病院勤務をやめ、しぇあーどで活動を始めて、1年半が経とうとしていす。何もわからないまま活動を始め、たくさんの方々と出会いました。喜びや悲しみ・発見・学び、自分の無知さに落胆し、頭を打っては這い上がり…の毎日でした。
先日、ある病院の懇話会に出席しました。シンポジウムのテーマは「その人らしい生活を支援する地域連携とは」でした。病院看護師・訪問看護師・ソーシャルワーカー・ケアマネージャーそれぞれの立場からの発表がありました。
発表された事例の中で老々介護(夫婦共に81歳)の状況下、膿胸のため気管切開をし、自己吸引を行うということで退院をすることになり、自宅で生活をすることになったケースがありました。病状が悪くなり、自己吸引が難しくなってからは、訪問看護師の複数訪問で吸引をしていたそうです。吸引をしてほしいときに、看護師がいなければできないという状況が、本当にその人の望んだ生活でしょうか?
必要なときに、必要なケアを受けられてこそ、その人らしい生活が送れるのだと思うのですが、果たしてそれが、看護師だけで担えるものなのだろうか…と、疑問に思います。
「医療ケア」は、医療の現場で医療従事者が行うことであり、在宅で行う「医療的ケア等」といわれるものは、本人が生活を行うために必要不可欠なものであり、「その人の生活を支えたい」と思う人たちで行うべきだと思います。しかし、規則や制度・法律などというものがたくさんの人たちの生活を縛っていることが現実なのです。そして、地域の大半の人たちが、医療的ケア等は看護師が行うものであり、指導していくものだと思っているのです。
確かに医療的ケアの基本は病院で教わります。しかし、在宅でのケアは、基本をもとに本人と家族がそれぞれ生活に合わせたものを使い、本人にあったケアが行われています。私は在宅でいつも学ばせてもらい、いつも感動しています。それは、いかに自分が(在宅で暮らす人たちの生活を含めて)何も知らなかったかということです。
今、医療的ケア等が必要な方々と外出など活動を共に行い、屋外等での楽しそうな表情を見ることが嬉しく、次の計画を立てるのが楽しくてなりません。しかし、私達が接している方々は、極々少数の方たちで、今も尚、在宅で過ごしている人たちが多数いるのだと聞いています。
1年半の活動を通じ実感することは、在宅で暮らす方々を支えるのは、「その人の生活を支えたい…」という気持ちと行動力、本人を取り巻く多職種・他の事業所との連携だと思います。今後は、今までの活動に加え、医療的ケア等を要する方々の生活を支えたいと思う人々に、基本的な手技や知識を伝えていくことだと思います。そして、規則や制度・法律というものを動かすことができるように努力していきたいと思います。