地域生活を考えよーかい

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『ふつう』を考える
〜林やよいさんのお話し会によせて〜

作成日:2004年11月15日
掲載日:2004年11月16日
文責:NPO法人地域生活を考えよーかい
李 国本 修慈


 今回、どういった流れかで、鴻池小学校ランチルームで、林やよいさんのお話し会(正式?には講演会=PTA学年部主催ですが、あえてそう呼びます…)が開催されることとなりました。

 やよいさんのことを何時知ったのか、初めての出会いが何時頃だったのか、ぜんぜん覚えていないのですが、何故か、ほんのりとした柔らかな彼女に対するイメージが私の中には(も、…ですね、けっこう多くの方が同様なイメージを彼女に抱いていたりします)ありまして、彼女の書く(描く…の方かな、いや、どちらとも)モノに触れる時(と言っても、例の四コマ漫画を毎度見ている訳でもなく…毎日新聞を購読していないもんで…)、「ふふふ、、、」(なんだか妙な表現ですが)といった感情が繰り返し自分の中に沸いてくるのを体験してきました。

 と、言っても、やよいさんに何度もお会いした訳でもなく、メールなんぞで、「こども」のこと、「しょうがい」のこと、「制度のこと」、「教育のこと」なんかを、ほんのりとお話しした程度の関わりなんですが、とってもあったかな柔らか味というか、そんなことを感じさせてくれる、やよいさんです。

 私が勝手に、やよいさんに共感している部分は、そのほんのりとした雰囲気(繰り返しますが、そんなに親しく長年お付き合いしているという間柄ではないのですが)をかもしだす、「…だけど、(でも、)いいじゃない」といった具合の感覚で、そこには、私なんぞが自らの永遠のテーマ(私は至って大袈裟な言い方をします、更に自意識過剰…は、どうでもいいのですが…)として考え(続け)る「普通ってなぁに?」ということに対するなんらかの反応(応え=答えではなく、いや、答えはないようなぼんやりとしたモノ)を得れたような…、そんなことを感じさせていただけるのです。

 今回も、用意させていただいた資料の中にある、四コマ漫画で、ものすごい確率の高さの中、いわゆる「しょうがい」が判明(これもとっても変な言い方ですね)した娘が、結局、「しょうがい」があろうがなかろうが、「もともとヒトってこの世にひとり」だと気付き、そして、「ほっ」としちゃうところなんかが、私にはとってもしっくりくるところです。

 そして、やよいさんの描く(書く)モノには、とっても優しさが込められていて(まぁ、それも、多くの人たちが持ち得ているモノなのですが…)、いろんな「辛さ」を共感しよう…ではなく、自然に共感してしまう、そんな場面がいくらかあって、それも、やよいさん、そして、ゆりあちゃんのなせる業?というか、それが、彼女の持ち味なのかな?と感じるものです。

 そして、そんな味にひかれる人は、私に限らず、けっこうな数の方々がいらっしゃり、そんなところからの繋がりが、やよいさんや、ゆりあちゃん、そしておにいちゃんたちを支えていたり、また、その逆に、私なんかも元気をいただく一人となっています。
 そんなことを考えると、やよいさんも大抵(たいがい…などと言う)すごい方なんですが、ゆりあちゃんも、ホントすごいなぁと思います。

 ただ、ゆりあちゃんだけがすごいのでもなくって、多くの子ども達、大人達を含めた人間が、そのすごさ(優しさ?かな…)を持ちえているもんなんじゃあないのかな?と、これも、やよいさんの書く(描く)モノを通じて感じることのひとつです。

 そんな感性を磨いてきたのか、磨かされてきたのか、やよいさんのそれを本日、できる限り多くの方に感じ得ていただければ、なんとなく主催者(真の主催者はPTA学年部さんですのでお間違えなく)もどきの私としては、とても嬉しい訳です。

 そして、やっぱり、多くの方に考えていただきたいことは、「ふつうってなぁに?」、「しょうがいってなぁに?」、そんなことを時には考えていただきたい(は、あつかましいか?、…考えられれば?、考えていただければ?かしら?)と思ったりしています。

 そして、「しょうがい」を考えた時、ここにお集まりになった方々は、どんなことを考えるのでしょうか?。

 簡単に、その捉え方として、見えない(聞こえない)ことや動かない(手や足など)ことや、それらによって生じる身体的な制約を「インペアメント」と言いまして、一方、社会によってつくられた障壁であるとか、差別を「ディスアビリティ」と言いますが、私なんぞの考えでは、「インペアメント」を「無くす」あるいは「軽減させる」ということよりも、「ディスアビリティ」がもたらす社会の変革が必要なんではないかと常々思うのです。

 視力や聴力など五感のどこかであったり、脚力・腕力など、身体機能のどこかが弱かったりした際に、それらを「直す」ことよりも(もちろん、それは大切なことで、治療ということ等を否定しているのではありません)、そういった「弱さ」に合わす、と言うか、そういった「弱さ」をしっかりと解り、その「弱さ」は決して「悪い」ものではないんだ(よく言う「目が悪い」、「耳が悪い」なんて言葉も「視力が弱い」、「聴力が弱い」と置き換えてほしいな、といつも思ってます)ということを子ども達や地域、社会の方々に、それこそ、やよいさんのごとく「ほんのり」と感じていただければといつも思います。

 そして、今回は、「見とってな!けんた!」もお持ちいただいたのですが、この絵本にもいくつかのやよいさんからのメッセージがこめられていると思うのですが(この絵本の絵を担当されています「たかいたかこ」さんもとっても素敵な方です)、たとえば「脳性まひ」って何?、とか、しょうがいにかかわらず、「弱さ」を持った子ども達は、けっこういらっしゃるんだよね、だとか、どんなに弱そうに見える子ども達(大人達もですが)も、すごい力(勇気などかな?)を持っているんだね、だとか、そういった力も、みんな、人の繋がりなどから沸いてくる…、そんなことを、やよいさんが描く絵や言葉から感じられるものです。

 「みんな違ってみんないい」とよく言いますが、まだまだ知られていない「違い」も多々あります。

 多くの様々な方が「ふつう」に暮らせる地域社会をと思います。


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