事業費(=ご本人さんたちから頂いた給付費)は約2億円、収益が約2,600万円で、納税額(法人税)が約968万円っ!←まさにご本人さんたちによる納税だと考えてもいいのではないか!^-^;と思っています。たいした額ではないのかも取れませんが、伊丹市の隅っこの方で、そんな地域があったりでして、ご本人みなさんが消費し納税にも繋がる(私なんぞは圧倒的高額酒税納税者だったりしますので^-^:)ということの重要性(消費することの大切さとか^-^;)がもっともっと語られてもいいのではないかと思います。

 そういった社会的貢献=消費者として納税者(法人も含めた)を作り出していくということもそうなんですが、何より私たちが意識したいのは、そういった社会的貢献以上に、彼女・彼らが「居る(おる)」ということで、例えば私たちは自らの価値観を大きく変えられてきたこと(正に多くのご家族の方も同様に仰られたりしますよね)を体感してきたのですが、そのことが現在の社会に在る「孤立・無縁」等というモノを払拭する根本的な思想=【唯、居ることこそに価値が在る】ということであるのかと思っています。

 この十数年、社会保障制度が整えられてきましたが、今も当時と同じ生き辛さ(生き難さ)を訴える方々がいらっしゃいます。今回お邪魔させていただきます大阪発達総合医療センターさん、まさしく地域での暮らしを望む方々にとってなくてはならないセンターで、医療を含めた多機能センターであるのかと思います。今回のテーマにもあるとおり、私たち「しぇあーど」も多機能拠点といわれるモノなのかも知れませんが、あえて(自らに向けてという意味で)「機能」なんてものが「多く(たくさん)あればよい」ということではなく、ひとつひとつの機能が、ご本人さんにとってどうなのか?ということを突き詰めていきたいものです。むしろ「多機能」よりも「多聞こう(たきこう)」なのかと思っています(^-^;;駄洒落てみました)。

 最後に、これからの「多死社会」に向かう際に最後を迎える場所(病院等)が不足していく、だとか、NICUの空きベット数が不足しているといった背景などから「在宅医療」や「小児在宅医療」が普及してきました(小児在宅医療も少しずつですが増えていることを実感します)が、私たちが最も大切にしなければならないことは、そういった社会背景のみに依るのではなく、全ての方々(子どもから高齢者まで)が、「何処で誰と如何暮らしたいのか」ということを意識することだと思っています。そして重症心身障害だとか超重症、あるいは遷延性意識障害などといわれる方々にも(こそっ!^-^;)同様であるということ。これまで少なくない医療・福祉・教育・行政といった立場の者たちが如何にご本人さん及びご家族を傷つけてきたのかということ、そして、彼女・彼等(ご本人さんたち)の思いを無いこと(解らない事を)としてきたのではないのかということを痛切に顧みる(省みる)べきだと思っています。そのうえで、彼女・彼等の存在の価値、社会的はたらき、命の力(^-^;;むしろ【命(こそ)が力】)をより際立たせていく、というよりも、傍らで共に居る(真の意味での寄り添い・擦り添い・張り添い)ということが私たちの役割であるということをみなさんと確認しあえればと思っています。ありがとうございました。

1)「ラーの意味」…まさに「マヨラー」という言葉に由来していまして、それ(例えばマヨネーズ)がなくてはならない(あるいはやめられない)といったニュアンスで、「ラー」の前に「重心(重症心身障害)」という文言を繋げて「重心ラー」、要するに「重症心身障害」などといわれる方々が大好きであったり、そういった方から離れられない、あるいは一緒に居って(おって)ほしいというような思いを持った人のことを指しまして、一応正式名称は「重症心身障害児・者といわれる方々らと共に生きる会」と言いまして、2011年の8月には横浜で、2012年3月には西宮で全国大会を開催いたしました。だからどうなんだ!と言われても困るのですが、緩やかに繋がりつつもぶれない思いを持ち続けましょうというネットワークで、少しずつではありますが、全国津々浦々に「ぐにゅぐにゅ」と染み渡っているところです(たぶん^-^;;)。会員絶賛募集中です^-^;;(会費等はありません)。

2)地域共生スペースぷりぱ…http://www.puripa.net/尼崎市南武庫之荘にある社会福祉法人。2000年当時は任意団体、その後NPO法人となり現在に至っています。


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