地域生活を考えよーかい

地域生活を考えよーかい

重度障害者等包括支援の意味(あるいは意義)を考える
〜重度心身障害児・者といわれる方々への支援の現状から〜

細重度障害者等包括支援
重度などといわれる方々への自由度の高いシステムであるべきだと思うのですが…の考察文です 。

作成日:2006年7月28日(金)
掲載日:2006年8月4日(金)
分責:地域生活を考えよーかい
李国本修慈

 ほとんど(いやいやまるっきり?)解らなくなってしまった(実際に2月あたりの思考状態から全く進んでいません/私)「重度障害者等包括支援(以下、重度包括と記します)」の意味(あるいは意義)なんですが、なんだか解らない中にも、現状での重度心身障害児・者といわれる方々の暮らし(生活)と、それを支える(あるいは支えようとしている、又は支えたいと思う)支援者(事業者)には、今後の地域生活支援を進める上で、ほんわかとした、なんだかホントによく解ってはいないのですが、それ(重度包括)によって、なんらかの希望(期待?)があったように記憶しています。
 希望の中身というのは、グランドデザイン案が出されて以降、ぱっくりと分断化されていくような「生活の中身」(「衣食住」に関わる支援と「活動(移動等)」に対する支援)が示し出されて行く中で、「重度」などといわれる方々への支援には、その中身を手厚く、もちろん濃いモノとして普遍化していくといったコトが目指されたモノなのではないのかしら?と、少なくとも私は感じていました。
 が、何時頃(?)でしたか、その報酬単価額が1単位=4時間=7000円という案が発表され、ほんとにアッと驚くタメゴロー!と叫んだ記憶が、新しい…どころではなくって、諦めに近い思い出になってしまいつつあるのですが…。
しかし、私たち(兵庫県伊丹市における地域生活支援活動/事業)の相対する方々にとっては、その(重度包括)在り方によって(あるいは「こそ」)、自らの生活が輝きを増すコト(と言うか、少なくともこれまでの維持)が、できるのではないかと感じています(正確には「いました」)。
 私の思いでは、「重度包括」こそが、分断されている制度の枠に入りきらない(又は入れない)「人」達への支援には欠かせないツールのひとつであると感じている(いゃ、「いた」ですね)のですが、そういったケースを考えながら、在るべきカタチの「重度包括」を考えてみたい(ほとんど今頃…といった感じなんですが…)と思います。
 まず、6.29資料(2006年2月26日開催の障害保健福祉関係主管課長会議資料)にも示されている障害者自立支援法第5条第9項の定義である「常時介護を要し」かつ「それが必要な程度が著しく高いもの」へのサービスであるということについてですが、その目的がほんとに曖昧(と言うと、そもそも量より質であるとか双方を…等が目的ではないと言われそうですが…)で、更にその内容は、多く(はないか?)の指摘がある通り、国庫負担基準額による「積み上げ型」での総額よりも「重度包括」の額が低額というのも未だに納得(と言うか、理解)のいかないところで、かつ、時間(常時)や回数(必要の程度)と同様に、その内容(支援度)にも着目した基準額設定は必要ではないかと考えます(と、言うと、そもそも普遍化させる為の財源管理?、あるいは上限設定と言われるのかも知れませんが…)。
 はてさて、そんな「重度包括」ではありますが、その在り方の一部(運営基準における詳細な利用計画や定期的なサービス担当者会議など)は、未だ整っていないマネジメント体制である地域にとっては、意義のあるモノではないかとも思います(ここについても、逆に、要らぬマネジメント論が入ってきてはマイナスだということもあるかとは思います)。
 しかし、そういったプラス点を見繕うにも、やっぱり疑問の報酬単価であると言わざるを得ないのですが、こういったコトも既に多くの方が疑問視している点であるかと思います。
 もっと言うと、6.26資料からも、判定基準等を詳細に示しながら、何故に安売りパッケージをより重度といわれる方々へ進める(?、進まない…だろうと思う…の中で調整していくのか?)のか、更によく解らなくなっています(これを書いてる最中にも…、合理的な処はいったい何処なんでしょうか?)。

 私どもが支援させていただく方々(いずれも重度心身障害者=U類型)は、典型的な枠型(通所やデイ等の)にはまり切らない(行けない、あるいは行かない)方で、共通する点も、重度心身障害等といわれる方々の中でも支援度が高く、かつ、活動意欲のある人であるということです。
 こういった方々への支援提供のツールとして「重度包括」はあった(在るべき)ものだと考えていたのですが…。
 これらの方に更に共通するのは「行き場所が無い」=「選べない」(医療的ケア等の行為が必要であることや、身体的リスクが高い等という理由)ということで、そういった処こそを規制緩和といわれる手法(公共スペースや空き店舗等の利用等)等によってなんとかしていこうという理念がなかったのでしょうか?(と言うか、でしょうね、かしら?)。
 更に、そういった方のニーズを引き受ける事業者の多くは磐石な体制ではないということ(小規模NPO等が担っている)。
 そう考えると、その在り方(目指す方向=支援する目的がそうであれば)というか存在については一定の理解はできるのですが、その在り方を実現するコストに関しては、全くもって不足しているとしか言い様がありません。
 余談的になるのですが、この「重度包括」の対象者(6.26資料による、や、特に私どもが支援させていただいている方々等)を見ると、決して「オンロック型高齢者介護」等とは、そもそも発想が違う(筈)であろうし、違うべきであると思うのですが、如何なものでしょうか?。
 未だにマネジメント機能が整わない地域では、介護給付費支給決定量もまちまちであり、こういったカタチによる基準値(国庫負担基準額)を設けるのもひとつの方法なのかも知れませんが、その額が、積み上げ型を下回る様では本末転倒であると思いますし、これだけ対象者を狭めている中で、何よりマネジメント機能も含んだサービス提供単価が、他の介護給付費単価を下回る様では、どうにもならないと言わざるを得ません。

 更に、障害児童といわれる方々についても、多くの問題を含んでいる「重度包括」(のみならず障害者自立支援法そのものだとも思うのですが)であると思います。

 障害児といわれる方々に関しては、使用する介護給付費が基準額を超える方は少ないのですが、多くの重症心身障害児といわれる方々(更には人工呼吸器利用者など)は、現在の移動支援である外出介護によって活動している(それでないとできない/10月以降の移動支援事業、或いは、タイムケア事業=日中一時支援事業等では到底無理…であると思います)訳で、その支援水準を保つには、何度も(でも)繰り返しますが、この報酬単価では、どないにもならないと言わざるを得ないと思います。

 そもそも、重度包括は、より重度といわれる方々への支援(重度の障害者に対するサービス提供を)を普遍化させる為ではなかったのでしょうか?。
 とすると、やっぱり解せない「重度包括1単位4時間7000円」の報酬額です。

 少し、事業者視点として、10月以降の主に居宅介護等における報酬額を考えてみた際に、「重度包括」は、より重度といわれる方への包括的な支援という点で、これまでの衣食住に関する支援である「居宅介護(主に身体介護)」と、重度であろうが思いの活動に関する支援である(あった)「外出介護」が、一体化(包括とはそういう意味?)されたモノであると考えるのですが、それ(別表:10月以降の居宅介護等の報酬額(単位)表参照)を見ると、例えば、上記の様な重度障害児・者といわれる方々の活動支援を4時間に例えて比較すると、程度区分6の方で、外出加算(3時間超え)を加えた額=938単位(程度区分6の4時間:688単位+外出加算3時間超:250単位)の方が、重度包括の1単位(4時間)を大きく上回るということがどうしても理解できません。
 重度訪問介護の一般(その他)単価に外出加算(3時間超え)を加えた額=890単位(その他の4時間:640単位+外出加算3時間超:250単位)をも下回るといったことになります。
 このことは、仮にそのような単価設定でいくとするならば、重度包括事業者が、他事行者に、上記サービスの提供を依頼(委託)した際にはマイナス収支になると思うのですが、如何なもんなんでしょうか?。
 重度包括1単位(4時間)、或いは2単位(8時間)で考えた際に、それぞれの重度包括単位単価を下回るのは、外出加算のない重度訪問(程度区分6の方で4時間688単位、8時間で1333単位、その他の方で4時間640単位、8時間1240単位)のみとなるようです(その他の方に該当する方が重度包括対象者とはならないのでしょうが…)。
 更には、現状の外出介護や身体介護の単価と比較する(4時間990単位、8時間1646単位)と言葉も出ないといったところだと思います。
 「障害者自立支援法」のポイントなどの際に語られる「重度の障害者を対象としたサービスを創設」とは、こういったコトを言うのでしょうか?。
 まさか、最重度等といわれている方々は、活動支援などとは無縁であるなどという認識があるのでしょうか?。
実際に私どもが支援させていただいている多くの方は、移動を含めた活動こそを望んでおり、衣食住の支援のみが必要ということではないのですが…。
この(重度包括)システムが、「重度の障害者を対象としたサービスを創設」ということであるとするなら、まず、大きな認識の一歩目が間違っているのではないかと思えてなりません。

 しかし、一体誰に言うてるのやろか?といった感じの、なんとも取りとめかつまとまりの無い文章になりましたが、結局どうすればいいのか?を具体的に言うと、上記(のみではありません)のような方々がいらっしゃり、その方の在るべき支援を考える際に、このシステム(重度包括)を活かしていくとすれば、まずは、清水さん(のまネット西宮)の言う「1円でも高く(い)」(その他の介護給付額よりも)単価設定は必須でしょうし、私は最低ラインとして、上記の重度訪問介護の程度6の方(外出加算額を含む)への額を上回る線=950単位以上(ほんとは1000単位以上)は必要であると思います。
 結局、単価についてのみの訳のわからない内容になりましたが、こうでもないと、やっぱり進まない…どころか現状維持もままならないほどの地域力でもあるのです。
 何より、支える力を維持するにも必要なシステムはもう少ししっかりとあるべきだと思いました。
 なんのこっちゃでしたが、以上です。

本文終了


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