地域生活を考えよーかい

放課後活動を考える

伊丹市タイムケア事業実施における事業者視点による単価考察

伊丹市におけるタイムケア事業実施要綱案に基づいての事業者視点によるシュミレーションです。
7月中旬頃からの実施開始で、現在内容調整中で、今後も変更があるもので、現時点(05年06月14日)でのものです。

作成日:2005年6月14日
掲載日:2005年6月22日
文責:李国本修慈


 今年度(7月実施予定)から開始予定とする「タイムケア事業」について、その運用を事業者サイドの視点として以下に考察してみる。

 その目的は、障害児といわれる方々の放課後及び週末・長期休暇の活動保障ということ(と認識している)で、しかも今年度からのモデル事業(兵庫県では伊丹市の他、姫路市と聞いている)ということで、その在り方は実施前にも充分な検討が必要と考える。

 現在国会で審議中の障害者自立支援法との関連なども含め、単なる個別給付抑制事業とはならないように、市の姿勢と合わせて民間事業者の係わり方なども考えていきたい。

 まず、6月8日の第一回目の会議では、実施時間報酬単価を三段階に分け、それぞれが以下のような案として示された。

 3〜4時間=3100円。
 4〜6時間=3960円。
 6時間以上=5100円。

 ここで、問題となってくるのは、その要綱に依る人員基準(介護比率)が3:1であるということ。更に丁寧な付則的文言として「一時的に5:1でも可」といった記載もあるが、そもそも、デイサービスにおける人員基準(身障・知的などの単価設定根拠としての高齢者デイ単価への並列)事態に大きな問題があり、例えば多動児やこだわりの強い児童、行動障害などを伴う児童を上記基準で「活動保障」するというこは困難極まりないと言える。加えて全面的な介助が必要な重症心身障害児もなおさらである。

 そういった状況の中、上記単価での事業運営シュミレーションを試みてみると、以下。

 今回の会議(6/14、第2回)で確認のあった、事業実施定員9名、内、しぇあーど枠(肢体不自由児)3名での試算として、まず、スタッフ一人というカタチは考えられない(はっきり言って安全すら担保できない)ので、スタッフ二名(もちろん+1人は教職員又はボランティアに依存していくこととなる/…この件についても今回の会議で障害福祉課とは確認済み)で対応するケースとスタッフ三名(上記スタッフ外支援が得られない場合はスタッフ三名は必須であると考える)で対応するケースを考えてみたい。

 まず、一つ目のケースとして、通常の就学時間帯での放課後活動(14:30〜、もしくは15:30〜18:00、いずれも4時間未満)をイメージすると3名利用で事業所収入が3100×3=9300円となる。

 三人派遣の場合では、14:30〜の場合、3.5時間×1000円×3=10500円となり、この時点で、一日あたり1200円の持ち出しとなる(送迎を加えた試算は以下に記すこととする)。

 15:30〜の場合であると、2.5時間(3時間に満たないが、要綱の解釈として概ね、又は、送迎も含めた時間として3時間の換算とする)×1000円×3=7500円となり、1800円の事業収益となる。

 二人派遣で考えると、14:30〜の場合、同様計算で7000円となり事業収益は3300円となる。

 15:30〜の場合だと、5000円となり、差額(事業収益)は4300円ということとなる。

 ただ、この試算ケースは、定員枠いっぱいの3名利用した場合ということで、仮に2名利用であると、それぞれ3100円のマイナスということとなる(1名利用というケースは考えることも難しい)。

 更に、試算が苦しくなるのは、利用時間が長くなるケース=週末及び夏期休暇、短縮就学期間であり、以下、シュミレーション。

 短縮就学時間期間であると、例えば11:30〜18:00の利用時間すると、6時間以上単価の適応で、定員枠の3名利用で5100円×3名=15300円が事業収入となる。

 前述と同様に試算を試みると、三人派遣で、6.5時間×1000円×3人=19500円となり、4200円の持ち出しとなる。

 二人派遣だと、同様計算で13000円となり、差額2300円が一回あたりの事業収入となる。

 但し、昼食を挟むなどということになると、二人のみのスタッフで対応ということは考えにくく、三人派遣、もしくは確実な介助スタッフ支援(ボランティア?)が必要となってくる。

 週末及び長期休暇に関しては、短縮就業期間よりも利用時間が長くなる=事業収益は減額していくということで、この書面ではシュミレーションは省略する(別紙:様々なケースによるシュミレーション参照)。

 更に、送迎がついてくるということになると、おおよそ、三名の利用者さんを二名で1時間かけて送迎するとなると人件費2000円という額が算出される。

 実態としては、三名が同方向及び同乗が可能ということは考えにくく、二台の車両で三名の利用者さんを三名のスタッフ(一台はワンマンカー)で送迎するということになろうかと考えられる。よって、ワンマンカーの人件費を0.5時間と換算しても、一日あたりの送迎に関する人件費支出は2500円必要と考えられる。

 この際、しぇあーど枠の利用者さんは、概ね伊丹養護学校在学者ということで、開始時の送迎(お迎え)は必要としていないということを想定している(ヘルプゆう枠利用者さんは開始時送迎=お迎えもあるということから、より多くの支出が考えられる。しぇあーど枠利用者さんも交流授業時などは同様である)。

 以上、大まかなシュミレーションであるが、事業の目指すところを明確にし、多様な社会資源が創設されることを望むものの、個別支援の必要な方、及び必要なケースについては、この事業が、そういった社会参加、自立支援を妨げるものにならないように強く望むものである。

 また、こういった財政難の状況下で、様々な地域資源が協力していけるかも試されていくものであると考える。


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