地域生活を考えよーかい

地域生活を考えよーかい

講演会資料 〜菊地 理恵様〜

6月22日に行われました尼崎市育成会生活支援事業【ぴぃーす】さん主催の講演会で発表された菊地理恵さんの発表文です。長いですが、ぜひ一読を・・・。

掲載日:2002年6月27日
文責:李 国本 修慈


<自己紹介>

菊地理恵 27歳 中学校まで普通校に通う。高等部から尼崎養護学校に。その後、伊丹職業訓練校、のぞみ作業所に通う。車の免許を取った後、新生会作業所に。 現在は、生活しえん支援センターかいとでピアカウンセラーを目指し勉強中。 今、楽しい事は人の話をきくこと事、遊ぶ事、仕事。

☆ 仕事の話

 中学校まで、普通校に行っていました。高等部から、尼崎養護学校に通い、卒業しました。卒業する前に、就職活動が始まり、そのときに、先生も両親も、自分に何ができるかというのを一生懸命、考えてくれました。何ができるかというと、流れ作業などの工業さぎょう作業なども手が短いので、届かない、高いものはとれない、事務の仕事はと考えたときには、事務作業はできても、言語障害があるので、電話応対等ができませんでした。残った機能で、できる仕事が、ありませんでした。不景気という世の中の流れもあり、就職ができませんでした。就職が見つからなく、落ち込んでいたときにカウンセラーでも友達が、(「ところで理恵は、何がしたいの?」と聞かれ、私は、目が点になってしまった。

 そんなことも考えたことすらなかった。意味がわからないほど、驚いた。そしたら、友達が、「理恵は、どんなときにどきどきしたり、嬉しいきも気持ちになったりするの?」と聞きました。

 就職だけではなく、嬉しいこと、どきどきすることもわかりませんでした。それを通して、何がしたいのではなく、何ができるか、また、できないことに着目していたことに気付きました。

 何がどきどきするか、わくわくしたり、うれしいということを七年間かかって、自分探しをしていてました。やっとそれがうっすらとみ見えてきたような気がします。遊んだり、行きたいとずっと思っていたディスコに行ったりしてました。その体験の中で、自分のやりたいことを最後までやるということ、できないことも、なんらかの方法を考えたらできるという思いになっていきました。そして、できるという思いがなければ、自分がやりたいとも思わないということに気付きました。

 この二つが、あって、自分が何をしたいかということを考えるようになった。なんらかの方法を考えたらできるというのは、周りの人が協力してくれるんだと思えるようになりました。自然の中で自然を感じる、風の音を聞いたり、鳥の声を聞いたりするネイチャーゲームというゲームしていたときに、みんなに、一生懸命においつこうと思い早足になっていました。そうしたら、しんどくなって、気分まで悪くなってきました。カウンセラーの友達に、「気分悪いなら、少し止まってみよう」といわれました。それで座りこみました。「気分がなぜ悪くなったの?」と聞かれました。それで、なぜ一生懸命に追いつこうと思ったのかを考えたら、遅れたら迷惑がかかると思っていたことに気付きました。あ、そんなこと思っていたんや、と友達に言われました。カウンセラーの友達に、本当に迷惑をかけているかどうか確かめるためにゆっくり歩いてみよう。そしたら、そんなに距離が離れませんでした。自分のペースに合わせて歩いている人もいました。「理恵さんのペースで歩くと、こんなきれいなはな花があるのに気付いた」と言う人もいました。自分だけが焦っていると気付きました。そういったことがあり、周りはそんなに自分を気にしていないということに気付きました。昔は、何かを周りの人に何かを頼むのを迷惑だと思っていましたが、何か頼むことで、その人にとってもプラスになると思えました。だから、方法はある、できないことは無いと思えました。できないという思いで、いっぱいいっぱいでした。何がやりたいのかを考えるうちに、手伝いをしたいし、人の役にも立ちたい、どうしたらいいかわからないけれど、サポートもしたいと自分自身でも思いようになりました。そうしたら、ひょっとして相手の人も手伝いたいと思ってることに気付き、できないことに目を向けないようになりました。

☆ 支援者、当事者の人へ

 福祉の人は、親切すぎるところがあります。一般の人は、ちゃんと無理せず断ってくれます。義務的は親切は無理している。私は、私が頼むことを断られるのが、嬉しいです。たとえば、あるとき、ビアガーデンに行きました。そこで、食べ物を取りに行ってくれます。はあはあ、ふうふう、パニくりながら、とりに行ってくれる人がいました。そんな無理せんでも自分でも取りにいけます。別の機会に逆に、友達に(この友達は障害が無いんですけども)、「理恵!、ビールをとってきてくれる?)」といわれ言われ、私に甘えてくれてるんだなあと思い、嬉しかったです。しんどいときはノーといえる勇気をサポートしてる人にもってほしい。プライベートまで、する人、される人の関係をもちこまないでいいよと福祉の人に言いたい。

 利用者の人も、自分のことを楽しむことが必要。役に立てると思えるようになってほしい。支援者と利用者がお互いに楽になる関係がいいんじゃないかと。その利用者が自信をつける、自分が役にたてるというのは、時間が必要。

@やればできると思えること、Aやりたいことには周りは協力してくれると思えること、B自分のやりたいこを見つける、というのは、とても時間がかかる。若い人ほど見つけやすい。一般的に見つけようと気付いてから、この3つを思えるようになるためには、そのひと人が、生きてきた年数の倍かかる。たとえば、20歳で思ったひと人は、40歳までかかるそうです。

 何がいいたいかというと、すぐ結果が、でるわけじゃない。自分さがしを投げ出したくるようなこともある。すぐみつかるものではなく、それなりの時間はかかる。色々な体験をしてみるのも必要。

 この3つのことを当事者の人に伝えるのに、時間がかかる。伝わっても、実行するには、時間がかかる。時間がとてもかかるので、それを見守る勇気が支援者には必要ではないかなあ。すぐに結果がでなくても、全体の流れが見て、気長に見守ってほしい。うまくいかなかったり、失敗したり、するひとつの結果に、一喜一憂せず、長い視点で見守ってほしい。勘違いしないでほしいことは、長い期間、コントロールするというわけではないんです。たとえば、支援者の人が、利用者の人の将来のイメージ、一人暮らしだとか、給料をあげようと考えていますが、それにとらわれすぎてほしい。こうあるべきだではなく、今を見てほしい、聞いてほしい。

 まず、聞いてほしい。止まっていても、はりきっていても、気持ちを聞いてほしい。だからどうしようと思わなくていい。ただ、聞いてほしい。今、しゃべった三つのことはわたし私自身も気をつけようと心掛けています。

☆ ひとり暮らしの話

 もともと、一人暮らしをしたかったのは、家にいたくありませんでした。弟が結婚すると思っていまして、そして、両親はいずれ亡くなると思っていまして、その結婚した弟の家にやっかいになるのが嫌で、そうなる前に家をでたかったと思っていました。障害があることによって、家を貸してくれない不動産屋があると、友達から初めて聞いて、また、他のひとからも聞き、どうやら本当だと聞いた。親を困らせたくは無かったので物件がみつかりにくいことは親に言いませんでした。自分に一人暮らしの生活ができるかどうかも心配だった。家賃も払えるかとかも不安だった。一人の寂しさに耐えれるかどうかと心配だった。そのようなことがぐるぐる頭の中で回って、一歩も前に進めなかった。不動産屋にもちょっと見にいく行くだけだった。

 なんで動いたたかというと、ピアカウンセラーになりたいとおも思って、そのなる条件が自立していることだった。それを一人暮らしのことだと思い、一人暮らしをしてみようと決意した。いま今までは決意ということはしていませんでした。ひゅっと意識が変わった。

 切り替わったところにやりたいことを実行に移すひんとヒントがあるように思える。一人暮らしをしたいといっている障害者の友達もいるけれども、実際には動いてない人もたくさんいる。何かが、邪魔している。

 今までは、一人暮らしがしたかった。自信がなかった。できないことが山積みになっていた。でも、一生懸命きいて聞いてくれている人がいた。弟が結婚したりとか、両親が、なくなったという将来の話を友人にしていると、友人が、「その未来の中では、私はどこにいるの?死んでいるの?)」と言ってくれた。ああ、一緒にいてくれるんだと思えました。自分のできないこととに一生懸命悩んでたり、考えていたりしていたんですけども、周りに人がいてくれることに気が付きました。

 ピアカウンセラーの目標ができたときに一人暮らしがゴールがではなく、通過点になりました。ピアカウンセラーになるまでは時間がかかるけど、できることからやってみようと一人暮らしをやってみようと思いました。

 このこともやっぱり、私は、できるかもしれないなあ、とか、仲間が手伝ってくれるかもとか、わくわくすること、やりたいことを見つける、というさっきしゃべった3つのことが大事だと思います。 私自身の三つのこと、友達の三つことも、両方、大切にしていきたいと思っています。

 「何をしたいの?」と聞いてくれる友人がいた。現状を聞いて、将来どうなりたいのか、というのを問いかけるのがやっぱり必要なのかなと思う。今は、他の人がどうすればやりたいことを実現するばいいかどうかはっきりとはわからないが、現状を聞いて、将来のことを聞く、ニュートラルに問いかけるのが大切だと思う。本人が、しゃべる中で、自分がやりたいことをわかってほしい、気付いてほしい。最近、どう?と聞くが、表面的なことしかいわない。楽しくなくても楽しいという人もいる。つらいと言う人もいる。今の状況を聞くためにやっている。理恵に何をいってもいいという関係を築かないと、本音がきけない。おりこうさんな答えをいってもらうと困る。恋愛というとみんなくいついてくる。恋愛イコール人間関係だからみな興味がある。いい人になりすぎている人がいる。

 未来のことを聞く上で、聞くだけ。たとえば、カラオケ行きたい。でも一緒に行くことは無い。かなえるのは、本人。イメージが知りたい。一緒に居て、共感したいし、しっときたい。自分のことにしか話さない人が、気になる人ができたとか、その人がイメージを知りたい。ひょっとしたら、私も結婚できるかも、ひとり暮らしできるかも、と思われるのが、私の仕事。やりたいことをかなえるのは、本人。現実から離れたイメージを持つ人もいる。何十年かけて結婚したいと言い出した人もいる。

 体験してもらって、壁にぶつかって欲しい。そのときに、ほっとくわけではなく、「あなたは本当は何がしたいの?」と問いかける。

 嫌われたくないという人がいる。これが正解ではないという伝え方をする。私はこう思うが・・・、嫌われたくないとぃう意見でもいい。本当に正解かどうかはわからない。自分自身の枠でしか考えられない。自分で自分の枠を広げてようとはしているが、枠の中から、自分の経験からしゃべっているが、絶対的に正しいというわけではない。 



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