地域生活を考えよーかい

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障害者自立支援制度セミナー 6 レポート

3月3日、西宮市で行われました「自立支援制度セミナー」の報告です。

作成日:2006年3月4日(土)
掲載日:2006年3月9日(木)
作成:地域生活を考えよーかい
久保 雅子

久保 雅子

資料
レジュメ
2006年3月1日全国障害福祉関係主管課長会議資料
障害者生活支援センター(西宮)「すすめる提言 2005」―基本編―西宮のしょうがい福祉をすすめるネットワーク
寝屋川市民たすけあいの会「ぼちぼちはうす」がTVに!
アンケート用紙
パネラー
北野 誠一 氏(西宮市障害福祉推進計画策定委員会委員長 東洋大学 教授)
上田 晴男 氏(西宮しょうがい福祉をすすめるネットワーク世話人代表)
玉木 幸則 氏(ピアサポート・西宮)
進行
冨田 昌吾 氏(寝屋川市民たすけあいの会 事務局長)


上田晴男氏
------------18:50より
 地域生活支援事業にある地域自立支援協議会は、(圏域単位か!?)まだ構成・内容・当事者の意見がどのように反映されるか・今ある地域資源(会)との関係など、はっきりとしたことがわかっていないのですが、地域の仕組みを考えていく重要な所になると思われます。就労・(就労支援ネットワーク)相談(西宮あんしんプラザ)・権利擁護など(部会構成で進められるようですが)・・早い段階で(といってももう3月ですが)明らかにする必要があると思います。

 情報提供として、芦屋市は在宅介護支援センターが地域包括支援センターの移行し、今のところ高齢者向けですが、権利擁護委員会という新しい仕組みができました。H18年4月~の高齢者虐待防止法により虐待通報に対応。委員会を作るために実態調査をしたそうです。H19年4月~高齢者も障害者も権利擁護の仕組みができる可能性ができてきました。障害者の権利擁護・・青年後見人支援事業など自立支援法はどのようになるかわかりませんが、相談援護事業等ないわけではありません。

冨田昌吾氏
 (西宮市は)「すばらしい仕組み」を作ったと厚生労働省は言われますが、この、「すばらしい仕組み」を新制度でどう生かすかが重要に思います。介護保険の区分認定はほとんど一次判定で決まってしまいます。程度区分がどうなるのか?今受けているサービスの前に認定調査があり、今受けているサービスは(新制度に)移行するだけですと説明を受けていますが・・・。地域の仕組みをどう作っていくのか、当事者の意見の集約は?反映はどうなのか?部会制で進めるとはいわれていますが、利用している個人や事業所は見えにくいように思います。

玉木幸則氏
 私は、当事者であり事業者であり、相談窓口であって、立場的に難しいのですが、なんだかんだ言っても、制度は変わります。カワっても、基本的なことをおさえなあかんと思っています。

 ひとつは、どんなに重度のしょうがいになっても西宮にすんでいけるんか?ということです。そこに、どんなサービスが必要で、作っていかなければならないか?

 ふたつめは、入所している知的障害のある人70~80%がどうやって地域にもどれるんか?
日中活動の場17万人など国は数値目標を挙げていますが、どうやって!?どのように!?法律ずっと読んでもなんもない。支援費制度もいろいろ地域にといっていたが、どんだけの人たちが、施設から、西宮に帰ってこれたんか!?ちゃんと、そのことを、認識しないとあかんと思うんですよね。

 いったい、私たちは、どこをめざして、運動していくのか?考えていきませんか。
仕組みを考えていく必要性を思うんですよね。

 みっつめは、地域で住み続けられる!?かということ。
よく言われることに、金銭管理ができたら、身辺自立ができたら自立やと、施設の人が言われるが、できんものはできんのです。地域生活は、できないならできないなりに権利擁護という仕組みを作っていく。今まで、相談支援は、入所施設に入所手続きができて相談支援終わりだったのです。「親御さん大変になったけどこれからは楽できますよ。施設決まってよかったですね。」といっていたわけです。だけど、「何が大変ですか」という話の展開にならないといけない。お母さんの生活を中心に考える。本人さんにも確認しなあかん。今まで、お母さんの話だけで終わっていましたよね。「相談者はお母さんでも、あんたさん(本人)はどうしたいんや」ときいていないですよね。そうでないと、本人は制度やまわりにあわさんことになりますよね。
個別支援会議に本人抜きの会議はおかしい。「本人いれての会議をして効果は?」という質問ほどおろかです。当事者の支援会議に当事者抜きはおかしいでしょ。本人のエンパワメント、「自分のことは自分で考えんとあかんな」という力をつけなあかん。西宮の仕組みはまだ十分とはいえないと思うんです。こんなあたりまえのことを、言い続ける事が大事。

 介護保険制度は、なめてる、いえ未成熟です。医療費の削減、家族介護の限界から発生した介護保険。「じゃあ、今のお年よりはどうしたいんや!?」20~30年施設入所している人がいはります。どんな状況になってもこの町で、住み続けられるんや。「こどもも、お年よりも、障害者も一緒や」と言いたいんです。

冨田昌吾氏
 どうしてもいけない相談支援、ケアマネージメントを基本をふまえてないと、何をやっているのかわからなくなる。という話が玉木氏から話されていました。介護保険制度と自立支援法の仕組みはよく似ていますが一つケアマネの仕組みが違う。

 介護保険は評価として、(一方で)老人に対する窓口がアルという日本の国だという評価と、(もう一方で)本人の話を聞かないという(ケアマネ)介護保険はいわれています。先ほど、玉木氏が「サービス利用者の将来見通し」(資料12P)「居住系サービス利用者の将来見通し」(資料13P)障害者の事業計画にH23年度までに7%減とか授産施設から一般就労へと国は数値目標あげているが、これ、本人意見聞いて決めたんじゃないですよね。

北野誠一氏
 今日夜、西宮でセミナーがあると言ったら、昼、厚生労働省の人を交え名古屋で三重県・愛知県・愛知市・障害福祉課のパネルディスカッションに司会で呼ばれましたが、厚生労働省の方への質問攻めでパネルディスカッションにならなくて驚きました。そのくらい、自立支援法はいまになってもまだ、決まっていないってことです。

 解明事項として厚生労働省の若林さんが部会(3チーム)のどこが議論していて未決定と話すことがまだ厚生労働省が言っているのを聞いて誠実なのか、(まだ?ということに)不誠実ということかわからなく感じました。

 重度包括対象者の単価について、愛知の人が質問していましたが、『4時間7000円1単位。毎日24Hで6単位。4200円×30(日)=120万/月いるが、国は45万/月という予算です。120万-45万をどうしろというのか?』という質問に『確かにあの金額ではできないということはわかっていますが、予算から割り出して45万しか出せない。』という答えでした。これは誠実なのか、不誠実なのか!?

 唯一評価できるとしたら就労とか、自立とか強調すると、一般就労しにくい人は?地域に生活できない人は?となるが、「移行」であるとしたことです。介護保険に高齢者の就労支援がないのは当たり前ですが、家族介護が限界なら、施設入所でなく、地域生活が前提で、仕組みの中に、家族介護を前提にしていない点は評価できます。しかし、その仕組みに、単価がついてこないんですよね。

 15年で2万5千人しかグループホーム作れなかったのに、5年で6万人グループホームをつくる。つくれたら、たいしたものですが、「から手形」ではないかしら。

 いろいろ聞けば聞くほど(自立支援法)、悩ましく感じています。施設から地域に移行調査を当事者(本人)に聞くのかと思っていましたが、施設事業者にきいている。みなし期間内にあまりに、形式的に仕事をしようとしていない?と思ってしまう。指定基準、(10月~)の職員配置ほとんど細かく書かれていない。重度訪問介護の資格要件はほとんどトレーニングされていない人でもできる。一見やりやすそうで、単価低い=資格要件うすめるとセットになっている。指定基準ゆるめ単価をさげる。なんとも悩ましい。

 将来見通し(資料13P)ですが、グループホームは市町村が作る仕組みではないんです。市町村に国はボールを投げただけの感がある。24H体制は住民、地域がつくるんですよね。(自立支援法の)制度設計は、バランス上在宅の人は施設入所の人より金額が多くかかるのは困るわけです。国は、日中と夜間を足して施設より経費がかかっては予算が困るんです。しかし、市町村が上乗せするのはかまわない。行動援護、重度包括で、2.3万/月。重い障害の単価にしてはあまりに十分でない。

冨田昌吾氏

  1. 根本の〔法〕は変わっても、原理原則は変わらないということ。
  2. 新法律に今の仕組みをどう活用するか!?

規制緩和、単価↓全国的にやっていない所がやれるように考えているので、今のサービスの上乗せは市町村がやってね。という形だよね。


<まとめ>
上田晴男氏
 4月から自立支援法が始まるのにいまだに全体的な話でした。3年ごとに変化する(制度に)ふりまわされている。介護保険と統合されるのだからいいや、お金の都合(予算)だからしかたがないでなく、2025年、日本が人口率も高齢化率も大変厳しいと予想されるそれに耐えうるようにという国の立場を考えている感がある。個人の生活が、それなりに暮らせる仕組み・考え方がいるように思うんです。今は、国は、3年ごとに変わる制度のスタートラインあわせようとしている感があります。

玉木幸則氏
 グループホーム、ケアハウス、をすることが、地域生活(支援)と考えるのではなく、そのことは、「移行」のワンステップとして次の生活をみすえてやっぱり、考えてほしいと思います。セミナーをやり続けていて、それぞれ(事業を)やっていると「この先どないなるんや」と不安になってきます。みんなの話を聞いて、方向性として、「思っていることは同じやねん」とお互い思っていると思います。これからも、「これを知らんと(西宮で事業)でけへんで」というようなセミナーをしていきたいと思っています。

北野誠一氏
 玉木氏が先ほどはなされたケアハウス、グループホームの話、定員50人入所施設を、30人のケアハウスに移行するというのは、大きさ!?なのかと、僕たちは思ってしまいます。(新制度で)「法人の敷地内でグループホームできますが、2年以降は出て行ってね」で地域に本当に出れる仕組みでないと懸念しています。

冨田昌吾氏
 国は事務的なことはほとんど決まっていない状態です。利用者負担だけで、それも、社会福祉法人減免は都道府県単位でできているところがあるぐらいの事務スピードで出来るんかな!?と思います。今後みんなで、どう考えていくか!?

 1ヵ所10人で3ヶ所30人かかえて経営単位ユニット大きくならないと運営できないような単価です。われわれは、大きなものを目指していたのではないはず、しかし、経営をかんがえると大きさをも求めざるを得ないのか!?最後に、宣伝になるようですが、「ぼちぼちはうす」。(資料参照)新制度に何ものっからず、いままでの積み上げは何だったのかと思っています。

End


18時〜のセミナーに50分遅れで会場に到着し、ひたすらメモッタノートの清書です。テープおこしではないので、一語ももらさずとはいかないけれど、状況がよみがえるように、自分の考えや、理解、要点のみとしないで、セミナーに来たかったけど、現場で支援している人に伝えられるように、テープおこしに近いMEMOにしたつもりです。ニュアンスの間違いや、取り違え、言葉の足らないところはごめんなさい。極力そのようなことがないようにしたつもりです。
次回もセミナーで皆さんのお話をききたいです。

久保雅子



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