地域生活を考えよーかい

フリースペース【バックホーム】と【こうのいけスペース】

こうのいけスペース見学へいらっしっゃたみなさんへ

こうのいけスペースにいらしてくれる見学者さんへの、ご説明文書です。

掲載日:2005年5月10日
作成者:地域生活を考えよーかい
有限会社しぇあーど
李 国本 修慈


前略

 こうのいけスペースへお越しいただきありがとうございます。

 こうのいけスペースは、主にしょうがいをお持ちになる方々や係わるみなさんのフリースペースということで、2003年6月から順次オープンしていきました。

 これまでの経緯として…
1999年、国本含め同志3人で「地域生活支援事業(※1)」の立ち上げを準備・計画を始めながら施設入所されている方の外出支援や施設利用者のガイドヘルプ活動を行ってきました。

 2000年9月に尼崎市南武庫之荘に「地域共生スペースぷりぱ(※2)」を設立し、主にレスパイト(※3)事業所として、預かり、宿泊、活動拠点としてのスペースを作りました。

 当時は障害者サービスに、制度利用(今のような利用契約=介護保険、支援費制度にみられるような)というものがなく、全てのサービスは自費(1時間1000円)で、あわゆるニーズに応えていきますというスタンスで支援活動を行っていました。そんな中、自薦ホームヘルプ(※4)の活用や、緊急一時保護者制度(※5)の活用で、潜在的需要はまさに顕在化し、2002年には、利用登録者数が、尼崎市、西宮市を中心に、伊丹市、芦屋市、宝塚市など近隣市の方々含め300人を超えるといった状況となりました。

 2000年4月に法案可決となった利用契約制度(原稿の支援費制度)(※6)による事業者指定を受けるため、特定非営利活動法人促進法による法人格を2002年取得しています。

 そして、上記、利用契約制度が開始となる2003年4月に伊丹市西台に事務所をオープンし、伊丹市でも同様のフリースペースを作り、社会資源の拡大を目指しました。

 当月から、伊丹市において支援費(利用契約)制度に対する説明会や相談、支援計画立案、申請などを行い、主に重複障害児・者といわれる方々の支援活動を開始しました。

 当初は、法人格もなく、任意団体として、支援費によるサービス提供(基準該当サービス提供所と言います)を行い、5月に「有限会社しぇあーど」として法人格を取得、6月には指定事業所(支援費等の制度サービス事業者指定は県が行います)として三法(身体・知的・児童の各福祉法による)での指定を受けています。同時期に訪問看護ステーションの事業指定も受け、重度心身障害児・者といわれる方々や「医療的ケア」(※7)を要する方々への相談支援も開始しています。

 2003年6月には、こうのいけスペース(グローバル伊丹)101(極普通のマンションです)を開設し、入浴や食事、活動拠点、預かり・宿泊等のサービス提供を行いながら、情報提供・相談といった活動を続けています。

 同年中には、利用登録者も増加の一途で、現在も利用依頼、相談が続いているといった状況です。

 2004年2月には、こうのいけスペース201を開設、地域共生スペースぷりぱをイメージしながら、ニーズの高い「入浴」サービスを円滑に行えるようにとユニットバス(大きいサイズです)を設置、大画面テレビなど、できるだけ快適な空間を作るという思いで改装しています。改装費は兵庫県からのCB離陸応援事業(※8)による助成金や支援費制度による収益によります。

 同年4月には、より多様なニーズや地域社会支援を目的とするNPO法人「地域生活を考えよーかい」を設立しています。もともと、理念は非営利活動法人にあり、遅れながらNPO法人を取得したという経緯です。

 その後、現在に至っていますが、利用登録者数は130名程度、常勤スタッフ18名、非常勤スタッフ十数名という体制で支援活動を行っています。

 そして、昨年(2004年)10月に、突如として厚生労働省から提示のあった「障害福祉施策グランドデザイン」により、「障害者自立支援法(案)」(※9)が2月に閣議決定され国会に提出、今まさに、国会で審議されようという時期になっています。

 この法案によると、多くのしょうがい児・者といわれる方々の暮らしが破錠してしまう恐れがあり、2003年の制度改革開始以上の歴史的な変革時期の中に、今まさにいるということがいえると思います。

 こういった法案の根底(というか、大前提)には、しようがい児・者サービスへの財源不足があり、この国の社会保障の在り方が問われているものだと思うのですが、なかなか5%程度の障害者といわれる方々の暮らしの実情などが広く社会に認知されるのは困難であるといった状況もあるようです。

 そういった権利獲得(本来、あるはずのもののですが…)や、情報提供なども行っているところです。

 極当たり前に、普通に、自らが暮らしたい場所で暮らせる。そういった地域社会の実現に向けての活動拠点が「こうのいけスペース」であると理解していただければと思います。

 ただ、なかなか現状は厳しく、今年4月には「通知(厚生労働省からの)」1枚によるサービス提供報酬単価の大幅減額により、我々のような草の根的活動事業者は窮地に立たされています。

 しかし、そういった状況下でも、こういった活動を継続していきたいと考えています。
 ぜひ、そういった現状を少しでも感じ取って頂ければと思います。

草々


※ 1・地域生活支援事業=由来は身体障害者といわれる方々の自立生活運動から発した「自立生活支援」という言葉から、知的障害をお持ち方や、重複(身体・知的共のしょうがいをもたれる方々)障害といわれる方々への支援をそういった言い方で表現しているとものと理解していただければと思います。多くのしょうがい児・者といわる方々の介護・介助は家族が行ってきた(地域においては)ということから、家族支援などという言い方をしていた時期もありました。本文へ戻る

※ 2・地域共生スペースぷりぱ = 2000年9月にオープンしたフリースペース。預かり、宿泊、入浴、食事などの提供と、活動拠点として、店舗付き住宅を改装し利用しています。本文へ戻る

※ 3・レスパイト=介護休息。多くの地域に暮らすしょうがい児・者といわれる方々の介護の多くを担う家人の負担を軽減していただこうという概念からの言葉。当時は主流であったが、2000年以降は、家族支援(レスパイト)が第一義ではなく、本人支援(パーソナルアシスタンス)が第一義であるという考えに移行していると思います(2000年に法案可決の支援費制度や障害者基本法などによっても)。本文へ戻る

※ 4・自薦ホームヘルプ=自立障害者(主に身体障害者といわれる方々)のみなさんによる長年の運動から、「全身性介護人派遣制度」や「ガイドヘルプ(移動介護)」といったサービスができており、そういった個人契約に基づき、その人件費を行政が負担するという仕組み。本文へ戻る

※ 5・緊急一時保護者制度=兵庫県独自の県単事業で、障害児(及び知的障害者)といわれる方々を家人でない者が預かった際に、その謝礼(的な意味合いで)として、その者(緊急一時保護者)に報酬を行政が負担するという仕組み。03年からは県単事業から、市の事業となっています。本文へ戻る

※ 6・利用契約制度=福祉基礎構造改革の中、高齢者福祉の改革(介護保険)に続き、障害者施策も支援費制度という名で3年間の準備期間を経て、2003年4月に開始となっています。その理念は「ノーマライゼーション」で、「選べるサービス」という考えも基本にありました。福祉基礎構造改革は、「地方分権」「規制緩和」を持って、福祉サービスをより自由に利用できるようにとの考えだといえます。本文へ戻る

※ 7・医療的ケア=これまで法定事業所や教育現場等で懸案されてきた行為で、医師法などを理由に実施する事が停滞してきた行為。当事者や私どもは、一定の定義の基、それを「生活援助行為」と捉え、資格にとらわれず、できる限り多くの方が実施できる環境・体制作りを目指しています。本文へ戻る

※ 8・CB離陸応援事業=震災後の復興支援ということで、地域密着型のコミュニティ・ビジネスの起業に助成し、育成していこうという県の事業(06年からは商業振興課・生活産業係)です。本文へ戻る

※ 9・障害者自立支援法=昨年10月に唐突に示されたグランドデザインから、あっという間にできあがってきた法案。評価できる点として、精神障害者といわれる方々への支援やホームヘルプの国庫負担の義務的経費化などがありますが、最低限(であると思われる…例えば、移動すること、食べることなどなど)の生活援助サービスにも自己負担(利用料金)を強いるなど批判すべき内容が多くある法案です。本文へ戻る


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