「今後の障害者保健福祉施策改革のグランドデザイン案」、その内容が明きらかになっていく中で、この「デザイン」は、一体誰が描いていくのか」といった思いが日々増していくところである。
三障害の一元化、財源の義務的経費化など、評価できる点はあるのだが、定率という名の応益負担や、移動支援の事業化など、障害が重い、支援度が高いといわれる方々の地域生活の実現は現状から後退するものではないかと危惧するところである。
我々は主に重度重複障害児・者といわれる方々への生活支援活動を行ってきたのだが、支援者の視点から、彼ら(や医療的ケアを要する方々)の生活を支援するには、その社会資源の多様化の促進に加え、人材(支援者)育成を進めるシステム創りも欠かせないものである。
今回このグランドデザイン案に関しては、「給付の抑制」・「自己負担の徴収」が、その目的と思われる「安定した財源確保(もしくは担保)」の手段になっているように思える。
そして、未だ明らかになっていない、重要な部分である(はずの)居宅支援サービス単価は、充分な考察をもって決定されることを望むところである。
例えば、地域に暮らす「気管切開」「吸引」「径管栄養」「人工呼吸器」等の生活援助(医療的ケア)を要す方々にとって、現行の支援費制度が掲げる「対等」かつ「利用者主体」に基づいたサービス選択を考える際、多くの方々が法律・制度の壁、そして人材の壁に対面してしまうといった実態がある。
具体的には「医師法」等による上記支援サービス提供が困難となっている実情、我々の様に訪問看護ステーションと一体化したサービス提供を行う上においても、その「人材養成(育成)」には、多大なる労力(研修及びしょうがい故の個別性=特異性等との親和性確保にかかる時間及び費用)を要するものである。
こういった事例は、何も医療的ケアを要する方々のみでなく、自閉症や行動障害といわれる方々及びそういった方々を支援している事業者にとってもあてはまることである。
明らかに拙速な政策決定過程に対し、当事者への説明も充分でなく、更にそれを支える支援者の意見も活かされないというような障害者自立支援給付法では、それが目的とする「安心して暮らすことのできる地域社会の実現」は困難極まりないという他はない。