地域生活を考えよーかい

地域生活を考えよーかい

障害者プラン」について
〜サービス基盤整備のための「地域福祉計画」の見直しを考える参考に〜

掲載日:2002年4月30日
文責:地域共生スペース・ぷりぱ
李 国本 修慈


 まんず、最初に、「障害者プラン」の概要というか背景についてですが、だいぶんと昔の施策のほうは省略して(よー知らんので)、近いところで、いわゆる「アジア太平洋障害者の10年」(1993年〜2002年)なんてのを国連アジア太平洋経済社会委員会は決定し、各国において10年間の国内行動計画を定める事としたとあります。

 それによって「障害者対策に関する新長期計画」を平成5年に策定して、同時に「障害者基本法」(それまでの「心身障害者対策基本法」を改め)に改定し、三障害(精神を含む)を対象とする計画策定を自治体に努力義務としたようです。これが第7条の2ですな。

 ほんで、平成7年には、「障害者対策に関する新長期計画」をもっと具体的にってなことで、12月にいわゆる「障害者プラン〜ノーマライゼーション7ヶ年戦略」をたて、平成8年度から始まったという流れで確認。

 で、現状の国の動き(流れ)としては「障害者プラン」が今年度で終了することから「障害者対策に関する新長期計画」に続く新しい「障害者基本計画」(平成15年から10年間)の検討が内閣不を中心に行われるとのことです。と、その「障害者基本計画」の前期重点施策実施計画として、新しい「障害者プラン」も(5年間)同様に検討が行われるということです(いずれも3.5障害保健福祉主管課長会議・社会・援護局障害保健福祉部企画課資料によります)。

 して、3.5企画課からの資料(指示)によると【(1障害者プランの推進について(1)のエ)「未だに数値目標を達成していない自治体については「厚生省関係障害者プランの推進方策について(平成8年11月15日障第219号)」に示している具体的な数値目標の項目について、速やかに数値目標を設定するとともに、その目標達成に努められたい。」】とあります。

 で、市町村の地方障害者計画の策定状況調査によると(平成13年3月末で)、策定率が74.9%(市区は95.5%)らしいです。でも、やっぱり数値目標が設定されている計画は、策定している市町村の37.8%だそうです(でもデータも古そう、で、県でも数値目標出してないところがけっこうある)。

 そんなんで周知のとおり平成11年度から「障害福祉圏域計画推進事業」っちゅうことで、広域圏域単位の事業推進をしているといったところでしょうか。ただ、やっぱり、これ(市町村による計画)って努力義務というまんまのようです、法が変わってない、よーだ。

 ちなみに尼崎では「さわやかあまがさき障害者計画」として、平成8年の7ヶ年戦略年から始まって平成13年で終わってる(まんま)。伊丹市では「伊丹市障害者計画」として平成10年度から12年度の期間となっている。まぁ、どちらもとってつけたような内容ではある・・・、し、立ち消え、か、継続なんかもよくわからない。

 で、目を転じて、西宮市を見ると素晴らしい(ほんまにしっかりしている西宮、表面は・・・イヤミやなぁ)計画「第2次西宮あんしんプラン21・西宮市障害福祉推進計画」で、きれいに国の施策に沿ったカタチで出しています。というより県と並んでといった感じですね。

 期間は平成13年度から平成17年度の5ヶ年。ちなみに市町村に精神の支援事業も平成17年度までにそれぞれ1ヶ所加えようってなんも出てますし、知的障害者デイサービスも1ヶ所とあります。これくらい具体化した計画があればいいのですが・・・、尼崎、と。

 で、県のほうはしっかりちゃっかり平成7年に「すこやかひょうご障害者福祉プラン」を策定(平成12年度まで)した後、「新すこやかひょうご障害者福祉プラン(平成13年度〜17年度)」で、具体的数値目標(圏域ごと)もきっちりとあげています。西宮市はここにきっちり沿わせて計画を立てているということがうかがえます。

 で、その数値目標は上記にも示した「障害福祉圏域計画推進事業」にのっとった、いわゆる「障害保健福祉圏域」を定めて数値を示しています。

 このへんと合わせて、障害者基本法第7条の2による「努力義務」というところが、市の具体化提示の妨げかも知れないと感じられます。

 ひて、本題の「【新】さわやかあまがさき障害者計画」を立てようという発想からなんですが、順次、冊子を追っての咀嚼をしてみました。

 まず、施策策定の背景は、上記に示したのんとそのまんまでいいかと思います。

 で、市の取り組みとしても様々な事業を展開してきたことが示されてます(P3)。で、「3・市の取組」最終章で【障害者を取り巻く社会環境が大きく変わろうとしている状況から、この変化に対応し、来るべき21世紀の社会を展望した障害施策を進めていくため、尼崎市障害者新長期計画を策定することとした。】とあります。で、策定後の途中評価、及び終了時、もしくは終了後の最終評価はどうであったのか、知りたいところです、ね(少なくても僕は知らんので)。

 して、もそっと調べて見ると平成7年10月あたりから策定委員会が始まり(正確には策定委員会設置要綱の施行が10月1日のようです)、委員会、部会がそれぞれ3回と、福祉対策協議会が2回に分科会が4回で、最終平成8年7月31日で終了、策定となっているようです。で、その要綱もけっこうおそまつなもんで、また、委員会にも北野誠一氏や小山隆氏といった著名知識人(と言っておきましょう)も入っているのですが、委員は要綱第2条3によると【長期計画が策定された時に、解嘱されるものとする】(こりゃあかんわ・・・)とあります。これではやっぱりプランに対するアセスメントもあるわけないか・・・尼崎・・・といったところでしょうか?

 まぁ、めげずに続けると、計画目的は障害者基本法に基づいたオーソドックスなもの。で、計画の性格(P5)では「尼崎市総合基本計画」の部門別計画ということだそうです。

 計画の期間は平成8年度から平成13年度で、既に終了。

 計画の内容については(P5末行)【ただし、社会経済情勢や障害者のニーズに著しい変動が生じた場合、その必要に応じた見直しを行う場合がある。】とあるんですが、この間、「社会情勢」や「障害者のニーズ」に著しい変動はなかったのでしょうか?と考えてしまうっ・・・。

V 障害者施策の推進方向(P7〜)ではごもっともな理念が述べられています。

W 障害者の状況(P9〜)での調査も国の実態調査及び基礎調査、士のンケートなどで構成されているが、ここだけ(調査結果)もかなりの変化も考えられる上、現時点での「調査」は間違いなく必要なのであるのだが・・・。精神障害者に関する項目等では一見して評価と再計画が必要と思われるのであるが如何に。

X 分野別施策(P16)の項目では「・・・に努める・図る」が多く、やっぱり評価はせめているでぇーと思いますね。これまた特にB精神保健(P19)等はこのままやったら(尼崎の現状を知らずして無責任に言うのですが)計画がずーっと続きっぱなしなんやなかろうかと危惧するところです。

 で、少しずつ細かに評価案を考えて行くと・・・

  1.  P23にある2 教育対策(1)現状での【障害児一人ひとりの障害の種別、程度及び特性に応じた最も適切な教育の場を提供するための就学指導体制の整備を行ってきている】に対して不充分な点は指摘できそうです。
  2.  P24での(2)課題では教育の充実ということできっちりとした課題がたてられてはいるが現状ではどうか?。例えば適正な就学指導の推進についても、どう考えても適正ではないような事例は持ち合わせていますね。ここらの課題を見ていると、例えばP25あたりの【特に軽度知的障害児の後期中等教育の充実が重要】など、的を得た課題であるんですが、(3)基本方向と施策目標でがらっとトーンが落ちて行ってしまってる・・・、策定委員の執筆(でいいか)分担が見えてくる・・・。
  3.  2.に続くのですが、P26A障害に応じた教育の充実のイについてもなんだかあまりにも抽象的やなぁと。ウ、エにあるような人員配置や障害児学級の設置はどの程度進んでいるのか?。カのLD・ADHDとかといわれる子供たちの教育についてもここ数年で大きく進展しているところなんですけどね。やっぱり、当局欄(?)は「・・・・・・努める」「・・・図る」「・・・目指す」ばっかで、最後にやっと「県・国に要望していく」がでたくらいなんですが、で、やっぱり「努めてどないやったんか?」の評価はいるよん、当局さんってなもんですね。
  4.  P29にある施策体系にある部分の一斉評価は間違いなく必要。
  5.  で、ここからが専門の(?)福祉サービス対策(P30)ですが、(1)現状として、【障害福祉は、相談がその出発点であるという観点から】と素晴らしいうたい文句で始まって、【各福祉事務所、身障福祉センター、児童相談所などで相談を受ける一方、適切な情報の提供を行っている】とあるが、ここいらが自己評価できてない部分でしょうか?尼崎。
  6.  して、在宅対策としてP30の中段から記載があるのですが、ここはきっちりしっかり評価せんならんとこ【ショートステイ事業、デイサービス事業の拡充、さらには、全身性障害者介護人派遣事業やガイドヘルプ事業等の推進を図ってきた。】で、極めつけは【ホームヘルパー派遣事業の充実など在宅福祉に重点をおいた施策の推進に努めている】と。まぁ、確かに推進を「図り」、「努め」て来たんでしょうが、そいつの程度の評価が肝心。「ガイドヘルプを推進したが未だにそんな制度、知らん人だらけだった」とか、「ホームヘルプの推進に努めたけどさっぱりやった」とかの評価は必要、だと思います。
  7.  そしてP31(2)課題に移ると、たぶん執筆が当局から識者に移り明確な課題提案となります。すべてに「必要である」とわかりやすい。しっかり読んでみると【相談窓口】の問題であるとか【ヘルパーの確保と資質の向上】、【ガイド圏・派遣対象の拡大】、【さらには、福祉タクシー制度等を充実し、障害者の自立生活と社会参加を一層推進する必要がある】と、今(頃)我々が言ってるようなことも既に当時から言われていたのですが、で、どーなったん?との評価が必要。
  8.  して、P32からの(3)基本方向と施策目標では、またしても「・・・に努める」調になるのですが、とっぱしに【多種多様な福祉サービス(ホームヘルプ、ショートステイ、デイサービスなど)を用意し、障害者が地域で生活するシステムを確立していく。】と初めて(?)明確な目標を掲げています。が、これも、確かにカタチは出揃っているがシステムとしては機能していないという評価がいえる訳で新たな展開策は間違いなく必要。
  9.  で、P38の4.在宅対策の推進のアにある【ホームヘルプサービスについては、ヘルパーの増員、資質の向上に努めるとともに、在宅で自立生活を行う重度障害者に対する介護人派遣事業の充実を図る】と、ここも珍しく「・・・図る」と明言してるが、資質の向上に関すること(例えばヘルパー講習とか)、や、ヘルパーの増員なんてのは、どこでやってたのか?。このへんの曖昧さ、具体的数値の提示がないことが、やっぱり問題だと痛感。また【障害者援護施設においても、常勤のホームヘルパーを配置していく】とありますが、ホンマに配置していってるのん?。イでは【ショートステイについては≪いつでも≫必要な時に利用できるようショートステイ専用床を確保するとともに、別に、市内の通所施設での受け入れを国に要望していく】なんてあるじゃああーりませんか?。おまけにP34上段(冗談みたいな記述)には【レスパイトケアの充実を図っていく】と明言している・・・。ここまでくると笑ってしまうぅぅぅといった感じ。このへんもしっかり確認しとかんなりませんね。今更ながら。
  10.  ひて、P34のウに記載のデイサービスについては【設置に努める】、重心通園事業についても【市内設置を検討する】とあるが、これ、一生「努めて、検討」し続けるんかしら?です。
  11.  うーん、なかなか、で、続く5.自立生活と社会参加の促進についても「努める」「検討していく」調ですね。P35に移ってエの【ガイドヘルパーの派遣については、今後ヘルパーの育成・確保に≪努める≫とともに、事業委託先の拡大も検討し、国の動向に沿って、重度障害者の自立と社会参加を促進する】とあります。どない努めたんでしょうか?、僕なんかは「ヘルパー養成を市としては考えてない」なんて、きっちり書面でお答えされたこともある・・・。おまけに【ガイドヘルパーのネットワーク化にも取り組む】とあるが、どない取り組んだんでしょうか?。
  12.  6.のウにもあるような展開、【通所施設機能を活用したデイサービス事業、ショートステイ事業の実施を検討していく】は、どれほど進んでいるのか?。

 ざっと福祉サービス対策についてのみ、あげてみたが、やっぱしウソでも(うそちゃうちゃう、ホンマもんなんですが・・・)計画なんやから、きちっと(これも無理かな?、作りがえーかげんやし)評価はせんならんのは明確。いうても六ヶ年の計画がどれだけ成果が上がったのかってなことはとても大事なことだ。計画を実行せず・・・といったことも明らかになると(もー既になってたりする部分もある)、こりゃあ問題だ。

 と、まぁ、批判もせんならんけど、きっちりできる評価は我々でもしてみて、できるなら「【新】さわやかあまがさき障害者計画」(どーも、尼はさわやかっちゅう感じではない、ので、どろどろあまがさき、は、言い過ぎとして、まろやかあまがさき障害者計画くらいでどーだ、この辺から新しくする)を新たに策定してほしいもんです。しっかり行政と当事者に事業者も含めた協働体制でね、と。

 でも、やっぱり、策定委員の外部参加者みなさんにはちょこっと評価もしてもらわんならんのちゃうかなぁーと思ったりします。特に福祉サービス担当の北野誠一氏には、と思います。以上でごんす。


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