地域生活を考えよーかい

地域生活を考えよーかい

本人プランをたてましょう
〜支援費移行準備年・障害者プラン最終年に考えていきたいこと〜

尼崎養護学校での勉強会のお話し内容です。

掲載日:2002年7月13日
文責:尼崎養護学校
地域共生スペースぷりぱ
地域生活を考えよーかい
李 国本 修慈


 前略です。
なんだかとうとうすぐそこまでやってきた利用契約(支援費支給)制度ですが、みなさんの感じ方はいかがなものでしょうか。

 まずその趣旨としては【利用者主体】、【対等な関係(サービス提供者との)】といったことがうたわれてまして、これまで行政処分(なんだか嫌な表現ですね)であった【措置制度】が【契約制度】、ようするに一般の消費サービス的なものに福祉サービス(社会保障とも言いますが)も転換していくということです。

 そして、我々が期待していたのは、これまでのハコモノへの公費支給ではなく、本人の自己決定による生活支援計画に基づいて必要な費用(支援費)が本人に支給され、サービスを受給する権利が保障されるということで、それはどんなに重い障害を持つ(などと言われる)方も極普通(あたりまえ)に暮らす権利=必要サービスを選択する権利が保障されることであったと思います。

 ただ、そのキーワードのひとつである「地方分権」についてみてみると、裁量は市にあるんですが、財政的な問題から「それぞれの方の個別支援プログラム(計画)」に基づく居宅生活支援費を請求するのはかなり困難であるということ。

 でも、裁量権のある市にとっても、「個々のニードに基づく支給量(居宅介護の必要量)」の決定なんてのは、もっと困難(不可能)だと思います。だから、【本人プラン】をたてましょう!というわけです(勝手に作られちゃったら、もっと困る)。

 前置きはこれくらいにしまして、これまで窓口(福祉事務所やこどもセンター)に行き相談し決定(措置決定とかと言われる)されてたことが、今後(来年の4月から、申請は秋から)は自ら(多くの方はおかーちゃんでしょうか)が、事業者と契約(利用の)して、自ら決定(選ぶ)するということになります。

 学齢期のみなさんは、来春卒業後、社会へ出られる方、進学される方と状況は違うのですが、支援費制度に移行するサービスは別紙の通りです。

 と言うことで、【選ぶ】と言っても・・・と思っちゃうかと思うのでそこらあたりから考えていくと、選ぶ為には【選ぶ先=サービス提供者】の所在が明らかになってないとだめですね。今、利用しているサービスはありますでしょうか?。あればまだいい・・・んですが、実は未だ【指定事業所(それぞれのサービスを提供できる、県が指定する事業所)】がはっきりと明示されていない(10月から指定申請は始まり年明け頃にようやく事業者一覧が公開される見とおしです)段階で「選ぶ」と言っても無理があるんじゃあーりませんか?ということになると思います(ですよね)。

 じゃぁ、「選ぶ(決める)」為にはどーすりゃいいんだってことですが、支援費制度への流れでいくと、もうこの秋(10月)には【支給申請】が始まります。そこで、きっちりと自らの必要量(サービスの)を示し要求(申請)しなければなりません。言うは易しですが、なかなか難しい・・・と思います。

 で、ちょっと話しをそらせてみると【利用契約制度】=【支援費支給制度】と書いてしまっているんですが、きっちり言うと【契約】は事業者とするということ、【支援費支給】は【市】に申請するということ、すなわち、市と事業者に、「申請」し、「契約」しないといけないということです。大変です、たぶんこれまでの措置制度に慣れてしまってる方は・・・。

 で、もとに戻って「選ぶ」為のひとつの方法としては、先の「申し込み(申請)」と「契約」が逆でもかまわないわけで(あらかじめ契約しておく)、「今、この事業所でこれだけ利用しており、かつ、今後も利用する(できる)見込みがある」ということであれば、その事業所を「選ぶ」ということができます。と言っても、これって実は選んでるわけでもなくって、ようするに、そのような「手」を使わなければ【支給決定】されないこともあるということなんです。支給決定を行う際の勘案事項(こいつをもって決めようという事項・別紙参照)にサービス基盤の整備状況というのがあります。学齢期の方々が利用するサービスは多くが「ホームヘルプ」と「ショートステイ」ということになりましょうから、そのふたつがあるのかないのかと言えば【足りない】に違いない訳ですので、「あらかじめ契約」できる方(現状で利用している方)は、その「手」を使うと選べるというよりなんとか支給決定されるんじゃないかということです。よーするに(何度も言います)、ないサービスは支給できないという、ちょっと(かなり)困った状況にあるということなんです。

 じゃあ、そんな中で、サービスを利用しようと思われる方はどうすればいいのか?。まずは「申請」することは拒まれないということ(行政手続法による)ですので、自らが必要量を申請するということです。

 と言ってもこれまた「そんなこと言っても〜」となっちゃう方は大変です。やっぱり利用契約制度というのは地域で暮らすための、ごくあたりまえ(ノーマライゼーションとかいいますね)の生活基盤の構築を目指した制度でして、それには自己責任(自らが契約を交わすという)が間違いなく問われる訳です。これまでの行政決定(措置)ではない、「権利(自由な生活を選ぶ)」をあたりまえに行使するには責任も発生するということです。でも、これ全てを本人及びおかーちゃんや家族の方が覆うということではあません。それを支えるシステム(権利擁護・後見人・生活支援など)はあります(一応は)。

 話しはそれまくりですが、自らがサービス利用量を申請するためには、これまたその量を決めないとなりません。それには【プラン(計画)】をたてなければなりません。

 さて、計画と言っても、どんなふうに?という事になろうかと思いますので、ここは【ケアマネジメント】という手法というか、その基本的な考え方を持ってイメージしていきましょう。

 まず、この「障害者ケアマネジメント」というのは、単に既存のサービスを組み合わせるだけのものではなくって、その本人の地域生活を総合的に支援するための計画だということを確認しましょう。

 ということは、ようするに本人さんの意向(思い)に基づいて計画するという事、すなわち本人さんが「望む生活」を明らかにした上で、それを達成するために計画するものであるという事です。なんだか夢のようなお話しなんですが、実際理念はそうなんです。それに向けて・・・が大変ですが、だけどやらないと始まらない、ということで理解を!です。

 して(だんだんタメ口調になってきます、スイマセン)、地域で暮らそう(暮らしつづけよう)と考えると、やっぱり色んな問題に課題、はたまたニードなんかがでてきちゃうと思います。例えばみなさんの場合であれば教育にはじまり(教育が最も、という訳ではないですが)、医療や保健、今後の就労であるとか、福祉全般などなど、いろんなことが関わって来ると思います。そして、そこで大事になってくるのは、自らの主体的な生活(暮らし)を決定(と言ってもどんどん変化していい決定ですよ)し、それに伴う「ニード(ズ)を明らかにしていく」ということです。

 そして、どうでしょうか?、今、みなさんの暮らしはどうなのか?と考えてみた時、僕らなんぞの第三者(いやいやもっと遠い存在・・・)からみると、それが最も望むべき生活なんやろか?と思うことも少なくないのですが、いかがでしょうか?。と言うより、もっと自らの「望み」「希望」を前面に出していこうじゃあーりませんか?と思ってしまうのですが、なかなか言うは易しで、そういった社会・地域でもないことが問題なのですが、これも今の時代の流れ(なんだか口ばっかりの福祉基礎構造改革になっちゃってますが)をもっと大きく強くするためにはみなさんが(もちろん我々のような人間も含め)動き出さなければ(もっと、と、いう意味)・・・と思うところです。

 なかなか力のいりそうなお話しとなってきてますが、ようするに、例えば高校生の女の子が月に一度(いや、もっと)のショッピングや映画鑑賞、習い事や社会活動(ボランティアとか・・・、障害児とかって言われるみなさんのボラ活動ってのもあると思うのですが)なんかも「したい、やりたい」となる(ならない?、いやいや、そのっくらいはしないといけない・・・と申し訳ないですが、決めちゃいます、勝手に・・・、でないと話しが進まないんで)と、それをするにあたっての社会資源を結びつけなくっちゃということになります。

 これまた飛躍的だとお思いになるかも知れませんが、社会資源とは単に支援費制度に移行するサービスのみではなくて、みなさんの主体的な暮らしを支えるために利用可能なもの全てのことということです。また、それは創り出さなければいけないもんでもありますが、ニードを明確にすることで創り出されることでもあると思います。そうして、我々のような事業所があるところには「ニード」が溢れ、また、その「ニード」によって、新たな社会資源が生まれる(開発していく)といった循環作用を繰り返すこともケアマネジメントという手法であり目的な訳です。

 あと簡単に「ケアマネジメント」の理念を挙げると、1.ノーマライゼーションの実現、2.自立と社会参加、3.主体性、自己決定の尊重、4.生活の個別性の理解、5、エンパワメント、といったところでしょうか?

 結局、なにが言いたいのか・・・と言うと、まだまだ尼崎には先進地域で見られるような支援体制の整備は進んではいません。重要であるサービス基盤の整備も積極的であると言えないのが現状です。ただ、黙っててもやっぱり始まらないことも事実で、今回の構造改革の具体策としての支援費制度、批判ばかりでも進めないという思いがあります。このなんとも理念から後退していくこの制度の中にも可能性は秘められている、いやいや、決して支援費のみがみなさんの生活を支えてくれる訳で無く、ようするに自らの暮らしを自らが選択していくという自己責任・自己決定が必要になってくるということだと思います。

 繰り返しますが、それは自己(責任・決定)ではありますが、自己のみで抱え込むという意味ではありません。それを支えるのが社会であって地域であることは言うまでもありませんね。そのシステムもなかなか機能はしていませんがあるにはあります。

 いかに自分のプランを立てて実現していくか、その自己プランが集まったものが地域プラン、障害者プラン(市や県の)となっていくことを望みます。

 もうぼちぼちサービスがないからってな理由でニーズがなかったということにされてきたことにも終止符を打ちたいと思ってなりません。

 それにはケアマネジメントの手法・理念、みなさんのエンパワメント、そして権利擁護であるかと思います。

 そんなんで、まずは【自分(本人)プラン】をたててみませんか?ということで、はじめの言葉とおんなじ・・・、でおしまいです。早々。


連絡事項・・・
いろんな情報や思いを共有しようということで『地域生活を考えよーかい』という情報ネットワークを創っています。インターネットを利用しての情報の提供・交換が主な役割です。会費・会則など無しのネットワークです。ご希望の方は国本までご連絡ください。

 また、ホームページにも情報の公開など行ってます。
ホームページへのお知らせや文筆記載、小ページ掲載もできますので、どうぞ宜しくお願いいたします。


この文書に対する、感想、意見、各種問い合わせ

【地域生活を考えよーかい】
トップページへ戻る