地域生活を考えよーかい

地域生活を考えよーかい

第1回アメニティネットワークフォーラム報告

せんだって開催されました第1回アメニティネットワークフォーラムの事業所内報告です。
誤認・誤記など大いにあると思いますが、ご了承ください。

作成日:2007年2月5日(月)
掲載日:2007年2月5日(月)
分責:地域生活を考えよーかい
李国本修慈

 

 詳細な報告はスタッフみなさんにお願いするとして、フォーラムの私的感想と、今後のしぇあーど及び考えよーかいに活かす手立てを考えていきたいと思います。
 私の参加は、第2日目からで、コースはA「ポスト自立支援法を展望する」コース。
 8:30からのセッションは、コーディネーターが曽根さん(東松山市のお馴染みの方)で、パネリストが、清水明彦さん(のまネット西宮/青葉園)、川原雄一さん(湘南ゆうき村施設長)、河上一郎さん(静岡県障害者支援室長)、戸枝陽基さん(ふわり・むそう)といった方々。
 テーマは「障害者自立支援法を生かして、地域生活支援を進めるための技(わざ)」ということで、それぞれの地域でのカタチ・実践が述べられました。
 ここでも話題に挙がるのが「地域自立支援協議会」。
 お話しは聞けなかったのですが、前夜(2/2)のセッション「障害者自立支援協議会の運営について」でも、自立支援法の中核的役割を果たすのが、「それ」ということでしたが、「果たしてこれ以上作って(協議会を)やっていけるのか?」、あるいは、「既存の協議会と同様のメンバーが構成員となる」などの意見があったようです。
 また、パネリストからも、カタチのみになりかねない危惧と、作り上げるには時間を要すといった発言がありました。
 只、それをひとつの技とするのなら、「作るものではなく、湧いてくるものである(実際には関西弁でしが)」という清水さんの言葉が、最もわかりやすいフレーズであったように思われました。
 伊丹市(障害者計画素案の中にあるような)でも、形ありきの構成であると、あまり意味がなく(機能すると思えない)、「湧いてくる(あるいは沸いてくる)」というカタチを如何に作れるのか?ということ、前夜の資料などを見ていると、~「地域生活支援を支えることができる相談支援を展開するに必要なネットワークは、地域によって違う」ところから始める~というのが理解しやすいのかな?と感じました。
 西宮市等のこれまでの過程を経た「それ」は具体的イメージができるのですが、これまでになかなか機能しなかった伊丹市などにとっては、「如何に沸き起こらせるか?」ということが必要なんでしょうが、只、それには、もう少し、これまでの手法ではなかなか活かせなかった(と思う/多くの地域でも)協議会の在り方や、実践現場から湧き上がるような「課題・問題」等によるカタチ作りだとか、そもそもの官民揃っての協議会作りの在り方も、もっと議論しなくてはいけないような気もします。難しいでしょうが…。
 と、スタッフ自らの担当する利用者みなさんへの支援内容評価を行い、積極的なサービス調整会議を自らが先導して行っていく事が必要であると思われました。
 更に、テーマの「技(わざ)」という点では、戸枝さんの言う「これだけ揃った状況(法・制度が)で、何故出来ない!?」といった発言が印象的であり、草の根的な活動から、現在の多機能を備えた「地域生活支援事業」を展開してきた実践が紹介されました。
 また、「地域生活支援事業所ガイドブック」なるもの(未だ完成版ではない速報版だそうだ)も示され、~小規模からでも目指せる多機能・多角な経営戦略~が示されました。
 そして、清水さんは、「本人中心のまっとうなそれ(支援)こそが技」というようなこと(実際の発言とは違いますが)を言われました。
 重度心身障害といわれる方々にとっては、このフォーラム全体でも感じたことですが、なかなか「就労」だとか「自立」という言葉がうまく重ならないというか、話題にもなかなか挙がらずとといった感があったのですが、これも聞くことはできなかった初日のセッションの中で、宮田広善さんが、~同法に就労支援の強化が盛り込まれていることについて「就労の促進ばかり強調し過ぎると、重度障害者が排除される危険性がある」と述べたうえで、「仕事だけが生活ではない。障害者の遊びへの支援を盛り込むことも必要」と指摘した。~(京都新聞から引用)ということでした。
 私たち、重症心身障害といわれる方々への支援活動を行うものにとっては、、宮田さんの言う言葉や、更には、30年もの実践に基づいた実感として記された清水さんの言葉である「重症心身障害といわれるの方の『はたらき』」に共感できるところで、私たちは、そういった、彼らの「しごと」・「はたらき」を地域で示していくような活動、それを行うエネルギーを培っていかねばと思うところです。 
 今回の資料にも記された、第七回全国障害者生活支援研究セミナーでの清水さんのフレーズを記しておきます。
 『私たちの社会がその存在をきっちりと位置づけ、含み込む支援をすることにより、その力を得て、共々の新しいくらしを創造することが可能となる。
 重症心身障害の人の地域における「活動」は、地域社会の中に新たな価値観をもたらし、地域に連帯と活力を生む。このことは、重症心身障害の人の社会的な「はたらき」である』。
 只、私らも含めた草の根的活動(活動者)も、私のイメージでは、支援費制度が施行開始となって以降、それまでと比べ、増えていないような気がしてなりません。
 今後、「経営戦略による地域生活支援」と、「魂のこもった(まっとうな)地域生活支援」が、より増えていくことを期待したいものです。
 続いて、基調講演ということで、「福祉サービスの質について、アマチュアのケアとプロのケアの違いは…」というテーマで、末安民夫さん(慶應義塾大学・看護医療学部)が、お話しされました。
 内容は、援助論から「感情労働」というところまで、丁寧に事例を用いて語っていただき、しぇあーどスタッフの報告を待ちたいところです。
 そして、ここでは「プロ」という言葉、更には「対人支援」というか、先で述べた「地域での重症心身障害といわれる方々との共生」等という視点で、我々は、その在り方も更に深い議論がいるように思いました。
 間違っているのかも知れないのですが、私ら(「ら」はいらないか?)の活動は、「業」という部分と同等(というよりそれ以上)に、「思い(のようなモノ)」があると考えています。
更に、俗に言うプロフェッショナルだとかとしての報酬(があるとすれば)等は、なかなその「在り方(支援の中身)」には合致しない(ように思う)のが、福祉業界であるようで(たぶん)、危惧するところは、その技術(という言葉で良いか?、支援の中身?)による介護報酬が、「職種」・「ライセンス人(こんな言葉は無いか?)」によってのみ(「のみ」は言いすぎだとも思うが)決定されていくというシステムに傾倒していくような方向に行かないか?(既に向かっている?)というようなこと。
 障害程度区分による報酬額決定も、違った意味で危惧するのだが。
 前者の場合では、医療報酬に見られる看護師争奪戦みたいなのが起こってはこないだろうか?とか(後者でも、利用者争奪戦みたいなのが起こるのか?)、パーソナルアシスタンス等という、おそらくまっとう(であると思う)な本人支援(というか、当人主体)のカタチが薄らいでいくようにも感じられます。
前に記した運営・経営モデルのみでは無く、「ばおばぶ」(千葉県・柏市)のような活動体も増殖していく(させていく)ような、そんな視点も必要のように感じます。
 そして、続くセッションが、小宮英美さん(NHK解説委員)のコーディネートで、「あえてこだわってみる、「ダメ」な施設と「頑張っている」施設のこと」というテーマで行われました。
 ここでも、様々な立場から、資格であるとか、体制についての議論が行われ、もうひとつ議論が噛みあってない感もあったのですが、福岡寿さん(北信圏域障害者生活支援センター)の話術と比喩内容が非常に解りやすく(しかも楽しく)、しぇあーどスタッフみなさんも理解しやすい内容であったようです。
 続いてのシンポには参加できず、夜の部、「もう一度議論したい!障害者福祉分野での介護保険の活用について…」に参加してみました。
 ここでは、浅野史郎さん(慶應義塾大学・総合政策学部)がコーディネーターとして、「介護保険の活用」の訳(理由)を解りやすくお話しいただきました。
 また、このシンポの内容報告は、しぇあーどスタッフからのモノを期待したいのですが、どうも難しいようでした(何故か?)。
 更に、尾上さんの言う「パイ自体の不足」や「他国との障害者予算との比較」、更に、「施設整備中心の自治体が高コスト体質」というのも解りやすいと思うのですが、なかなか難しいようです。
 また、平野隆之さん(日本福祉大学社会福祉学部)の「地域ケア推進の目的と方法」も理解しやすい内容であり、当然のことながら、介護保険や医療・保健についても、その動向や地域での関係構築に、改めて、より力を注ぐべきだと感じられました。
 最終日は、厚生労働省事務次官・辻哲夫さんから「わが国の社会保障のあり方について」というテーマの講演があり、ここも、しぇあーどスタッフによる感想を待ちたいところです。
 しかし、柔らかい内容であったが「難しい」ということのようで、私たち事業所スタッフの勉強不足が露呈するといった感じです。
 続いて、ニキ・リンコさんと藤家寛子さんのトークセッションで、「当事者が語る豊かな世界」というテーマ。
 ここは本でのみ知るお二方の姿を初めて見る事ができ、個人的にとっても嬉しかったです。
 そして最後のシンポとして「政治の役割を問う!~障害者福祉のこと・発達障害のこと・福祉現場で働く人のことなど~」というテーマで、国会議員みなさんが野沢和弘さん(毎日新聞)の進行で進められた。
 このネットワークがすごいと思うひとつに、こういった熱意のある政治家みなさんとの接点を築き上げてきたこと、更に、高鳥修一さん(自民党/北信越ブロック)のお話しは、障害福祉の知識も備えたとっても好感の持てるものでした。
 このシンポの内容も、しぇあーどスタッフから報告・感想をいただきたいと思います。
 最後に、ネットワーク代表の田中正博さんから、ネットワークの実践と今後の活動内容(目標)が示され終幕となりました。
 個人的には、以前のような刺激はないのですが、様々な方が継続して活動してこられた姿勢はとても励みになりましたし、このようなネットワークが広がることを期待したいと思います。
 私らの活動は、改めて考えると、なかなかどこにも当てはまらない部分もあるのでしょうが、なんなりかの手法や、それ以上に思いを持って作り上げていければと痛切に感じました。
 しかし、素晴らしい豪華な講師陣で、そのお話し内容を全てのスタッフに聞いてほしいという思いもいつもながら感じたものです。
 そして、それを活かすには、もう少し(かなり…か?)スタッフ皆さんの勉強が必要のようです。
 とりあえず、モノを活かせるスタッフみなさんであってほしいと思います。

本文終了


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