地域生活を考えよーかい

地域生活を考えよーかい

レポート
『移動送迎支援活動フォーラム・
 地域福祉交通の新しい時代を築く』

せんだって行われました移動送迎支援活動フォーラムの報告です。
報告者は久保雅子さんです。

掲載日:2006年3月23日(木)
作成:地域生活を考えよーかい
久保 雅子

移動送迎支援活動フォーラム
地域福祉交通の新しい時代を築く

日時: 2006年3月21日(祝)10:00〜16:30
会場: 尼崎市立労働福祉会館2F大ホール
主催: 阪神福祉交通ネットワーク関西STS連絡会
NPO法人移動送迎支援活動情報センター
後援: 兵庫県、尼崎市、兵庫県社会福祉協議会、
尼崎市社会福祉協議会

10:00〜10:10 挨拶 松岡孝司氏/アップストリーム障がい者支援センター

 良い天気なんで、外にあそびにいきたいなあ〜と、本日長時間にわたりフォーラムに集まっていただきありがとうございます。心強く感じています。尼崎で事業をやっています。毎月一回4年近く、関西STS会議に参加し、阪神ネットワークNPO法人移動送迎活動情報センターと、このフォーラムを主催しました。
この活動は大きな赤字を生んでしまいますが、自己実現と自由な移動をして社会参加したいという熱意に勇気づけられています。4月15日阪神福祉ネットワーク3Fで阪神福祉交通ネットワーク準備会を行います。これから、様々な義務・責任が出来て、それを果たすとともに、移動制約を持っている方とどんな社会をつくっていきたいか考えて生きたいと思っています。

10:10〜10:20 兵庫県内と阪神地区の現状報告 / 麻埜氏 / 兵庫県長寿社会課

 運営協議会のコーディネートする働きをさせてもらっています。去年9月から担当させていただき、十分関われたかと反省しつつご説明させていただきます。基本的には、市町域またがって生活をしている実態、効率的を踏まえ、(P13参照) 県民局単位で設置する方向で調整。
各市町における移動制約者に係る十分な移送サービスが確保できないと認めることが大前提となります。

  1. 移送の対象となる移動制約者の数    26万5千人
  2. 福祉車両によるタクシー輸送の状況   1300人/1台
  3. ボランティア輸送の状況        延べ7700人(実績)/年間
    年間利用回数             7700人÷26万5千人=0.3回
                          7700人÷365日=211人/日
    1日平均利用人数  211/日÷183車両(6地区合計63団体183車両)=1.2人

運転者の条件 資料P9、P10参照
安全が基本。運転者は2種免許を有すること。
ボランティア輸送の実態を鑑み○3点挙げています。6地区426名運転者のうち13.4%(7人に1人 2種免許を有する)

運送の対価 営利のいたらない範囲タクシー運転のおおむね1/2以下
1キロ50円とか、初乗り330円と設定されているところ(おおむね1/2以下)
郡部 社協が一回1000円(市内500円・市外1000円)かなり近い距離では
1/2以下にはならないが、平均利用距離8キロ/1人ならおおむね1/2以下
これは、かなり柔軟であると思います。

P12は事務手続きの流れです。どうすればいいのかというご相談あります。
P13 17年度 63法人協議済み3823名
(1法人60人程度・最大455人〜最小2人・12人満たない11法人)
(1法人8.3人  1法人3.5台)
議論3点・・・@おおむね1/2以下になっているか?
       Aドライバー普通一種免許者の講習受講状況
       B対象者の把握
消極的な言い方をすれば法的な裏づけを与えるため協議会がある。
各市町において今後どこまでこのサービスが必要か判断することが課題。
利便性・安全確保・どこまで必要か18年度議論の必要性を感じています。

10:20〜10:30  今村氏 / 尼崎市後年福祉課
いつも、市政にご協力いただきまして、ありがとうございます。
阪神地区の輸送のながれ・・阪神間17年6月1日福祉有償輸送が動き出しました。広範囲の輸送から、7市1町で区域を決め7月1日に説明会が行われました。17年11月25日から阪神地区設置。1回目は会長の選任・事務処理要綱・
認定基準確認など行い、全国的には遅れをとっていました。2回目から個別の協議12月20日尼崎で説明会を開き、今年度10法人申請予定、結果17法人協議済み(付帯用件付き1法人含む)運転者の未講習・区域のとらえかたのあいまい)尼崎市のホームページ議事録にポイントを記録しています。
尼崎市→各課の仕事→課名→健康福祉局・高齢福祉→議事録・福祉車両サービス要件 参考にしてください。

10:30〜12:00 記念講演:「福祉有償」移動サービスの新しいスキーム
       武本英之氏/東京交通新聞
今日はざっくりとした話をと思っています。おもしろくなかったら寝てくれてもいいですが、おもしろければぷりぱ支局長に言って新聞を取ってくださいね。

T「地域福祉交通」という言葉の意味。
1地域・・自治体 2福祉・・厚生労働省 3交通・・国土交通省  3つの要素がある。ハイブリッドの複合語になっているよね。複合であるがゆえに「ごった煮」になっている事がややこしくしている。根っこにはそれぞれの縦割りの弊害があり、話を複雑にしている。「地域福祉交通」の優れものだなと思うのは「地域」が一番にきている事。地域単位で進んでいくよというようにみている。

U今回の法改正でなにがもたらすのか?
道路運送法改正で目的は青ナンバーの車両白ナンバーの車両その青と白のグレイゾーンを運輸省は黙認してきたが、道路運送法80条を使って例外規定を登録制にしていく。

評価できる3点は

  1. 例外規定を今回道路運送法79条登録制で正面から受け止め事業の根拠を与えたこと
  2. 地域の運営協議会の地域単位の地方主権
  3. タクシー業界にケア輸送サービスの必要性を示す

課題は

  1. 「安全・安心を担保する」法律制定「責任」付加する。運行管理・報告事項きっちりやってもらいます。ハードルをクリアする障壁にならないか?
  2. 運営協議会を通さないと福祉有償輸送できない。法人格があればいいが、全国的にたすけあいレベルの団体が白タク扱いになることで、移動困難者のニードと狭間になり、白タクもぐりにならないか?
  3. 「福祉」「交通」「厚生労働省」「国土交通省」登録制で網をかけ白ナンバー改正施設の車両はやっていることは同じ。未解決ゾーンはどうするの?

したがって・・・・
大きくいうと対処両方のレベルでなく大きな視点で見ると2幕3幕ありそうです。

善意の助け合いのサービスをなんで規制するの?(リアクション)
善意の助け合いがひいていく?

群馬県19団体6月11月提案。
「1時間649円下回った場合、無償扱いしてほしい。」
最低労働賃金時給600円約50円の差額。認められなかったが、謝礼なのか?労働の対価なのか?無償扱いか?謝礼が1時間2〜300円の世界。「規制されてまでやりたくないという意識」にならないか?
神奈川方式・・有償輸送神奈川直営で社協に委託。運営協議会がいらない。ぬけみち?国会論争?どうやら、運営協議会なければいけないという流れになりそうです。

道路交通法21条 貸し切りバスの許可・乗り合いタクシーの申請2ステップ
4条申請すると一発OK1ステップ上限運賃届出だけでいい。

V地域をつくりをつくりませんか?

  1. 暮らしのフィルターをとってA日常生活と地域福祉交通という補助線を引くと別なものになる。コンセプトの転換を行う。「地域生活交通」という言葉がより地域の生活に広がりを持ったことになるように思います。
STSの言葉((スペシャル・トランスポート・サービス)あくまで個別輸送
特別な方、特別な人を・・これ、本当に特別な人?ノーマライゼーションにSスペシャルを一般化しなけないんじゃない?事前に調査もせず隣の(市・町)のコピーが多い。なぜ?こけるのか?その地域の唯一のものでないとダメ。

 「新しい公共」という言葉。「公共交通機関」その「新しい公共」とは自治体、国がタッチできない(お金がない)供給側が社会的ニードを踏まえ新しい公共の担い手が集まって何が出来るか?一番肝心なことは利用者本位でないと間違いなく失敗する。供給者側の都合ではないか?タクシー業者は「福祉は儲からないからやらない」一方NPOは「私たちはミッシヨンでやっているんだ」利用者は「崇高なミッションや哲学より自分が病院にいけたらいい。」利用者に向き合っていない。地域住民と向き合うことを根っこに制度設計を考えるべきではないか?利用者の本音がない。
 調査は2通りあり、1つは市場調査人の行動を数字にする。でも、それは過去の数字です。新しいことをするのに未来予測とはなりません。だから、失敗するんです。人は、移ろいやすく、わがままです。2つめは、新しいものを作るときの尺度。人の不満、愚痴、その中に本音が隠れている。誰が何に対して抑えると、本音に近づける。既製品のタクシーに人が合わせていた。イージーメードからオーダーメードに変わっている

 最後に、「公」とはなんでしょう?国ですか?厚生労働省ですか?タクシー業者ですか?NPOですか?「公」とは市民、利用者が(供給側のしがらみから離れ、)「公」であると思います。

13:00〜13:30 全国移動サービスの取り組み状況/杉本依子氏/移動サービス市民活動全国ネットワーク

13:30〜14:00 基調提案:新しい地域交通のあり方/秋山哲男氏/東都大学東京大学院・都市科学研究科教授

『サンフランシスコ調査研究報告』1団体1冊進呈
 本日は、80団体120名参加していただいています。

 「新しい」というのははなはだ疑問です。白タク合法化へ1977年イギリスはすでに行っていた。約25年日本は遅れている。
1982年ロンドン郊外でボランティアの集い(4日間)行きました。NPO力をつけ2000年100人雇用のNPOとなっていて、入札がせって倒産したという25年経つと完全企業体となっていました。イギリス・サンフランシスコと日本の方向は?
([都市計画・交通計画のユニバーサルデザイン]参照)

  1. 運営協議会の総括1
  2. 運営協議会の総括2
  3. 道路交通法の新たな仕組み
    運営協議会→登録→自家用車による有償運送可能
  4. 新たな仕組み
    登録更新:新規2年 有料団体3年
    地方自治体が重要になる  実態把握とフォローアップ
  5. 福祉輸送普及促進モデル事業
  6. 2006年までに総括をする
  7. 今やるべきこと
  8. サンフランシスコ・パラトランジット(STS?移送サービス計画)組織図
  9. ランプタクシー
  10. 明日何をすべきか?
  11. DRTの運行の仕組み

14:10〜16:10 パネルディスカッション

コーディネーター: 秋山哲男氏 / 首都大学東京大学院教授
パネリスト: 森津秀夫氏 / 流通科学大学教授
兼元秀和氏 / 全国介護移送協会
三星昭宏氏 / 近畿大学教授
武本英之氏 / 東京交通新聞
杉本依子氏 / 全国移動ネット
松岡孝司氏 / 阪神福祉交通ネットワーク


      

将来に向けてのキーワード
兼元 「キャビック」CabとPublicの造語 公共性の高いタクシーを目指して
タクシーは個別輸送。STS個別輸送の最たるもの。将来にわたって、複合的にしノーマライゼーション移動制約者が自由に移動できるようにと思っています。
松岡 ヒューマンライツとソーシャルジャスティス
欧米のセミナーにこの2つの言葉がでてきます。人権と社会正義 公平性 ということ。移動に困難を抱えていて、健常者のように複数の交通を確保する社会を求めたい。
森津 責任
私は交通の立場で「福祉交通」みています。「移動制約者」「移動困難者」
どこまでが福祉交通?交通の分野でない?
@ 地域という足を確保する責任
A 事業者安全を確保する責任
B 住民は行政・事業者の要求でなく、維持していく住民責任
杉本 NPOの役割
秋山先生のサンフランシスコに同行して1週間交通を見て歩きました。あまりに日本が遅れていると、NPOだなんだといっているのではなく、私たちが作っていくしかないんだ。と思います。
現場の声をしっかり伝えていく。今やっている人たちがやれなくなることがあってはいけないから、それを支援していきたい。
武本 ホンネシラベ
明日の人の気持ちを言葉で知る。(気持ち調査)が物事をスタートさせるのではないか?人がオーダーメードのシステムをつくる。地域がオンリーワンのシステムを作る。一番大事なのは両者の本音。
三星 失われた時をとりもどす
許可から登録で新展開。選択性のある地域交通システム。地域福祉計画。「総合」移動円滑化基本構想。ユニバーサル交通とまちづくり。

まとめ
考える運営協議会・制度を人に合わせる地域に合わせる。配送センター
自治体ベースに皆さんの総合交通をみんなで作りあげましょう。

16:10〜16:20  活動提案  全国移動ネット、地域ネット団体連合会
16:00〜16:30  挨拶    上田隆志氏 / 関西STS連絡会


所感

 11枚のメモをもとに清書しましたが、10時から4時半まで大量で、どこまで書いたらいいのかわからなくなりました。「許可」から「登録」制度になった福祉有償輸送。「措置」から「契約」へと言う流れの支援費制度を思い出します。

 あんなにまるで枕詞のように言われていた支援費制度の「措置」から「契約」へ。なのに、障害者自立支援法と法律が出来、3年後に介護保険と統合する?三障害が同法律となり、次に高齢者と統合する。「措置」という言葉は死後になりつつあるように感じます。そこには、「お上」の発想から契約という「対等」がいわれました。と同時に国の「責任」が薄れたように感じます。

 支援費制度が始まって3年ほどで、この感覚です。どんどん法律・制度・施策が変わっていきます。租税から保険制度へ移行していく。今まで出来てきたことが出来なくなるようなことがあってはならないと思うのですが、では、どうしたらいいのでしょう?あたらしいこと(創造)は、市場調査リサーチに2通りあるという話は印象に残りました。地域で生活しやすいシステムを作っていく。タクシーにもバスにも乗車しにくい座位保持装置つき車椅子。養護学校卒業先の出先がなく、小規模作業所を作っても、制度施策の変化で運営の見通しが
もてない時代。今、小規模作業所に通所している人も、担い手も、卒業を控えている人も・・・。お金がないなら医療も受けられない時代。福祉サービスも一割負担が払えないから、控える。安心してすみ続けられる地域の資源は物も人もまだ十分ではないのに・・・。「福祉」とは何でしょうか?

 重度心身障害者といわれる人は教育と医療と福祉が重ならないと「生きる」を保障できない。と学んできました。「移動権」「生存権」どこが誰が保障?居宅生活支援の事業所や今まで関わってきてもらったヘルパーさんと結んで築いてきた関係は「安心してこのまちに暮す」まさに『絆』です。

久保 雅子



この文書に対する、感想、意見、各種問い合わせ

【地域生活を考えよーかい】
トップページへ戻る