地域生活を考えよーかい

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支援費制度に対しての課題

伊丹支援費ネット会議への課題書です。

掲載日:2002年6月19日
作成者:地域共生スペースぷりぱ
李 国本 修慈


前略です。尼崎市南武庫之荘を拠点に生活支援事業を展開してきたことから、利用契約(支援費支給)制度を迎えるるにあたっての現状での課題を、主に居宅支援サービスに関して羅列してみますのでご考察願います。

1.市場調査と供給プラン(計画)の必要性

・・・来たる新制度=利用契約制度という観点(理念としての「利用者の自己決定、選択の尊重」、「利用者とサービス提供者の対等な関係」)から、この制度(支援費支給制度)は、一般的な消費サービスを提供しようとするものであると考えます。

 で、あるとすれば、消費者の立場からの需要調査の必要性は間違いなくあると思うのですが、伊丹市においてはいかがなものでしょうか?。

 例えば尼崎市における市場需要(利用者量)というのは、これまでに「ぷりぱ(2000年9月オープン)」及び「ヴィ・リール(1999年10月オープン)」などが展開する生活支援事業(サービスの種類を特定しないサービス提供業)によって、著しく増加しているところです(具体的にはガイドヘルプ、ショートステイ、送迎など)。

 尼崎においてはこのような事業所ができたことにより、明確な(実は明確でもなくて、潜在的需要はまだまだあると言えると思います)「需要」が見えてきた・・・といえると思います。

 しかし、その需要(潜在的な)は未だに衰えることなく増加の一途をたどっていることは、我々の事業所の状況(ショートステイ=短期入所事業の増加具合、利用登録の依頼状況など)を見ていただければご理解頂けるかと思います。

 また、我々の事業所には尼崎市在住の方のみではなく、西宮市、伊丹市、芦屋市、宝塚市、川西市からのご利用、または登録希望があります。

 市場調査の必要性は理解に困難ではないと考えますが、その「需要」は、現制度下での利用実績で推し量られるものではないということを課題として強調しておきたいと思います。

 また、いわゆる障害者計画としての「障害者プラン」が、各自治体ではあげられていることと思いますが(なかなか義務規定のようで定かではないようですが)、このプラン(数値目標)にしても、現制度下での実績からの数値目標ということであれば(ほとんどがそうなのですが=それでしか数値は出せないといえばそれまでですが)、それは「選択の尊重」という点から見ると間違いなく不足しているといえると思います。

 より現実的な需要調査と支援計画(障害者プラン)が必要課題であると考えます。

 ただ、この需要を満たすのは支援費移行サービスのみではないということを付け加えておきたいと思います。

2.需要を引き出す取り組みとしての事業者育成

・・・支援費支給制度の問題点のひとつとして、多くの方がおっしゃっている「サービス基盤の整備状況」についてですが、勘案事項にもこのことが挙げられているとおり、「ないサービスは支給できない」ということとなってしまいます。前述もしたとおり、障害者サービス需要は、サービス提供者があるところにこそ表れるもので、その事業者の育成は大きな課題であると考えています。

 「ぷりぱ」では、対人ヘルパーサービス(ガイドヘルプ及び全身性障害者介護人派遣)を低単価(時間あたり1420円〜1770円/尼崎市)で提供していますが、これでは例えば対応が困難であるとされる自閉症(といわれる方)であるとか、医療的行為が必要である(といわれる)方等に対するヘルパー(人材)養成どころか、事業所自体の運営も円滑にはいきません。

 まずは需要を引き出す人材及び事業所育成が支援費制度開始を待たず、早急に必要であると考えます。

3.制度の周知伝達とケアマネジメントの必要性

・・・ぷりぱでも多くの(登録者数は250名を超えています)方々が、この制度を多くの方が理解していません。まずは周知の徹底(なかなか伝えたつもりが伝わってないということは経験されていると思いますが)、と、申請しないと支給はされないという事実の確認。そして、最も大切であるところの「申請量」の決定・・・ここは最も大事な部分であるかと考えるのですが、本人主体であるべき利用契約制度における「申請量(支給決定に至るまでの)」を、より具体的に本人さんの支援として「申請」できるか?(できるのか?)、と考えると、もちろんセルフマネジメントという手もあるのですが、それができない(できにくい)方々にとって、その手法はどのように得るのか?。伊丹市でも大きな課題であると考えます。

 その他にも課題は多々あるのですが、今回はこの3点をみなさんにもご考察いただきたいと思います。

 私見ですが、多くの当事者(ご家族の方々)のみなさんと接していると「お願い(例えばガイドヘルプなどのヘルパーサービス)するところ(人)がない・・・」ということをよくお聞きします。懸念されるところの「サービス基盤の整備状況」、それに勘案事項のひとつである「介護を行うものの状況」により、本人さんの生活が制限されてはこの制度の理念にそむくこととなります。ここは、当事者、行政、事業者共にが事業者(人材)育成に大いに力を注ぐことが肝要ではないかと思います。

 それにはやはり、居宅支援サービスの柱である「ホームヘルプ」の活性化であると考えます。

 「ぷりぱ」、もしくは国本個人がホームヘルプ事業を委託する意向はあります(来年度には指定事業者になっている予定です)ので、新制度移行前に試行事業的に委託していただきたく検討していいただきたいと考えています。早々。


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