かなりの混乱(法の変化や財源・次年度概算要求)の中、せんだって、正式に示された伊丹市障害福祉計画(素案)平成18年~19年度(第1期)について確認してみたい。
まず、見開き1枚目に「障害福祉計画の目標達成に向けて」というイメージが示されている。
「障害福祉計画の目標達成に向けて」ということで、「ともに生きる共生福祉社会の実現」を目標としている。
柱は「相談支援」、「地域移行」、「就労支援」の三本立て。
市の相談機関として、健康福祉事務所、相談支援事業所(身体拠点)、地域療育等支援事業がそれぞれ1箇所、障害者相談員が30人、民生児童委員が253人、介護支援センターが9箇所、その他に多様な相談窓口が現在あるとされ、拡充結果として「地域生活支援センター(三障害拠点)=いきいきプラザ」、「相談支援(身体)=アイ愛センター」、「相談支援(知的)=ウィズゆう」、「相談支援(精神)=どりー夢」としている。整備目標は5箇所。
地域移行については、「多様な住まいの場の整備」ということで、整備目標が「ケアホーム等21箇所・92人」としている。
この整備計画の中で核を担うのが、ゆうゆう横の空き地に出来た「地域生活総合支援施設」で、いわゆる中間施設の役割として「自立体験型ケアホーム」なども併せ、地域移行に取り組むとされている。移行先は「グループホーム(以下GHと記す)」、「ケアホーム(以下CHと記す)」、「公営住宅・アパート」など。
就労支援では、目標(一般就労)を34人としており、新法による日中活動拠点から、企業・一般就労へと支援していくとしている。
次ページでは、計画の第1期(平成18年~20年まで)と第2期(平成21年~23年まで)の数値目標等が示されている。
現状の数値が以下。
日中活動の場として、法内施設が、1.さつき:50人、2.くすのき:55人、3.ワークハウス:20人、4.ゆうゆう:60人、5.身障デイ:30人、小規模作業所が、1.身体:6箇所、2.知的9箇所、3.精神4箇所の計19箇所、143人が利用しているということ(作業所と身障デイの相互利用者もおり、合計人数は延べ人数)。
居住の施設として、市外入所施設に133人(身体障害者18施設37人、知的障害者41施設96人)、生活ホーム2箇所に8人、通勤寮(あけぼの寮)に14人となっている。
そして次年度(平成19年度)からの第1期修了(平成20年度末)までに、「ゆうゆう」が、「生活介護10人」、「自立訓練20人」、「就労移行10人」の40人規模の施設に、「さつき」が「生活介護40人」の施設となる(それぞれ暫定定員)としている。
「ワークハウス」は、平成19年4月に10人の定員増を行い、「就労継続20人」、「就労移行10人」という形態になるとしている。「くすのき」は現状での経過ということかは記載なく不明。
小規模作業所については、平成20年度末までに「地域活動支援センター」への移行を目指すとしている。
そして、核である「総合支援施設」は、名称を「ライフゆう」として、「生活介護20人」、「自立訓練20人」、「施設入所支援40人」、「フォーゆう」として「生活介護20人」、「短期入所」として「5人分」の許容を持つとしている。オープンは今春(平成19年)で、建物はほぼ出来上がっている。
施設以外の居住計画として、「CH等(知的)自立体験型2箇所8人」、「CH等(知的)1箇所4人」が2箇所、「CH(精神)1箇所6人」と、現行の「生活ホーム」を「CH(知的)2箇所8人」に変更するとしている。
更に第2期修了(平成23年度)までに、「日中活動の場」の対象者として、「養護学校卒業生が5年間(平成9年~23年)で75人」、「市外の入所施設から39人」、「退院可能な精神障害者14人」についての「場所の確保」を行うとしている。
また、居住に関する支援では「平成23年度末までに、知的障害者のCH等を18箇所78人分、精神障害者のCH等を3箇所14人分を整備するとしている。
その結果(計画目標として)、平成23年度末には、日中活動の場として、「一般就労24人」、市内の通所施設として「さつき45人」、「くすのき50人(自立訓練20人、就労継続20人、就労移行10人)」、「ワークハウス30人」、「ゆうゆう60人」、「フォーゆう20人」、「障害者デイ35人」の計240人としている。
地域活動支援センターは「身体8箇所」、「知的8箇所」、「精神3箇所」の計17箇所182人、現行の小規模作業所のうち、「就労継続」への移行が2箇所40人としている。
「居住の場」としては、「市外の入所施設」に94人(身体障害者37人、知的障害者57人)、「ライフゆう」に40人、市内のCH等21箇所に92人となっている。
続いて本編に入って、第1章では「計画の考え方」が記され、「計画の意義」や「基本的理念」が記されている。
多くは国の示す文言や一般的な理念文章が記載されているといった印象。
続いて、「期間」「位置づけ」「法の概要」などが記されている。
第2章に、主要重点施策が記されている。
少し残念な点として、「地域力」に視点を当てた記載が目立ち、「個別性」あるいは「専門性(親和性と捉えているが)」を要する支援力の向上(いわゆる量のみではなく質としての部分)も、「地域力」と平行(同様)に記し、目指すべきではないかと感じる。
相談支援システムの体系整備ということで、前述の支援体制の体系図が示されている(7ページ)。
次年度(平成19年度)には、現状の「社協アイ愛センター」の生活支援コーナーと「社福いたみ杉の子」の相談支援事業に加え、「地域生活支援センター」が「いきいきプラザ(社協)」に開設され、「障害者相談支援事業」も「特活ICCC」により実施されるとしている。
発達障害など、児童の相談に関しては、「地域生活支援センター」が、平成22年に開設される「発達支援センター」や、平成19年度からスタートする特別支援教育と連携し、「療育サービスと生活支援サービス」を総合的に調整するとされている。
続いて(2)地域自立支援協議会についての記載が(9ページ~)ある。<ネットワークの構築>(10ページ)の図を見ると理想的にも感じるが、如何に実態の伴うものとして機能するのかは疑問的に感じる。
更に11ページの上段には<伊丹市社会福祉協議会との連携強化>とあるのだが、その在り方の評価も必要のように思うのだが…。
続いて「相談支援事業」についての記載が続き、サービス利用計画等作成の「目標値」も設定されている。
サービス利用計画作成の対象は「重度障害者等包括支援」の対象者の要件に該当するものとあり、「利用計画等作成」の平成19年度目標値は46人とされているが、何処がするのであろうか?。
13ページからは、2.地域生活への以降システムの構築としての文書及び図が示されている。14ページあたりには理想的なイメージ図が示されている。
そして、15ページには<地域移行に向けた取り組み>として、平成23年度までに50人を施設から地域へとしている。その内訳として、「地域生活総合支援施設」から40人、通勤寮から10名としている。
入院中の精神障害者の地域生活への移行については17ページから。23年度までに14人の移行目標、記載の中には「短期入所」などの文言もある。
19ページからは「障害者就労支援の推進」ということで「地域ネットワーク」図や記述が続く。
とんで、29ページからは、「第1期実施計画」(平成18年度~19年度)としての記述が続く。~「発達障害」「高次脳機能障害」や保健・医療施策である「難病」などの支援が今後の検討課題になります。~とある。
中で注視すべきは、伊丹市独自で(ということであると理解している)、「ケアホーム等の設置にあたり、建物の改修・修繕費、協同で使用する備品購入費、家賃、その他新規開設に必要な経費、世話人等にかかる経費を補助します」や、「地域での自立生活を助長することを目的とするケアホーム等へ、運営にかかる経費を補助します」とある(30ページ)。
33ページからは、第V章として、「計画における数値目標」が、体系図とともに記されている。
短期入所に関しては、平成19年4月に「地域生活総合支援施設」に5床新設される。
そして43ページからは、第W章として「地域生活支援事業」についての記載が続く。
最後に、第X章、第2次伊丹市障害者計画の実施時期として、施策の基本的方向性(分野別施策)が記されている。
平成18年1月に発表された「第2次伊丹市障害者計画」とともに、新たな発想を持った計画が望まれるところであり、その一端を多くの市民が担うようにと期待したい。