地域生活を考えよーかい

フリースペース【バックホーム】と【こうのいけスペース】

しぇあめーる 第4号

作成日:2003年12月25日
掲載日:2004年1月7日
作成者:地域生活を考えよーかい(NPO設立準備中)
有限会社しぇあーど
李 国本 修慈


一年間ありがとうございました

 利用者様及び関係者皆様、一年間(と言っても4月以降の9ヶ月なんですが)ありがとうございました。
 さて、一年を振り返ってみますと、4月から伊丹市でいわゆる生活支援事業(活動)を行おうという決意を持ちながらも実際に動き出したのが5月に入ってからだったように記憶しています。
 伊丹養護学校、デイサービス利用者みなさんへの事業説明会に始まり順次面接とサービス提供を行っていきながら、常に思いを寄せるのは「しょうがい者」と言われる方々へのサービス提供、及びその前段階の情報提供及び相談ということでした。
 新たな制度が動き出した2003年度でしたが、間違いなく少数派といわれる方々の地域生活を実現していくには、常に多様かつ多彩な情報を持ち合わせ、更にそれを持って強い声にしていかなければならないことを今年初頭、そして今年末の国(厚生労働省)の動向からも改めて実感させられたところです。
 あたふたと、そして、ばたばたの2003年でしたが、どうにか年の瀬を迎えられることを感謝し関係皆様に心から感謝申し上げるところです。
 本当にありがとうございました。

ご報告(お詫び)

12月1日(月)に、こうのいけスペースにおいて、利用者さんの腹部に数ヶ所の噛み傷があるということが、利用者さんが帰宅後、母親からの連絡によって判明いたしました。
その事故は当日勤務に当たっていたスタッフの不注意(利用者さんを視野から外した)が原因であることは間違いのないところで、被害当事者である利用者さんへの謝罪及び状況説明と今後の対策の報告を行ってきたところです。
当日、同時間帯には、他の利用者さんもいらっしゃったということで、同様の事故に遭われるという事態になったかも知れず、そのような状況(事故現場すら確認できていないということ)があったことをお詫び申し上げるという意味をこめてのご報告です。
当日、事故が起こったと思われる時間帯でかかわりのあった利用者さんみなさんへご報告とお詫びの書面をさしあげた上で、その他の利用者様、および関係者皆様にご報告している次第です。
ご報告が遅れましたことも深くお詫びするとともに、今後の反省として活かしていきたいと考えています。
詳細についてのお問い合わせは国本までお願いいたします。

こうのいけスペースが広くなります

 1月15日(木)から、こうのいけスペースが広くなります。と言っても部屋が大きくなる訳もなく、もうひとスペースが新たに加わるということです。
 間どりはフラットスペースで、おおよそ現在あるこうのいけスペースと同じ広さです。
 今回、スペースを増やす目的は、大きな需要のある入浴の機会を確保したいということ。さらにゆったりとした空間(と言っても、しょせんユニットバスなんですが・・・)を利用していただきたいということとスタッフの負担も軽減したいということです。
 またそのスペースを最大限に活かす為にシンプルでフラットなスペースをイメージしています。
 具体的には、半分を床上げし、畳を入れ、また半分を車椅子でも過ごせるフロアースペースにしたいと思っています。
 12月23日現在、1.5坪サイズ(1624タイプというらしいです)のゆったりバスを発注予定です。ショールームで見てきましたが、「でかい!」ですので、利用者さんはもとより、ご家族の方や関係みなさん(スタッフ及びヘルパーみなさんもね!)もぜひぜひご利用ください。きっとのんびり気分になれると思います(入浴料は応相談・・・笑・・・)。
 将来的にはお風呂場にオーディオセットに地上デジタル放送受信テレビなんかも取り付けて、より「快適」な入浴タイムがつくれないかな?と思ったりしています(どなたか投資しませんか??)。おまけに風呂上りには冷たいビールがいつでも呑めるビールサーバーがあったりするといいですね(私だけか??)、と思っています。
 まぁ、そんな初夢を見る予定です。いろんなスペースの利用法をみなさんもぜひぜひ考えてくださいね。
 実際に利用できるのは2月頃かと思います。またお披露目会なんかができればと思います。

財源問題を考えましょう

 前号でもお知らせしながら、「まさか!(に、またか!)この次期に!」の、とんでもない居宅支援費=地域生活の基盤を揺るがすような「単価見直し(削減)案」が12月の第二週目に相次いで厚生労働省から出されました。
 ひとつは「グループホーム」の重度加算といわれる利用単価(利用者さんに支払われる額=事業者が受け取る額)を引き下げるというもの。
 更に週末12日には「ホームヘルプ」の単価をおおよそ介護保険と同様額にするということや移動介護の単価を一律とし減額する等の案を示してきました。
 上記の案がこの次期(次年度の概算請求及び予算の内示)に決定してしまうと、例えば「グループホーム」では区分1(支援費での利用者区分です)といわれる方(より多い支援が必要とされる方です)の月額支援費が約2万3千500円の減額となり、おおよそ4〜7人で構成されるグループホームを運営する実施事業者では約9万4千円〜16万4千500円の減収(月額)となり、更に年額にすると・・・。
 ようするに頑張って地域生活をやっていこうという事業者としては、例えば世話人(グループホームに泊り込んでお世話をする方です)の給料カット、または解雇(実際に二人の世話人さんを雇用している事業所はそのような事態とならざるを得ないですから・・・)などの状況を選択せねばならない事態となるということ。
 更に「ホームーヘルプ」の見直し案によって次年度の予算の試案をしてみると全国多くの事業所が2/3〜1/2の収入となることが判明しました。
 そのしわ寄せは「重度」といわれる方々にサービス提供している事業者ほど打撃は大きく、私ども「しぇあーど」に関しては、試算どころではなく(あえてしませんでした、怖くてできない・・・涙・・・、というより、試算してる場合ではない・・・と思いまして)、軽く1/2以下となる=廃業への道が明らか・・・といった状況になるということでした。
 しかし、そこは、これまでにいろんな体験をしながら地域生活を実現しようと頑張ってきた全国各地のいろんな人及び団体が様々な抗議活動を素早く起こし、翌週17日にはその案の「白紙撤回」を勝ち取りました。
 その活動を共に行ってきた身としては感激したのですが、100%その財源が確保されているものではなく、今後もなんらかのカタチの策が出されてくるとは思いますが、しっかりとした情報の把握とそれに対する考えを更にしっかり持ち続け、今後もその財源についての議論を国レベルでもそうですが、市レベルでもきっちりと行っていきたいと思います。
 ただ、財源は間違いなくみんな(市民)で考えていくことは間違いないのですが、「財源ありき(のみ)」ではないということを私個人の主張としても皆さんと共に発信できればと思っています。
これまで既成(既得のに置き換えてもいいような・・・)の財源から、最低限の暮らし(生活)さえも保障されていなかった(もしくはいない)しょうがい者といわれる方々が今も目の前にいらっしゃるということ。そんな方々の普通の暮らしの実現にどう財源を繋げていくのか?。そんな流れの発想は持ちたいものです。
 いろんな情報を提供させていただきたいと思っています。メールアドレスをお持ちの方は、ぜひ上記ホームページから「メーリングリスト」に入っていただくか、国本個人までメールしていただきますようお願いします。また周辺みなさんにもお伝えいただければと思います。

そして2004年度の予算について

 いろんな運動があったせい(だと思います)か、ホームヘルプ予算は、概算要求の326.6億から更に増え、341.5億円の予算が確保されたということです。
前年度からの伸び率は23%アップですが、平年度化分を差し引いた実質伸び率は12.7%ということです。
 しかし、今年度の事業費は1ヶ月約60億円(次年度は同単価だと間違いなく伸びますよね)になっているということで、単純計算しても12ヶ月分の720億円であり、国庫補助金はその1/2である360億円は最低限必要ですので、これから考えると16年度予算341.5億円では依然として足りないということになります。
 居宅支援費のその他のサービスについては、概算要求と比べてショートステイが満額、デイサービスが減額、グループホームが増額ということになっているようです(詳しい予算内示資料などは国本までご請求いただくとお渡しします)。
 このあたり、伊丹市あたりではまだない「知的障害者デイサービス」であるとか、「児童デイサービス」や、これからやっぱり「いるぞ!」と思う「重心」などと言われる方々の「デイサービス」の行方はいかになっていくのでしょうか?。
 また、「障害児施設デリバリー事業」→個人的にはとっても期待していた事業です=学校等への施設からの支援(医療的ケアなどのカバー等)なんですが、予算として認められず、これまた新規メニューの「地域生活体験事業(障害者が家族等から離れ、自立生活を営むことができるよう地域生活を体験する場を与え、必要なサービスを提供)」も認められずということになってしまったようです。その他数件の新規事業も現状で必要な事業費を確保するためにストップがかかった状況といえるようです。
 そして、昨年、身体と知的の生活支援事業が一般財源化されるにともなってできた障害者地域生活推進特別モデル事業ですが、現状維持の77ヶ所(何処でやっているのかを私は知りませんが・・・)のみの予算しかつかなかったということです。
このあたりを見ても最も重要であるとも言える「相談事業」の行く末(拡大?していくのかしら、そんな気概はあるのかしら厚労省さん・・・)が気になって仕方ありません。
そんなこんなもあって、要するに中(省内もしくは部内)でのやり取りがありきで、大きな流れを変えるにはまだまだいろいろ考えていかねばならないようです(構造改革は何処へ?といった感じですね)。
いずれにしても足りない予算、多くの方が情報を共有しながら一緒に考えていければと思います。

新たなネットワークを創りました

 以前から思い描いていました、伊丹市でもみんなの暮らし(生活)を考えるネットワークを作ろうということがようやくこんな状況(単価削減問題)の中、動き出しました。
 今回にもみられるように、やっぱり届いていない(もしくは届きにくい)情報をより多くの方と共有することを目的に、至って緩やかなネットワークとして、みんなの暮らしを考えていこうということです。
当面第三週の水曜日(04年1月は21日の水曜日、2月以降は日時の変更もありえます)、夜の7時〜9時、知的障害者通所授産施設ゆうゆうさんで定例会を行いながらネットワークの調整をしていきたいと思います。
 名称は「伊丹のみんなのくらしを考えるネットワーク」→通称「いたみんネット(仮称です)」ということで、みなさんの参加もお待ちしています。また周辺みなさんへのご連絡もお願いできればありがたいです。

新たな取り組み

 さて、しぇあーどではスタッフのステップアップの手段として研修・実習、及び勉強会を定期的に行っていくこととしました。
 ひとつは、毎週木曜日と金曜日の午前中に、先進的な取り組みとして全国的にも有名な西宮市の「青葉園」へ二人〜三人のスタッフを自主研修及び実習として派遣しています。
 また毎週火曜日の午前10時30分〜には、こうのいけスペースにて「勉強会」を行っていきます。こちらはしぇあーどスタッフのみに限らず、どなたでも参加可能ですのでご自由にお越しください。お茶くらいは出ると思います(ビールはでません、あしからず・・・)。ただ予告なしに中止となることもありますのでご了承ください。
 1月6日(火)は〜地域での自立支援を考える〜ということで、「生活支援とホームヘルパー」のビデオをみんなで見ます。東京都の「グットライフ」というNPO法人によるホームヘルプの実際をドキュメントで見ながら色んなことを感じていただければと思います。
 もちろん参加無料ですのでお気軽にお越しください。

緊急一時保護者制度が利用いただけるようになりました

 かねてからお待ちいただいていました「緊急一時保護者家庭制度」が今後ご利用していただけることとなりました。
 利用の方法、負担額などわかりにくい点がありましたら市の障害福祉課、または国本までお問い合わせいただければお応えいたします。説明してほしいという方もご一報いただければ対処いたしますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

こうのいけスペース事業停止のおしらせ

 既にお知らせさせていただいています事業停止期間のお知らせです。
 2004年2月20日〜22日の三日間を全スタッフの研修参加に伴い、しぇあーどの居宅介護及びこうのいけスペースの事業を一時停止させていただきますことを繰り返しご連絡さしあげます。
 ご迷惑をおかけしますがご理解の程、宜しくお願いいたします。
 研修先は『アメニティフォーラムinしが 7』というフォーラム参加です。今回が七回目という国内でも最大規模の生活支援を考えるフォーラムということでスタッフを派遣しようというものです。

いんふぉめーしょん

第5回小規模作業所/通所授産施設全国連絡協議会全国大会(滋賀大会)1月24日
日時:2004年1月25日
テーマ:「さまざまな作業所の実践から、これからの制度を創出していこう!」
日時:2004(平成16)年1月24日(土)〜25日(日)
場所:滋賀県大津市雄琴 琵琶湖グランドホテル
大会スローガン:

主催:社会福祉法人、全日本手をつなぐ育成会、近畿手をつなぐ育盛会連絡協議会
会場:琵琶湖グランドホテル
会場住所:滋賀県大津市雄琴6−5−1
会場電話:077(579)2111
参加費:3500円

「ノーマライゼーションフォーラム」
〜西宮が好きやねん〜
ノーマライゼーションフォーラムは、「誰もが安心して暮らせるまちづくり」について、障害のある方について、障害のある方の地域生活の視点から、地域で活動をすすめてい方々と共に考える場として毎年開催しています。
 今回は、動き出した西宮市の障害福祉推進計画の推進体制や、地域福祉計画づくりとの連携の中で、これまで地域の方々により進められてきた諸活動に基づき、今後の社会福祉の同行を踏まえ、21世紀のまちづくりについて参加者全員で考えて生きたいと思います。ぜひご参加ください。
日時:平成16年1月24日(土)
会場:西宮市勤労会館
内容:公演とパネルディスカッション

今月のおすすめの一冊

「指先で紡ぐ愛 グチもケンカもトキメキも」
(光成沢美 著)
定価:本体1500円(税別) 
〜目が見えず耳も聞こえない夫との、ありふれ”ない”日常〜
全盲ろう者の夫・福島智氏(東京大学先端科学技術研究センター)と著者の数々のエピソードを明るくコミカルに、時にシリアスに描いた本作品、ぜったいおススメ!(何と言っても明るいのがイイ!)

盛岡市さわや書店伊藤店長様よりご推薦
世の中には良い本がたくさん存在している。でも、”本当に良い本”にはなかなか出会えないものだ。そんな”本当に良い本”にどうも僕は出会ってしまったらしい。全く目が見えず、音も聴こえない夫を支えることで、逆に支えられている自分を発見するのは妻である光成沢美さん。指と指を触れ合わすことで会話する二人。こういう表現は好みではないが244ページの福島さんの言葉が胸を打つ。この1ページのために、この本は生まれてきたと思えるのだ。

読者の声
 目が見えず耳も聞こえない男性と結婚した女性が書いた本だからさぞや涙の感動モノと思った私は、心の貧しい大バカ者。この本を一言で言い表すなら”エンターテイメント”。だって面白いんだもん。読み終えてすごく勇気づけられました。

「指先で紡ぐ愛」を書いた 光成沢美さん
 夫は盲ろうの東大助教授福島智さん。夫婦の会話は指(ゆび)点字を使い、生活でもさまざまなサポートが必要だ。楽しいことも、しんどいことも、いろいろあった八年間の結婚生活について、エッセーにまとめた。
 光成さんは福島さんの身内であり、指点字通訳者でもある。本来福島さんの職場での介助は、公的サービスで担われるべきだが、前例がなく制度も未整備のため、光成さんが重く担わざるを得ない時期があった。「それを周囲は、妻なのだから夫に尽くして当たり前、とみるんですね。私は仕事としてやっているつもりでしたので、ギャップを感じました」。身内であることと職業人であることの境目が判然とせず、ストレスになった。
 また夫のサポートに埋没してしまうと、「この人に尽くすことでしか、自分の存在意義は見いだせないのだろうか」との思いに苦しむようになる。徐々に心の疲れはたまっていたのだろう。気持ちが沈み、家事も手に付かなくなった。
 そんな夫婦の危機を救ったのは、「ただ君が生きて存在しているという理由だけで、一緒にいるんだ」という福島さんの言葉だった。「彼自身が、目が見えない、耳の聞こえない世界に生きて、自分の存在理由をとことん考えてきた人。だから言えた言葉なのだと思います」。今は穏やかに振り返ることができる。
盲ろうの夫との結婚生活
 相手の重い障害を承知で結婚したことについて、他人から「えらい」「できた人」などと言われることには違和感がある。「えらいとは、自分にはできない、大変ですねというニュアンス。対岸の火事と思われていると感じる。そうではなく、どんな人にも共通する恋愛、縁の話なのです」「この本はコミカルに書いたつもり。視点を変えれば『大変そうに見えることも、実は楽しい』ということが出せると思いました」

 一九六九年、広島県生まれ。広島大の学校教育学部(現教育学部)卒。自らが悩んだことをきっかけに、最近障害のある夫をもつ妻のネットワーク「生糸の会」を立ち上げた。「私に何かできるとは思わないが、出会いの場から何かにつながれば」。東京都目黒区在住。

編集後記

 あっという間の一年間。支援費制度元年ということで、いろんなことがありましたが、伊丹で市民・行政共にが共働で築き上げる制度であってほしいなとつくづく思うところです。

 利用者皆様には事業者として未熟なばかりに、いろんなご迷惑をおかけしたことをお詫びするとともに、来年からは、利用者皆様の声を聞かせていただけるシステムを創っていきたいと思っています。ひとつは利用者さんに代わる家人皆さんの声を聞く機会を持ちたいと思うこと。またひとつは、みなさん一人一人の相談に時間をとっていければ・・・と思っています。

 さて、四月からの漠然とした「夢」のひとつの『ゆったりくつろげるお風呂』が実現しそうです。みなさんの大いなる需要である「お風呂」をなんとか・・・と思いながら・・・。大浴場とはいきませんが、スタッフみなさんにも心地のいい、「ゆったり」を感じていただける、そんなお風呂場になればいいなと思っています。

 それから、ひとつの思いとして取り組んできたこととして、医療的ケアの必要な方が支援者とともに街へ出かける・・・、そんな光景も見ることができました。

 初夢はいつも、多様な人々がそれぞれを認め合う、そんな人々が行き交う地域の光景なんですが、いつも漠然としていたものが、ほんの少し、おぼろげにも見えてきたようにも感じています。

 どうぞよいお年をお迎えください。そして、来年もよろしくおねがいいたします。

 みんながいつまでも暮らしていける地域創りをスタッフみなさんと取り組んでいきたいと思っています。


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