地域生活を考えよーかい

地域生活を考えよーかい

緊急シンポジウムin大阪「入所施設はもう作らない新障害者プランを!」
〜シンポジウムの感想〜

掲載日:2002年10月19日
分責:李 国本 修慈


 平成14年度厚生労働科学研究「知的障害者の利用者主体の地域生活援助サービス推進に関する研究」班。平成14年度三菱財団研究「福祉法人運営のための権利擁護と地域生活移行プログラムの開発と職員研修」主催ということで、参加してみました上記のシンポの感想というか報告です。

 まんず、問題提議としては、いろいろなところで語られています予算の執行、具体的には知的障害者といわれる方々の地域支援関係の予算と入所施設関係予算の比率は3対7であるということ(入所者の数値は全国で10万人以上〜117700人・研究班資料による〜といわれているそうですが、それでも成人知的障害における入所者割合は35%ということだそうです)。そのために地域生活支援予算は困窮の状態であるということ。結果、施設から1年間に地域生活へと移行した方は1%にも満たないといったことがあげられました。

 ということで、なにより当事者主体であるべき社会の実現に向けて、新しい「障害者基本計画」に「支援費制度」を創ろうといった主旨でよかったかと思います。

 最初に三田優子さんから研究班の報告がありまして、グラフから読み取れる問題点などがあげられました。資料は国本が持ってますのでご入用の方はご連絡ください。

 数値で見ると、やっぱり地域への移行は微々たる数であることや、グループホームなど地域支援関係よりも施設数の増加が顕著なのがみてとれます。

 このあたりは平成15年度の概算要求なんかを見ても、来年度はまずい!!といった感じですが、その先2年3年を見据えての動きは必要だろうなぁと思いました。

 で、研究結果からみてとれるは、入所者の方々が、職員のかたがわり(他の利用者さんのお世話)をしていることだとか、入所者の意向(できれば退所したい=地域へ戻りたい)と、親の意向にかなりのへだたりがあったということ。

 などなどなんですが、やっぱり当人さんたちの声が最もインパクトがあって、障害者計画に向けて「地域に出さない(移行させない)入所施設はそのお金を返す仕組みにする事」や、「地域でのサービスのための予算を入所施設の予算よりも多く計画すること」ということや、きわめつけは「職員はまず入所施設で(入所者として)生活してみること」なんてのがあって、このあたりがとっても大切だなぁと実感しました。

 また、当日のお話及び資料の中でインパクトがあったのは、厚生労働省・障害福祉専門官の山口和彦さんによる「支援費によるホームヘルプサービスについて」という論文だったのですが、やっぱり国の予算に市長村が手を挙げてない実態がありまして、なんだかその理由もびっくりするような(最近・・・と言ってもここ1年くらいはびっくりしませんが・・・)「「要望がないから」といったことがありまして、最近はやりつつある「地域生活待機者」なんてのがあるんですが、僕個人的には、なんともかっこいい言い方だけど、それって「なんでもあるもん待機者」ちゃうのん??と思ってしまうこの頃です。

 僕なんぞが、やたらとこだわる「緊急一時保護家庭制度」なんてのも、ぜんぜんいい制度なんかじゃあないのです。ただ安くって使い勝手がよくって・・・、そんな理由からの爆発的ヒット商品となっていった(あるところにだけ)訳ですが、それを買う(使う)ことによって、入所でないものがあるんや・・・と気付いたり・・・、そして、それが単なるかたがわりしているだけで、それって本当の意味であるべきはずののパーソナル支援のかたがわりやったんちゃうのん?ってなことを多くの方々に感じて(気付いて)ほしい訳なんですね。

 そーゆー意味で、僕はまだまだ「あるもん待機者」だと思うわけです。いつまでも「緊急一時保護家庭」しかなかったら、そればっかりの待機者が増えるばっかりです。これ、入所待機とよく似てますね。

 そんなんで、「あるモノ」(今ないもの)をどんどこ増やさねばならないですし、そういうことで「施設はもう作らない」ということであったと思い、そのためには施設に偏った予算編成は明らかにオカシイ訳で、そこいらはきちっと声を挙げていくところなんでしょう。

 また、ふわりの戸枝さんは僕なんかも共感できる思いをお持ちで、例えばマンパワーについてなんてのは施設の中にこそあったりして、入所者退所加算のみならず「職員退所加算(ただし地域生活支援事業に移行したものに限る)」なんてのをプランにいれてしまったらえーやんってなことを思うわけです。

 と、もっと大きな枠組での地域福祉の構築という意味では中学校単位の区域での支援事業所、もしくは地区社協単位(伊丹市では小学校区域)の同事業所があってしかるべきだと思いました。

 となるとやっぱりやっぱりマンパワーにつきると思うのです。

 これもよく言う「施設長みなさんは、職員が心地良い職場にするよりも、地域に出て行かなくちゃ!と思うスタッフを育ててよ!」ってなことなんですが、そんなことも切に感じるシンポでした。

 なんにしても、支援費に翻弄されてる節がありますが、障害者基本法に地域福祉計画、なにより障害者差別禁止法なんかにもきっちりと視線を向けて考えていかなければいけないんじゃあーりませんか?と改めて感じさせていただいた次第です。

 追記・・・もひとつ、記憶にあるコメントで藤沢ぱるの根来さんがおっしゃってました「国立コロニー1ヶ所に付くお金と、ホームヘルプに付くお金(約30億だったかしら・・・定かでないですが)が一緒なんです」ってなところにも反応しました。

 そんなんでテキトーな報告でしたが参考までに。


この文書に対する、感想、意見、各種問い合わせ

【地域生活を考えよーかい】
トップページへ戻る