地域生活を考えよーかい

地域生活を考えよーかい

平成20年度伊丹市福祉対策審議会 第1回障害者部会

せんだって行われた伊丹市福祉対策審議会第一回障害者部会の私的感想文書です 。

作成日:2008年6月20日(金)
掲載日:2008年7月5日(土)
分責:特定非営利活動法人地域生活を考えよーかい

 昨日、6月19日、午後2時から、伊丹市立総合教育センター2階研修室にて、標記の会議が行われました。
 正確な議事録は、後に伊丹市HPに掲載される(?)ということで、以下は、参加した際の私的感想ということで、誤認等もあるかと思いますが、参考にしてください。
 テーマは、「伊丹市障害福祉計画(第2期)」についてで、最初に「策定スケジュール」が示されました。
 障害者部会としては、今回の後に、11月末、1月末の2回、その間に、「ワーキング会議」が、7、8、10、11月の4回開催され、11月末に中間報告、12月中旬から1月中旬にかけて、パブリックコメントの実施の後、1月末に大綱、2月初旬に答申といった流れで行われるということでした。
 印象として、後にも述べることになるのでしょうが、議論の場が少ないように思うのと同時に、事務局(行政)の力量がかなり問われるのでは?(あるいは市民・当事者等の意見が反映されいくいのでは?)といった感が否めません。
 その間に、障害者自立支援協議会も6月末、1月と行われるのですが、こちらの内容も計画に反映されるのか、策定スケジュール表に記載がありました。
 続いて、事務局からの「伊丹市障害者福祉計画(第2期)」についての説明が資料3~4(必要な方はご連絡いただければご覧いただきます。障害福祉課からも入手できるかと思います?たぶん)に沿って行われました。
 資料1の冒頭は、第1期にもありました馴染み(?)の図で、第1期当初(平成18年)~現状(平成20年末)~第2期(平成21年)~平成23年までの実績及び目標値を「日中活動」及び「居住の場」に分けながら示されています。
 この図を見た限りでの疑問点などですが、参加委員からの指摘もあったように、「居住の場」における「市外の入所施設」の「身体障害者数」は、第一期当初の33人が、そのままスライドし、23年目標値も33人となっています(知的障害者については、同96人が、57人となっているのですが…)。
 このあたり、同様に委員からの質問があったのですが、地域移行というカタチが、知的障害者のグループホーム(あるいはケアホーム)に偏っているのではないか?との印象があります。
 これも委員からの指摘があった言葉ですが、「地域移行」とは、どこまでを含んだモノであるのか?(単にGH・CHのみならず、単身生活等も含まれているのかという意味)という疑問が沸くのですが、事務局からの説明では、国の制度に無い(身体障害といわれる方々のそれ=CH・GH)からといった内容でした。
 このあたり、私自身も感じるのですが、当市における地域移行(むしろ、移行のみではない、地域生活という表現語句も含むべきであると思うのですが)は、先に記した「サポートセンター(伊丹市の入所施設をそう呼びます…中間施設という位置付けで)」から、「GH・CH」へというイメージ(のみ)に囚われすぎているように感じます。
 この点についても、委員から、「CH・GH」も含めて、居宅介護の数値(支給量=資源量)がしっかりしていないことには地域移行(地域生活も同義とした上で)は実現しないのではないか?という発言がありました。
 同様な思いとして、例えば「親無き後」などといった状況での地域移行とは?などと考えた際、現状の生活維持こそが、地域移行(地域生活)であると考えるのですが、この図に限ると、例えば、伊丹市の重症心身障害といわれる方々が通う「身障デイ(生活介護事業)」の数値も、現状(平成20年3月末)の35人から、23年度目標値に変化(増加)はありません。
 このあたり、地域活動支援センター等を見込んでいるのかとも感じるのですが、重症心身障害といわれる方々の高齢化に伴う重度化(嫌な言い方で申し訳ないのですが)による「日中活動の場」はどうなるのか?といった疑問(不安)は容易に感じ取れてしまいます。
 全体の図を私個人の主観で見ると、やはり重症心身障害といわれる方々についてのイメージが、とても出来ないものとなっています。
 更に、身体障害者といわれる方の単身での生活もイメージされていない感は、繰り返しますが否めません。
 余談になりますが、伊丹市における単身障害者数、実際には知り得ませんが、近隣市の西宮市・尼崎市(共に伊丹市の倍規模/人口の市ですが)と比較しても少ないのではないかと思います。
 更にもう一点、この障害者計画において、「発達障害」といわれる方々も、どう位置付けされていくのかも注視していく必要があるかと思います。
 また、数字の示す内容も解り難い(どの方が、どう変化していったのか?)という指摘があり、それぞれ各年度の変化の数値も盛り込んで欲しいという質問に関しては、国の方針が、全体量としての数値目標の設定ということであるということで、なかなか詳しい状況までは入り込めないようでした。また、全体数にしても、とても全て(は無理としても、多くの)の障害者といわれる方々を含んだモノとも捉えにくく、大きな課題であるように思います。
 続いて、在宅系サービスの平成18年・19年の計画と実績数値、平成20年の計画数値が示された資料の説明がありました。
 図を見ていただければ解るのですが、以下、数値です。
 居宅介護(大人):平成18年/計画58,647時間、実績52,618時間。平成19年/計画47,340時間、実績37,687時間。
 居宅介護(児童):平成18年/計画7,579時間、実績5,880時間、平成19年/計画6,526時間、実績5,560.5時間。
 重度訪問介護(大人):平成18年/計画10,794時間、実績10,887時間、平成19年/計画22,543時間、実績31,769時間。
 重度訪問介護(児童):平成18年/計画・実績共に0。平成19年:計画413時間、実績0。
 行動援護(大人):平成18年/計画2,518時間、実績977時間。平成19年:計画5.260時間、実績2,998時間。
 行動援護(児童):平成18年/計画659時間、実績1,372時間、平成19年/計画1,322時間、実績3,495.5時間。
 移動支援(大人):平成18年/計画39,912時間、実績38,337時間。平成19年/計画40,128時間、実績30,152時間。
 移動支援(児童):平成18年/計画14,148時間、実績11,602時間。平成19年計画14,220時間、実績9,417時間。
 短期入所(大人):平成18年/計画4,693日、実績5,944日。平成19年/計画6,236日、実績3,697日。
 短期入所(児童):平成18年/計画637日、実績344日。平成19年/計画637日、実績344日。
 短期入所(大人/身体障害者):平成18年/計画1,924日、実績1,481日。平成19年/計画2,011日、実績1,126日。
 短期入所(大人/知的障害者):平成18年/計画2,769日、実績4,463日。平成19年/計画4,215日、実績2,571日。
 短期入所(大人/精神障害者):平成18年/計画・実績共に0。平成19年/計画10日、実績0。
 以上ですが、ざっと見て取れることを以下に記してみます。
 居宅介護(大人)が、平成18年から19年の一年間に28%減(52,618時間⇒37,687時間)となっています。
 重度訪問介護(大人)が、同期間に、3倍近い伸び(10,887時間⇒31,769時間)となっています。
 行動援護(大人)も、3倍以上の伸び(977時間⇒2,998時間)を示しており、行動援護(児童)に関しても、約2.5倍の伸び(1,372時間⇒3,495.5時間)となっています。
 移動支援(大人)は、約21%減(36,337時間⇒30,152時間)となっており、移動支援(児童)も、約18%減(11,602時間⇒9,417時間)となっています。
 短期入所(大人)は、約37%減(5,944日⇒3,697日)、短期入所(児童)は、17%減(344日⇒285日)となっています。
 短期入所(大人)の障害者別では、身体障害者が、約23%減(1,481日⇒1,126日)となっており、知的障害者が、約42%減(4,463日⇒2571日)、精神障害者は0となっています。
 以上のデータから感じとれることとして、居宅介護実績の減少が著明なんですが、その理由として、事務局は「死亡者及び他市への転居」を挙げているのですが、それのみとは到底考えられず、委員からも精査を求める声が上がりました。
 行動援護の実績が増加しているのは、判定基準の変更もあったこと等が考えられ、短期入所の特に知的障害者の実績が減少しているのは、サポートセンターーの一時入所が影響しているものかと思えます。
 この実績の詳細な原因はなかなか解らないということと、この数値に表れないコト、例えば、居宅介護の利用量の減少は、「利用できない」ことによるものではないのか?といった点も、しっかり検証していくべきでしょうし、実際、全国的にも、例えば「重度訪問介護」の低報酬単価額によって、サービス提供が成されないということが問題になっています。
 そういった点は、『「伊丹市障害福祉計画」策定のためのアンケート調査票』によって掌握していくようです。
 只、このデータから見えてくるコトとして、重度訪問介護の実績増及び、移動支援(大人)の実績減が著明であり、ここにも大きな問題があると言えるように思います。
 伊丹市では(と言うより、どこの市町村も)、障害者計画の柱として「地域移行」、「就労」、「相談支援」を掲げているのですが、おそらく、その3つの柱は連動しているものと考えるのですが、例えば、相談支援を成しえる(成果として)には、間違いなく、それを実践する社会資源が必要な訳で、相談支援の充実と共に(充実すればするほど)、それに呼応できる資源は無くてはならない(無いことには相談支援が成り立たない)筈なのですが、実態として、伊丹市(に限らずですが)では、3つの柱を成り立たせる資源開発への視点(少なくとも少数派=例えば重症心身障害といわれる方々…のみならずなんですが、、、)が、欠けている(は、言い過ぎにしても、大きく不足している)ように思います(というよりも、足りないのは事実だと思います)。
 現行の法律・制度では、成し遂げにくい社会資源の開発の中、上記からもうかがえ見える「より低コスト」に向けた計画は、結果として、3つの柱が成り立たない事実を産んでしまうように感じてなりません。
 障害福祉計画に関して(も)、国の言う数値のみを洗い出すのではなく、その数値(にも現れない実態)から、見て取れることこそを「何とかしよう」という姿勢が求められる(と言うか、求めたい)のですが、なかなか、かんなり困難なようです。
 事務局皆さんも、一生懸命なんでしょうが、だけども、当事者に響かない障害福祉計画となっては、悲しい限りです。
 様々を鑑みながら、深く考えていければと思います。
 と、我が法人を顧みると、その存在が、新たな資源だとか、資源開発意欲を萎えさせているのではないかと思えたりで…。

 以上、大いに語弊に勘違いがあるかと思いますが、あくまで参考として、お読み下さい。

本文終了


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