地域生活を考えよーかい

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支援費受給者証更新時期に考えていくこと『Y.Kくんの将来計画案』

作成日:2003年11月25日
掲載日:2003年11月27日
作成者:李国本修慈


はじめに

 Yくんが12月1日にA市から訪問調査(支援費受給者証更新による)を受けるにあたって、今後の彼自身の計画及び支援計画(ようするに制度の運用方法などなど)を国本が知り得る限りの情報から考えてみました。
 基本的に彼自身の(これからすぐ、と、この先、だいぶ、との、)支援という観点から、家人の状況、制度、サービス基盤、市の財政などから、広く今後の市の制度等の在り方を考察していきたいと考えます。

 現状での彼は、高度な(?と、言うよりマニュアルにないような、と言った方が適切かしら?)介護技術(高緊張時に対する対処や、医療的ケア等)を要する、重心(重症心身障害児)といわれる方ですが、複数の事業所を利用し、彼に対応できる(もしくはできそうな)ヘルパーも増えつつある状況です。

 まず、現在の支給決定量が「多いか少ないか」という点で議論するとすると、「利用していない分が余分である」というような考え(なんとなく聞き伝わってくるところによるとA市は、…「も…」か、支援費抑制に向かっているようなのでこのような言い回しとなっています、すいません)はむしろ当てはまらず、利用時間数も、着実な「伸び」を示しているところから、今後よりいっそうの彼の活動内容・量ともにが増えることが期待されるところですし、それこそ、「対応できるヘルパー」の育成=サービス基盤の充実を市と事業所(利用している、もしくは今後利用していく可能性のある複数の)が作り上げていく必要があると考えます。

 続いて、彼自身の活動目的に沿うとすれば、例えば「プール介助」にしても一人では困難であることは明確で、その他の外出支援にしても同様であることは言うまでもないことと思います(外出の際には全て注入の管理等がついてくる)。

 そこで、常時「二人介護」として支給決定が受けれるのか?という議論も、市の財政(及び県・国の財政も)等も含めた上で取り交わしていく必要があると考えます。

 今後(卒後)、彼自身が「単身(のような=グループホームや生活ホーム、又は真の一人暮らし)」の暮らしを望むのであれば、日中活動場所を除いた365時間を現状の「身体介護単価」で支給決定を受けるのは困難である(もちろん財政事情から)と考えられます。とすると、将来的には「日常生活支援」による支給決定も考えていくべきかとも考えます(これについては末尾に考え方も記しています)。

 現状で、身体介護と移動介護の利用をどのように運用していくかということについては、解釈の問題かと思います。自宅外での「身体介護(例えば自宅を拠点とした散歩など)」もありでいいかと思いますし、「移動介護」が全て「移動(し続けている)」ということもないというのはこれまでの解釈通りだと思います。

 また、彼については、いわゆる「見守り」時も重要な「身体介護」時間といえる(見守り中も突如の筋緊張は予告なくやってきますし)と思いますし、その単価と量(例えば夜間の支援費利用)も計画に落とし込んで、今後、市の財政等を考える時には、如何に明確な計画を持って、必要な、かつ無駄のない支援費利用を考えていかねばならないと思います。もちろん居宅介護のみならず、支援費制度の枠内のみで彼の生活を構築しようということではありません。
 とすると、来年度にも検討されるであろう支援費単価等の改正なども見据えた提言(例えば日常生活支援と身体介護・移動介護の併用など)も必要かと考えます。

 事業者としても、きっちりと力量(財政的な基盤)をつけた上で、上記「日常生活支援」単価で、「Y.K」くんを長時間サポートできる体制を築かなくてはいけないように思います。

 そして、どうしても必要になるスキルを持つ支援者(ヘルパー)育成と、制度の改正時を視野に入れた取り組み(例えば訪問看護の支援費での利用の提言)などもおこなっていかねばならないように思います。

 また、彼らの今後を考えての「短期入所」事業者要件の緩和や、単身生活の可能性も模索していかねばならないと感じています。

 とりあえずは、長時間(身体介護・移動介護の時間数として)の支援費は現状で請求すべき量であると言えますし、その支援費を持って多彩な計画をたてていく手立てをと思ったりしています。

 なんにしても、当人支援の支援費の在り方、また、今後の彼らが地域で暮らせる制度の運用(支援費制度のみによらない)を考えていくことも当然ながら必要となってくると思います。
 そんな過程をYくんの個人計画と合わせて考えていきたいと思います。

おわりに

 支援費単価に関しては、「安い」にこしたことはない(財源が税金ですから、また保険となっても、ですが。)と思いますが、そもそも「日常生活支援」単価は、前身制度の「介護人派遣事業」を引き継いだ単価であって、現行の支援費単価は「事業者の参入(及び人材の育成も兼ねた…と理解しています)」を見込んだ単価であるということを認識した上での議論が必要かとも思います。現単価でもヘルパーが入りにくい(対応困難)とされる「重度障害者」といわれる方々にとっては、更にヘルパー確保・養成が厳しいものになっていくとも考えられます。それでも我々は当人の時間数(支援費量…金額でなく、時間という意味)を当然優先させて考えるべきではあるとの思いから、上記の訪問看護を支援費での利用を可能とすることや、他制度の充足やその他のアイディアを練りだしていくことが肝要であると感じています。


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