地域生活を考えよーかい

地域生活を考えよーかい

 障害者計画改定に関しての意見

作成日:2004年1月4日
掲載日:2004年1月7日
作成者:李国本修慈


伊丹市 市民福祉部障害福祉課御中
2003年1月4日
障害者計画改定に関しての意見

平成16年度から具体化すべき課題に関する提言=伊丹市障害者計画中間答申(案)=について、以下に意見を記します。

支援費の円滑な運営について

1.総合的な相談支援体制について
  1. 相談窓口の多元化について、総合的かつ、重層的な相談支援体制を構築するということの具体策として「身近な所での相談窓口」とありますが、その中の「障害者相談員」及び「民生児童委員」の方々(地域在宅介護支援センター等も→新たに加えるとあるが)が実情としてどの程度の制度等の理解を持ち得ているのかが不明の中、第一次相談体制の目的である【「身近な所で」「気軽に」「何でも」の初期相談ができる】というのは現実的ではないと思えるのですが如何でしょうか?
    実際に民生児童委員さん(全ての委員さんを指すものではない)にどの程度の相談が寄せられる(又は相談を受けられる)のかといった実情(「何でも」相談できる委員さんが市内にどの程度いらっしゃるのか?)も調査する必要があると思うのですが如何なものでしょうか?
  2. 相談支援ネットワークの構成については、早急に項目に挙げている事項を実施していただくよう望みます。また、挙がっています5項目に加えて、しょうがい者・児といわれる方及び家人、更に市民に向けた「情報提供」活動を加えていただきたいと思います。重層かつ多元的な相談体制が構築できたとしても、それを周知(および理解)する市民があってこそのものであると思いますので提案とさせていただきます。
2.明確な支給決定体制について
  1. 支援費サービスの利用要件の明確化についてですが、居宅介護について、市で検討しなければならない事項として【それぞれのサービスの内容、対象を明確にする必要がある】という文言が挙がっていますが、厚生労働省令による基準(居宅において日常生活を営むことができるよう、身体その他の状況及びその置かれている環境に応じて、入浴・排泄及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事、生活等に関する相談及び助言並びに外出時おける移動の介護その他全般にわたる援助を適切に行うもの)の範囲を縮小させるイメージを抱かせるように思いますが如何でしょうか?
    記載内容にある【サービスごとの目的や内容等が不明確なことから、その利用対象を明確にし、より多くの障害のある人が支援費制度を利用できるようにする】という文言を読んだ際にも、未だに利用需要を満たされていないしょうがい者といわれる方への利用促進を進めるよりも、需要過多(市の年度当初の試案からという意味です)となっている支援費制度利用を抑制するような意図があるのではないかといった感を抱かせるものとして注意すべき文言であるように思います。具体的には【サービスごとの目的や内容等が不明確なことから】は不要ではないかと思いました。
  2. 標準支給モデルの作成について、いわゆるガイドラインであると認識していますが、障害児・者といわれる方々の個別性を充分に考慮したガイドラインであることを望むところで、【国の補助基準を踏まえた標準支給モデル】という文言(もちろんそれを踏まえなければならないのは承知ですが)を前面に出す記載は如何なものかと感じます。また、以下でも述べます(その在り方)「(仮称)伊丹市支援費調整会議」等の意見を充分に取り入れた内容とすることを強く望みます。
  3. 「(仮称)伊丹市支援費調整会議」の設置について、市民参画の会議であるということは当然のこととして、しょうがい者といわれる方の参加比率も明確にしておくことが必要であると思います。
3.事業者指導について
上記1.における相談支援体制にもでてきた支援費サービス提供事業者連絡会をできるだけ頻回に開催し、指導及び詳細な情報提供を行っていく旨も提言案として入れていただきたいです。
4.支援費による入浴サービスの充実について
障害者福祉センターの入浴設備の充実と具体的には挙がっているが、それのみでは入浴の需要を満たしきれるとは考えられず、より具体的な策(案)を考えていただきたいところです。


知的障害者の総合的支援について

1. 入所機能を備えた拠点施設の設置について
  1. 社会福祉法人による拠点施設の設置支援についてですが、【「知的障害者入所更生施設」を基本に】とあるが、それ(入所機能を備えた拠点施設)を「入所厚生施設」とすべきではないと考えます。その理由のひとつはしょうがい者といわれる当事者の方の意見を充分に取り入れたものであるかということ。そして、これからの地域福祉を推進していくという考えからは福祉ゾーンにおける多様な施設サービスの提供図にも挙げられていない「グループホーム」がその(本人中心の地域生活を支援する拠点)中心となって進められていくべきであると考えますが如何なものでしょうか?
    又、実際の運営方法についも別添資料(福岡寿さん提供)を添付させていただき、具体例として参考にしていただきたいと思います。
    更に、入所施設における生活実態を知る方々(当事者といわれる方々)からの意見を充分に反映していくことが重要であることを強く提言させていただきます。(参考資料:平成14年度厚生労働科学研究「知的障害者の利用者主体の地域生活援助サービス推進に関する研究」班及び平成14年度三菱財団「福祉法人運営のための権利擁護と地域生活移行プログラムの開発と職員研修」提供)
     1における「デイサービス事業の実施」について、5養護学校卒業者の進路としての機能も兼ねたものであること(重度重複障害者も利用可能)を明確にした設置基準としていただきたいと思います。
     また、2の「短期入所事業の実施」に関しても、1で述べている【高齢化や重度重複障害者の増加が予想されることから】医療的ケア(もしくは医療ケア)が行える実施施設であることを計画案として盛り込むべきであると考えます。
  2. 周辺施設との一体的運営(福祉ゾーンの形成)については、上記に記したとおり通所授産施設(支援事業を含む)が核となり、居住の場としては「入所更生施設」ではなく、「グループホーム」となる提言案であってほしいと思います。
2.市立施設の民営化について
くすのき園・さつき園の民営化について、1に挙げている【より充実したサービスの展開を目指した運営移行】、2に挙げている【利用者及び保護者の意向を踏まえた移管条件の遵守を求めること】等について、支援費によるサービス提供と現行との運営比較を明示し、必要であれば市独自の「上乗せ」又は「横だし」(様)などを加えた明確な内容での提言案としていただきたいと感じました。
また、<基本方針>に挙げている【知的に障害のある人の地域生活を24時間365日切れ目なく総合的に支援するための次の取り組み】として、1で挙げている拠点施設の設置者との連携も考えられると感じるのですが、その事業運営方法案を具体的に明示していただきたいと思います。
3.総合支援サービスの実施について
この項については、前述(1での)の記載とも大きく関わってくるところで、【本人主体の支援プラン作成】という点では、今後も論点となっていく「障害者ケアマネジメント」の在り方(高齢者に対してのそれとは違うという意味で)を充分に確認した上での提案とされたいところです。
【2.情報ネットワークによる支援】【3.地域療育等支援事業】に関しても具体的な内容が解りづらく、例えば地域巡回支援事業と療育等支援事業との連携関係図なども明示していただきたいところです。
(2)施設サービスの提供(3)在宅サービスの提供(4)医療的サービスによる支援の項については、上記(1での)による内容を強く望むところで、それぞれにある「自立生活の手段となるグループホームの設置を検討する。」や、「診療所等の設置を検討することによって、」という曖昧な表現明記では実効性がありませんので、明確な提示案としていただきたいと思います。


就労の支援について

2.小規模作業所・小規模授産施設の充実について
  1. 小規模作業所への支援として、【社会福祉法人の取得を目指す作業所に対して】とあるが、NPO法人を目指すものも含めるという考えを明示(社会福祉法人【等】の取得を目指す…のような記載)していただきたいと思います。また、小規模作業所などの実態(重度・重複障害者ていわれる方々等の日中活動の場である等)を調査した上での運営支援の具体策(例えば賃貸物件等への援助等)を提示していただきたいと思います。


養護学校卒業者の進路について

 基本方針についても具体的内容が明らかにされておらず、特に伊丹養護学校を卒業される方の進路について市内作業所の在り方(福祉就労=活動場所の手狭さ等)等も考慮した即時的対策と、医療的なケアを要す方などの対応等として、長期的な対策を「総合的な相談支援体制」や「地域生活を支援する拠点施設」と兼ね合わせ具体化していくことを提言させていただきたいと思います。


おわりに

 上記内容は個人的な考えの羅列ですが、今年は障害者施策におきましても、昨年末に報道されましたように、厚生労働省が今年1月中旬にも省内に介護保険制度と障害者福祉の統合について「介護制度改革本部」を設置し協議するということになっているようです。
 その内容によっては障害者ケアマネジメントの手法や、支援費制度自体(上記に掲げるガイドラインの策定なども含め)の大きな変革となるかも知れません。
 個人的には、財源についての介護保険的在り方は検討されるべき点ではあると考えますが、制度自体が介護保険に組み込まれていくという考えには検討の余地もないものと考えています。
 伊丹市として、今後のしょうがい者・児といわれる方への生活支援の在り方等の実情を充分に理解した上で独自の指針を提示していただきますことと、しょうがい者といわれる方々や利用者及び関係各者との連携及び協働での検討をこれまでと同様、又はそれ以上にお願いいたします。


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